Canvas4 アクロウムエチュード |
■ 短評 ■ |
あれ・・・、まさか・・・、嘘でしょ・・・面白いだとッ! |
■ シナリオ ■ |
蓋を明けてみれば、ちゃんとしたCanvas作品だった。 四作目の主人公は、桜花展で最年少で佳作を受賞し、 絵を書くことを放棄したわけでも情念を失ったわけでもなく、人物が描けないという設定。 シリーズで一番ヒロイン数が多くなっている。 そして、シリーズで一番ヘタレではない主人公。 自分が抱える闇に対峙することに対してはどの物語でもそれは揺れ動くモノではあるけれど、 そこから立ち直ってからの行動力とヒロインに対するフォローは徹底していた。 少なくても不快に思うよなキャラクターも存在せず、安心してストーリーを追える。 多数いるヒロインからの展開と、それぞれのヒロインの思惑も言及できていた。 絵に向き合う姿勢と、ヒロインに対する姿勢、それらが絡み合い混ざり合って、 終盤を迎えていく流れは、漏れが見たかった物語。 その面白みというものがヒロインも抱えるそれぞれの物語の綾。 そこも十分に考えてあり、うまく出来ていると思えるし、楽しかったところ。 特に、東雲杏子ルートは、締りがいい。 けれども、昨今の潮流に乗る様な作品ではない。 10年経っても同じではやはり進歩があるとは呼べないのではないか。 と思わなくも無いが、目標へのハードルが今回はとても下がっていた、 かつてないくらい下がっていたので、漏れは十二分に目を瞑れる。 |
■ グラフィック ■ |
OPはなんというか。 複数原画作品。 絵師が相変わらず、曲芸とロゼブルからの貸し出しを受けているわけだけれど、 ひなたエッジがいないからほっとしていたのに、ひづきが脈々と受け継いでいた。 まぁ、それはそれとしてもういいんだ。 わからないのが、笹井さじとかほんとはこのシリーズに合うデザインなのに処理が悪いのか、 立ち絵がなんとも言えない感じになっている所、塗りか、塗りの問題なのか。 天草帳と観音王子の二人だけで良かったと思われる。 Hシーンは2〜4回、全シリーズに通して言えることだがライトなので、 使用に耐えうるモノとは言えない。しかし、Hシーンがない攻略可能キャラがいなかったことについては、 反省したのだろうと、ニヤニヤした。 |
■ ヴォイス ■ |
華に欠けるキャスティングではあるけれど、 声優さん、そのものの質としては問題ないように見受けられた。 確かに、昨今のF&Cが金をかけなければならない項目としては除外しても然るべきだろう。 |
■ サウンド ■ |
とくになし。 前作3の時の様に、各キャラ毎にテーマソングを設けるということもなくなった。 だが、それでいいんだ。 |
■ システム ■ |
基本的システムな筈なんだけれど、フルスクリーン表示出来ず。 相変わらず重いoverture。重いというのはスペック的にではなく、演出処理等。 その為、スキップも緩やかになっている。 ワイド固定、窓固定。 なんで・・・、あと一手間かけられないのかが謎。 攻略出来ないキャラは幸いながらいなかった。 攻略時間、15時間。 難易度、易。 |
■ 総評 ■ |
作中にも出てこられる、定池真実先生の最大傑作がC2であるが、 それ以降は、某なんとかスペースもかくやという状態でマイン製造機と化していた様である。 赤い〜シリーズ以来のCanvasシリーズとなっている。 ちなみに柊は、赤い〜はあまりの酷評振りに恐れをなして手をつけられなかった口である。 そんな、定池先生があの不甲斐ない白いポートレートとか言う作品に 想う所があったのかなかったは知らないけれど、赤い〜を超えての再登板という知らせに、 とても数を減らしたF&C儲が恐れ慄いた事は記憶に新しい。 もはや、そこには何を掻き集めても元のCanvasシリーズを作り直すことすら、 不可能だろうと漏れは思っていた。一種の決別戦だった。FC01もFC02もあんな状態であるわけだから。 ましてや、C3の衝撃が直撃し、Piaでも惨敗した漏れの心はもはや限界だったのである。 疑念と回顧しかないそんな状態でプレイを始めたところ、フル化出来ないという事に気づいた時点で、 確かに投げようと思った、もういいだろう・・・と。 なんでワイドにしたのに、フル化出来ないんだと、馬鹿なのか、と漏れだって思ったさ。 しかし、結論から書くと投げなくて良かったと思う。 諸手をあげての大勝利なんてとてもじゃないけれど、言えない。 C3よりはまともなCanvas路線に戻してきたことを最大評価したい。 なんらかの問題を抱えている主人公がヒロインの助けを借りて立ち直り、桜花展に出展する。 典型的なシナリオではあると思うんだけれど、 この本筋からブレたら、もうそれはCanvasとは言えないシロモノとなる。 そこに変な小細工はいらないんだよ。そーいう物語を読みたいと思って、買うのだから。 だからこそ、今回のC4はちゃんとCanvasらしく在った。根幹は保たれたのである。 |
■ 72点 クラス B ■ |