id [イド] - Rebirth Session -
■ 短評 ■
孤島のクローズドサークルを舞台にした、簡易ミステリ劇。
娯楽としてはあと三歩ぐらい足りない。
■ シナリオ ■
聡明な皆様には、今更ミステリがなんなのかを確認する必要はないのだと思いますが、"あくまで"簡単に。
別にミステリ論が語りたいわけではないので。
それもメーカーが、ミステリ劇だと言うからにはそこは踏まえないなぁといけませんよね。

「謎とその解法」が要素ですよね。
あらすじはメーカーのOHPでも確認してもらえればわかりますが、
自殺志願者達が揃って集会を行うために、謎の主催から孤島へ放り出される。
そこで当然起こる、誰がなんの目的でという疑念。
そして今回の謎というのは、誰が犯人であるか。ということと目的は?というモノ。

ルートは3つ。
残念ながらこの物語には、主人公と対をなすヒロインが曖昧でルート毎に絞られているわけではない。
そこがまず一つ、ルート毎での謎への解の露出がヘタだなと思った。
だって一つクリアすると突然ヒントが出てくるのですもの。いやもうちょっとさりげないほうが・・・。
Aルート、Bルートとしてどちらもクリアすると、グランドルートへ行ける。

そして結末は。
露骨ではあったけれど、最初から名前だけは出てくるキャラが存在して。
でも、唐突に事件に切り込む様子というのは、確かに意外性・・・とも呼べなくはないだろう。
ただ、結局そもそも論として、すべてが曖昧なまま進行してしまい、
シナリオ上のヒントから絞りきれる前に空中分解してしまった感が強い。
その為、何の為みんな好き好んでミステリを読む――という理由であるカタルシスが得にくい状況になっていたのは、
正直、うまくない。
引き込み感、中盤からのスピート感は、なかなかどうしてうまく行っていたと思うのでより残念。

あと、あの後日談はないと思う。
■ グラフィック ■
OP普通、EDはロール。
CG綺麗ですねー。
エロ薄いですねー、ある意味ないぐらい薄い。もっとしっかりやろうよ。
■ ヴォイス ■
ノベル地と会話パートと分かれているので、声優の出番・セリフが普通のADVより少ない。
なので風音様の演技とかそーいう次元ではなかったわけですが、
しかし、存在感が半端無いはやっぱりこの人。
■ サウンド ■
とくになし。
■ システム ■
基本的システム。

謎を解体していくタイプの選択肢。
故に、解を見つけていくものではないので、誰でも攻略可能。
事件の要所を振り返る探偵モードがほんとうに必要かなぁ・・・全当たりになるしね。
逆にテンポが悪くなっていたと思うし、この程度の長さなら覚えていられるでしょ。

難易度、易。
攻略時間、15時間ぐらい。
■ 総評 ■
エロゲーとして、エロ薄のミステリの存在意義はかなり薄まる。
それにつけて、ヒロインが不明確で感情移入しづらいのは大きな減点だと思う。
ただそれでも、他のメーカーとの明確な色の違いを出すこのメーカーの売り方は間違っていないと思う。
キャラデザ、原画の人がなかなか良いので、これからもがんばって欲しい。
■ 65点 クラス B ■