失われた未来を求めて |
■ 短評 ■ |
こんなド安牌な物語なのに、何故かやるせない。 |
■ シナリオ ■ |
未来改変系ループモノ。 と言ったら、失敗する方が難しい安定した物語だと思っていたけれど、 なぜだかとっても作品に対して消化不良気味。 初回ルートで、事故に合うヒロインを救出すべくループを重ねていくのかなと思ったら、 実はそうではなく、使い捨てで世界にやってきた来訪者をよりよい未来は導く物語だった。 もっと言うと初回事故にヒロインはそのルート中の別選択肢から事故に合わない未来が存在するという。 あれだけ、因果つえーとかやっていたわりには、そこで解決できるんかい! と思わずツッコミを入れることは間違いないだろう。 そうした観点で読み解いていくと、意味があるループなのだろうかという疑問は尽きない。 未来から迎える来訪者キャラはアンドロイドという直球すぎてもはや何もいえないが、 重ねていく時限ごとに、成長しているようだ。 また思い出積み重ねシステムであるY.U.I.Sで開ける未来があるという展開は、 ループに意味を持たせることになるし、シナリオ上重要だ。 しかし存在が唐突に出てくるのはなんなのだろうか、もう少し本編上で言及されても良かった筈である。 そんな物語上の綾が解せない部分がどうしても多いが、 展開上のキャラクター同士の絡みは声優ががんばっている部分も多いが好感触。 サクサク進むし、読み解ける。 ただどうしても同じ内容を繰り返すだけに、展開の差異を確かめようとでもしないと新鮮さにかける。 もちろんお約束的に踏まえ方というのは気持ちのいいものではあるがそれだけでは足りなさ過ぎる。 どちらにせよ、出来上がっている物語であるが、もうひと工夫欲しかったところである。 ただし、読後感はひたすら清清しい青春モノ。 |
■ グラフィック ■ |
深崎暮人キャラデザ。 水平線から注目されている絵師の一人であるが、作品の変遷ぶりというのは少し危うい感じがするぜ。 次回作で盛り返してもらいたい。 とても美麗なCG背景と共に高水準。 Hシーンも各キャラ4〜6回と回数も基準以上ではある。 OPムービーも確かな出来で、サウンド共に2010を代表できる仕上がりである。 |
■ ヴォイス ■ |
すべては青山ゆかりの為の物語。 だからちょっと出のキャラに波動拳使うのやめてくれ・・・。もったいないってばよ。 何故かOHP上に公開されていない山口勝平は、相変わらず出来る声優である。 ループ+勝平といえば今までもこれからもあの金字塔が代表ではあるが。 |
■ サウンド ■ |
OP/橋本みゆき 「∞未来」名曲。 サビの部分の転調と刻みがいかす。 |
■ システム ■ |
基本的システム。 1280のワイド。 ストーリーと密接にリンクするY.U.I.Sという仕組みがある。 攻略時間、12時間。 難易度、易。 |
■ 総評 ■ |
物足りないというかなんでその方向に持っていってしまったのかが疑問。 少しひねろうとして物足りなくなる代表例としたい。 辻褄は最後までやるとピタリとはまるだけに、整合性は高い。 それだけに、王道ループも見たかったという所感。 絵の質の高さは保証されているだけに、物語の厚みがもう少しあれば出来がいい作品になっただろう。 現代的システムのワイドであるし、繰り返していけばきっとそのうち化けそうな気はする。 あとはメーカーとしての体力と資金、母体の動向に注意を払えば大成するだろう。 是非、同じ轍は踏まないで欲しいと願うばかりである。 |
■ 69点 クラス B ■ |