秋桜の空に |
■ 短評 ■ |
記憶、積み重ねられる日常の価値 |
■ シナリオ ■ |
東京こうていわ、でおなじみ竹井10日がシナリオを担当する、Marron デビュー作。 発売当初はほとんどど知られていなかったのが、 ネットの口コミで注目を浴びるようになり、しまいにはドラマCD にもなった実力派ゲーム。 竹井10日の書くシナリオは本作に限らず、斜め上に全力で向かった独特なギャグスタイルが持ち味で、 ホントやりたいことやってるなーって感心する程。 このイロモノシナリオは読む人を選ぶかもしれないけど、個人的にはもっとも好きな作家のひとり。 「秋桜の空に」は学園を舞台とした、人気者だが言動が振り切れている 主人公・靖臣と、変な方向に個性的なヒロインたちによる癒し系(この言葉も懐かしいな……)ADV ゲーム。 カリスマ主人公の靖臣はある秘密を抱えており、その秘密ゆえ誰かと深く関わることを忌避していた。 日常の中でのふれあいを通して生まれたものと、 秘めた悲劇の行き着く先は……というある種王道的な物語。といっても暗い雰囲気の話ではなく、 むしろコメディゲームといっていい。開始直後からいきなりギャグで始まり、 その後も終始ギャグ進行。どこからでもボケとツッコミが飛び交う無法地帯。 それゆえ終盤の展開が映える。控えめだが泣きゲー要素もアリ。 あとH シーンがマニアック。物語は純愛路線なんだけど、さすがというか、やることはしっかりやるようです。 このゲームで特徴的なのがヒロインの口癖で、すずねえの「だぞっっっ」、 若菜の「カナ、カナ」、はるぴーの「絶対っ」、ひより先生の「くしゅ〜」などが随所に出てきて、 キャラ立すぎ。総じて濃く、コメディ色を加速させている大きな要素。 ってあれ、初子……口癖あったっけ……? |
■ グラフィック ■ |
キャラデザ・原画は岩館こう。塗りの甘さやバランスがおかしい部分もありうまい とはいえない。また、ギャルゲ・エロゲの制服は奇抜なものも多い中でも、 奈々坂学園の制服のデザインはもっさりしておりDA・SA・I のではないかと。 キャラクターは可愛いんだけども残念な部分が多し。 |
■ ヴォイス ■ |
ヴォイスなし。 ドラマCD では有名声優陣により声が当てられています。 ドラマCD でも相変わらず安定したシナリオのクオリティのせいで、 外出先で携帯プレーヤーで聞いているとフヒッと笑ってしまい気持ち悪い人になるのが難点。 |
■ サウンド ■ |
対応OS は95 /98/ Me で、基本的に2k 以降はインストールできません。 ゲームシステムは目を見張る程の駄目駄目っぷり。右クリックメニューなし、 スキップ未読既読全飛ばし、バックログなし、という仕様なので、 あせらず正確に読み進めるスキルが伸びること伸びること。ウィンドウ消去もないので、 この機能が足りないじゃなくて、基本的にないものとして、あればラッキーくらいに構えるのが吉。 ここまでくると逆に清々しい。先生、今なら感慨ひとしお拳が放てそうです。 でも意外にもバックログ機能がないこと以外はさほど苦には感じず。駄目な子ほどかわいいのか? 難易度、普通。選択肢は多め。攻略時間、 20時間。 |
■ システム ■ |
とくになし |
■ 総評 ■ |
難しいことは考えず、笑って、泣いて、素直に物語を楽しめるゲーム。 というか、こんなに笑ったゲームはそれまでなかったと思う。 最近笑っていないという人にはお勧めの一本。 最大の改善点はシステム。あとは音楽も少々。OP/ ED 曲は計3曲あるけれども、 プレイ時はほとんど印象に残っていなかった。改めて聴いてみると「癒」なんかは結構いいんだけども、 ファーストインパクト足りずといったところか。 というわけで本作は、 変なお姉ちゃんを書かせたら右に出るものは居ないという奇才ライターが世に出た記念の作品。 内容もプレイする価値あり。 今後も期待なんだぞっっっっっっっっっ! |
■ -点 クラス - ■ |