木洩れ陽のノスタルジーカ |
■ 短評 ■ |
ラノペっぽいSFを目指してみたと『嵩夜あや』と語っていたけれど、 これは確かにラノベ(ちょっと古い)っぽいSFである。 |
■ シナリオ ■ |
三つの綺麗なポイントがある。 設定が見事。 物語は近未来今から3〜4世紀先の未来で、人間が作った人工知能を乗せた機械人形が 自律性を獲得し、人間と戦争し種族としての立場を獲得している。 物語はその戦争時代のドロイドを発見したところから始まる。 それを主人公らの手腕で回復させて・・・という筋書きであるけれど、 王道且つとても気持ち良い展開であるそれは、ひとつの疑問を孕んでいる。 どうして才ある人間が主人公のまわりに都合良く存在しているか? 見渡してみてもどのゲームでも王道をよくある展開と置き換えてもいいものだけれど、 そこにひとつの解を見出しているゲームというのは少ない。 整合性の高い綺麗な設定。 しっかり伏線を回収しきった点。 先の戦争において、ネット上のアーカイブが収集され保存・管理されていたものが 襲撃されロストしており、時代・情報の断絶が起きており世界は「つまらないものに変容」してしまった。 という語りが存在する。 「世の中の関節は外れてしまった」って良い一文だよねと黄昏ながら言うがごとく、 散々使いまわされたハムレットの一文ではあるがぴたりと当てはまる。 では、そのつまらない世界を回復するためには、というアプローチが綺麗。 ヒロイン設定の潔さ。 これはある種設定にも絡むものではあるけれど、 発見したドロイドはヒロインでは無い。女性型ではあるのにも関わらずである。 別にエロゲじゃなくてもこの設定から言ったらメインヒロインはこの発見されたドロイドであろう。 この謎設定にも解があるのが見事なほど物語を綺麗に〆てくれた。 以上の点から言って、その秀逸な点を理解して頂けるであろものだが、 クリア後このタイトルをもう一度思い返すとさらに余韻が増幅されることは間違いない。 それはまるで木漏れ日の中でたたずみ思い馳せるもの。 |
■ グラフィック ■ |
OP、EDあり。OPはわりと。 元キャラ箱ののり太。処女はお姉さまに恋してるが代表作であろう。 なかなか最近観てなかった点や過去作品のフィードバックがあるけれど、 進化してるなあと思う。 各キャラ、3回Hシーンというのは割りとライトかもしれない。 |
■ ヴォイス ■ |
特定メーカー以外は最近男性キャラの方が豪華だよねという所感。 豪華という物言いも最近自分でも違和を覚えるものであるけれど、 本項でそれを言っても仕方ない。 青山ゆかりのいい所再発見隊でも組んでプレイ出来ると心が豊かなる。 心が豊かになるよ! |
■ サウンド ■ |
佐咲紗花。霜月はるか、 茶太と三人とも作品とのマッチングが高い。 |
■ システム ■ |
基本的システム。 四人クリアするとラストエピソード開幕。 タイトル画面で秘密コマンドあり。 難易度、易。 攻略時間、15時間。 |
■ 総評 ■ |
空想科学組立少女アドベンチャー 名に恥じない力作だった。なんでもないけれどこれいいよに指定したいと思う。 過不が無い物語というのはそれだけでも名作たりうるものだと常々考えている。 問題なのはそれがどの地点でそれを感じているかという所に尽きるのだろうけれど。 なにかに考える点は多く、情報量の多い作品が増えてきている・・・というか それがメインストリームである状況で、プレイヤーにそれをどれだけストレスフリーでいられるか。 という、矛盾が「ある」と思うのだけど、優しく噛み砕いても、プレシッシャーをかけても、 物語は揺らがないものであって欲しい。そう願う。 |
■ 81点 クラス A ■ |