恋と選挙とチョコレート
■ 短評 ■
見所は千里の泣き演技のバリエーション。
■ シナリオ ■
初回ルート、千里固定の意味を考えたい。

ハーレム属性の主人公が唯一素直に付き合えない設定があるヒロインが千里。
千里ルートだろうと、他のキャラルートであろうと、千里は主人公への嫉妬、所有物発言などがあり、
ゼロサム、まぁ誰得とか言ったりするんだろうけれど、快適なキャラではあまりない。
初回ルートの役目を終えても、例外なくすべてのキャラで主人公の恋路が叶う前に立ちふさがる。
その通過儀礼とも呼べるやり取りの中で、ひっかきまわしたり、三角関係であったり、様々ではあるが、
絶対に報われないキャラとなる。
恐らくメインヒロインであろう千里初回に持ってきた意味はなんなんだろうか。
メインヒロインぽいのは初手ではやらない鉄則を発動させて、
選択肢避けしてたのに千里ルートにぶち込まれたのはまじ、超能力とかチャチなもんじゃなかった。

勿論、千里がこの学園都市兼、この作品のナビゲータールートであるのは理解し、
各キャラクターをクリアしていくごとに全容が解明されていく、舞台というのも楽しめるポイントではあるが、
その度、千里との決別シーンを見なくてはならない。
設定が負債と化しているので、必ず通らないといけない道ではあるのだけれど、
初手でクリアした、気に食わないキャラだとしてもその後上記シーンを何度も見ないといけないのは、
正直しんどい。
ここでこの構図を考えると、最後にもう一つルートがあって・・・
と考えるのはハッピーエンド主義者なのだからだろうか。
まぁ、そんなもんはなかった。

では、グランドルートに、一番最後に置いたら?
それはそれでこのキャラの為に最後までやり通す力のあるキャラではないから辛い。
せめてWHの様に対になるキャラでもいれば、なんとか自分を納得させることも出来ただろうに。

と、残念キャラ在住ソフト。
■ グラフィック ■
キャラデザ、春夏冬ゆう。あきなしゆうって読むらしい、へえー。
舞台背景にしろ、キャラにしろ、事前どおりの絵だった。
どこも崩れることもなく、最後までやり抜いたのは評価。
最近はこの手の淡い・・・感じのが増えてきて、良いのではないか。

CG枚数、98枚たぶん。
1キャラクター、3シーンずつ。
濃くはないので、如何せんという感じ。

OPムービーは神月さんのところ。
非常に出来がいいムービー。
■ ヴォイス ■
第二種声ゲーでいいかな。

個人的には、井ノ原理子さんの演技にはブレがなく、設定を死守したという解釈をしたい。
それでいいだろう、な、お前ら。
あとは、水橋がちょっと聞いたぐらいでは、水橋であるとわからない演技だったので良しとする。
この手のキャラは本来得意としているだろうからなぁ。発祥を考えると。
■ サウンド ■
Elements GardenのBGM。

EDがキャラ毎に一曲ずつある、歌わせたい気持ちもなんとなくわかるので問題なし。
■ システム ■
基本的システム。

初回ルート固定。

攻略時間、15時間。
難易度、易。
■ 総評 ■
販促宣伝が、露出がうまかったなぁと思う作品。内容としても見せ方が特にうまいが・・・。

選挙を主題としたゲームは他にはユミナしか知らない(ワンポイントでは他にもあるが)。
あれも本来の選挙とは掛け離れたゲームであるからして、
本気に選挙をゲームの特色として使用しているのが珍しい。
その中の学園の暗部も解消しつつ、自分達が住む学園をよりよくして行こうという主張も実に健全。
基点が部活存続という設定もあるが、その中で仲間とのやりとりのワンポイントを強かに魅せたという所感。
そういった場面でのオートモード(クリック進行不可)が目立つ。泣けたり、感動できたりする場面は必ず入る。
でも待って、その泣かせの強制ぶりが回を重ねるほど鼻に付くようになるから、にんともかんとも。
毎回千里との決別シーンが必ずオートモードになるので、もういいよ!とならないわけがない。
雰囲気重視のゲームであればこそ、そういった部分はもっとさりげなくするべきなんだよ。
作風ともマッチしている絵のだから、シナリオでその方向性を求められないのであれば、
システム的な配慮をして然るべきだろう。そこが魅せたいのは理解したから一度キリでいいよ。

結論としては、多用しすぎたのが敗因だろう。
ストレートに自信があっても多投しては捕らえられるさ。そりゃな。

とは言え処女作でこの手の挑戦的な作品が出てきたのは素直に喜ばしい。
また、声優起用も分かっているだけに今後とも挑んで欲しいメーカーである。
■ 69点 クラス B ■