君が望む永遠〜Latest Edition〜
■ 短評 ■
この物語からなにを見出すのか、それは無論ユーザーによって異なるだろう。
3回も同じ作品に、時間とお金を費やすのは馬鹿げている。それも一理ある。
でも、個人的なセンチメンタリズムから言わせて貰えば、
あの頃の自分の感じた事の違い、つまりそれは形はあれど成長・・・変化の証なんだと思う。
そうした、作品外で感じること、思う事が出来る作品というポイントは十分に何か費やす価値があるものだと思う。
■ ものがたり ■
さて、なにから始めますか。

2001年発売、2003年リメイク、そして2008年・・・最新の「君が望む永遠」発売。
内容としては、

・リファインされたグラフィック。
・最新のシステム・演出対応。
・君が望む第一章収録(きーやん不在)
・第三章 遥・水月・茜ルート収録

が変更で、本編の内容は君が望むDVD準拠。


・リファイン最大の見所の第3章について。

遥/水月/茜ルートAfterという立ち位置なんじゃないかと思う。
本編自体で、「それから・・・」という形で終幕している以上、その軸がブレたらすべてが無意味になる諸刃の剣。
そこだけが本作心配だったのだけれども・・・

もうなんっうか、「面白い」という言葉しか出てこない。
これだよ、空白を縫う絶妙なポイントの描写。物語の軸がブレ無い程度のユーザーに対してのフォロー。
決して大団円で終わらない物語だからこそ。
選択の痛みに耐えうる余韻を持たせた形で本編が終わっている以上、
「ほんとうにたいせつなもの」を言及している意味をしっかりと確立したものにならなくてはいけない。
本当であれば、本編ENDと「それから」を結ぶ、「ここの空白位置」がもう少しあるともっとすんなり割り切れたと思う。
ただ、思うけれど、当時はあの形がベターであったとは思う、
それは、変質すれど変わらない選択の意味を補う上で大切なブランクだったから。
通常であればFDになるポイントだとは思う。


今作をそこをうまく料理したんだと思う。
特に、水月ルート。
石橋朋子さんのブランクを感じさせない演技というのも凄いと思う。
さて、あれだけ好き勝手していた水月のバックボーンである親に対しての責任言及と物事の結末を。
一番不安視していた、あのエンディングの後からで無くて本当に安心したと同時に得心をえる。
ただこのルートは立場あれど身をつままされる漏れには痛い話である。
逆説的に言えば、実に「らしい」と思う。

「結局いろんなしがらみを抱えつつも、それを投げ捨てては幸せになれない」
そーいう事なんだと思った。なんて痛い。


遥ルート。
OVA化もされているルート。アニメだけじゃ、わけわからんかったけど、読んでみれば・・・、
30%ぐらいは理解出来るかなという風味。この娘はまぁ好きに生きてください。

モトコ先生大活躍、そこが見所。半分茜の活躍みたいなところも実にあの姉妹らしい。


茜ルートっうかいいんちょ最高!ルート。
水橋の演技がたまらない、がんばれ水橋。
板ばさみで苦しんだあのエンド後の若干解放された茜ルートだったんだけど、
そこに山をもってきたのかというシナリオに思わずうなる。
っうか、まだ孝之のヘタレさが若干残るという「こいつはやくなんとかしないと・・・」と思える回顧的ストーリー。
しかし、そこを委員長と水月のスーパーサブが窮地を救う。一番すっきりするお話。
委員長かっこよすぎる。。。なんだこれ。。。



というリファインの三章ですが、なんであゆまゆ第三章ねーの?
おかしいだろ・・・、おかしいと一部も思わなかったのかと問いただしたい。
第三章が一番面白いのは、あゆ様ルートだろ・・・常識的に考えて。
あゆ様と孝之の大空寺グループのっとり計画はどうした!
そこからはじまるサクセスストーリーで一作出来るだろ、作れよ、作れよ!
という魂の叫びで-4点減点。というか余地だなこの場合。


すべてのルート巡った後に3章をプレイしたのだけど、実に感慨深い。
あの頃思った事は確かに今も思うところとして残ってはいる。
ただ、そうした鬱屈としていたあの頃の思いとは別に、新しい感覚とでも言うのか、
そうした事もあったねという感じで、今回自分自身が対処出来た。
「時の流れは等しくユーザーにも優しかった」とでも言うべきか。
凝り固まった懐疑感も過ぎ去った後見てみれば、それはそれで冷静に見つめられたのだとおもう。
確かにこの主人公は甘いしヘタレだし、筋も通らない。なんなのこいつという気持ちも変わらないポイント。
でも今回はノーダメージで終われた。果たしてそれはどういうことなんでしょうね。


君が望む第一章も含め、限りなく完成に近い形でのリリース。
未プレイの方にも自信を持って薦められる作品になっていると思う。
古臭くない、名作。ここにあります。


改めて言う事でも無いけれど、漏れは本当にageが好きだからね。
そんな中でも、特に思い入れがあるこの作品。
いまでもあの頃感じた感傷というものは消えないものだと思う。
それは大小違えど、この作品が好きだという人にとっては、思い出深いものに違いないと思っている。
また新しくプレイする人達がこの物語にどんな判断を下すにせよ、
それが、その人にとって意味がある物だと信じたいじゃない。

「キショイこというなや」
と、あゆ様から言われたとしても。



あの頃と今。形に違えあれど、この作品に思う事はいつも一つ。
どうか、お幸せに。
■ 95点 クラス S+ ■