Faith
■ 短評 ■
一つだけ言えるのは、我々に与える事前情報が間違っていると思う。
「涙腺崩壊型感動系ノベルゲーム」と銘打ち、そして満足しなかったらの返金システム。
なにを持って製作側がこれだけの自信を持つのかが理解できない。
これだけ煽ればそれは、ユーザーだって構えるさ、そして構えた果てに何の利点があるのか?
ゲームの定義付けなんてものは、ユーザーがすればいい。
■ シナリオ ■
すべての物事に意味はあるのか?
自分が不幸なのは、物事がうまくいかないのは、生きる意味は・・・。
それらは答えの無い問い。正解は自分にしかわからない事。
今作はそれら問いを「教会」「人間、悪魔、天使」という箱を用い、答えを導き出そうとしたもの。
結局は、方程式モノ。幸せの分母から外れた生き物はどうすれば良いか。
極限状態における、解を探す物語。
しかしそれら問いは前提が間違っていると言わざる得ない。その矛盾を強制的に是正する、「言葉という魔法」の概念。
枠組みが、かなり力技だと思った。

感動にも種類があると思う。
例えば、同じ3000円の「120円の春」も、説教系じゃないかと思うのだが、もうとにかく爽やか。
今作は、湿度が高めの解放系の感動。
「好み」というものだろうけれど。

内容はともかく、シナリオは、アスタロトに尽きるかと個人的に。
ヲチは読めるけれど、それでも王道ヒロインこの娘は、ツンデレだし。
ラストはありがちなだけに良い。

全体的に詰め込みすぎかなぁ、もう少し軽くしたら、良かったのではないか。
■ グラフィック ■
OPムービー有り。
同人ゲーだとは感じさせなかった。それだけで満足。
■ ヴォイス ■
無し。
■ サウンド ■
BGMは高水準、イージーリスニングにも耐える仕様かと。
しかし、OP、EDともに歌い手が酷すぎる。ありえない。
これを入れるくらいなら、インストゥルメンタルで全部良いよ。
■ システム ■
基本システム搭載。
選択肢の意味は無い、サウンドノベル。
難易度、易。
■ 総評 ■
メーカーが自信を持って、自ら、ユーザーの判定ハードルを上げている。
結局はこれに尽きるのだろうと思う。故に、入りもなかなか厳しいものになりがち。
そのメーカーの姿勢というものは、大変に評価できるし、漢らしさに溢れるけれど、
同人ゲーにそこまでのハードルを設けてどうするのだろうか。
別に大作を求めておらず、箸休め的な感覚でやらせることが出来れば、本作の評価は変わった筈。
キャッチーなコピーではあるけれど、こんなもんは自分で言うものではないと思う。
ユーザーに言わせれば済む事ではないだろうか。
■ 70点 クラス B ■