WHITE ALBUM −綴られる冬の想い出−
■ 短評 ■
『ずっと前から仕組まれてた、そんな出会いって、信じる?』

-アニメ第二話サブタイトルより-
■ シナリオ ■
当時から決して評判が良くは無かった、ホワイトアルバム。
こうして12年の月日を経過してからプレイしてみると・・・やっぱり胃が痛かった。

そんな漏れからしてみれば、新キャラ「小夜子ルート」は格別に面白かった。
当時くさくない物語に、近頃流行のテイストが見事にマッチしている。
キャラの奔放さ・・・それが可愛いというレンジに収められ、
弱さという点を重点的に描かれ主人公によりりかかり、支えていくスタイルというのは、
本編のどうしょうもない・・・どうしてこうなった的なテーマである浮気から浮いたキャラであるも、
もう本筋をいじることを良しとしなかったLeafの潔さが垣間見れる。
アイドルでありながらも干されかけという設定も主人公との距離を縮めていくうえで、
他二人のアイドルとは違う路線での魅せ方もうまかった。
キャラ自信の設定もさることながら、シナリオとしても上記の通りだが、
それが良い意味でクリア後の読了感を増す結果となっている。
それとシナリオのテイストが丸戸ぽいよ、このキャラだけ。誰書いたの?
誰が書いていても良いモノは良いので、是非堪能されてみては如何。

あとのベースキャラは、由綺以外はバットルートだと思って望んだほうが、多少健康的。
弥生さんルートは相変わらず読後感が果てしなく悪い。なんなのアレ!と発狂しそうになるんだけど、
嫌いじゃないからふしぎ!
ともすれば、そういった趣向を楽しむ作品であるからして、もしかしたら一番面白いのかも。
PC版濡れ場主体のキャラの出来がイマイチであることは、
致し方ない中もCGとシチュの工夫で弥生ルートは唖然とするがエロイ。

はるかとかまじいい女なんだけどなぁ・・・。

最後に由綺をもってくると綺麗に〆まるのでおすすめ。
■ グラフィック ■
そしてかつて18禁で発売した本タイトルも、
CEROとSONYチェックの狭間でどこまでいけるかという限界を試みた形跡がなくてもCERO D指定となっている。
一番露出度が高いCGが、由綺のベットシーン。エロイかと聞かれれば、弥生さんに余裕で軍配はあがる。

カワタヒサシ絵、ほとんど書き直しだけど多少追加が見られる。
元の方がいいとか今の方がいいとかあるだろうけど、
個人的には、時代があるからどちらでもいいよ派(ちゃん様じゃなければ、誰でも同じだよ派)。

すごい残念だったのが、作中のムービーが2本しかないこと。
PS3だぜ、HDなんだぜ・・・音楽祭でのシーンを「フルアニ」にしても誰も喜びはすれ怒らないだろうに。
そんなムービーの使用場所はTV曲でのリハシーンとライブ。どうなのそれ・・・。

MPはシステム項にて。
■ ヴォイス ■
平野と水樹のキャスティングが、発表の頃から逆の方がいいんじゃないの?
と思うんだけど、設定ではなくキャラ的に。そりゃまぁ設定から見れば、わかるけれど・・・。
なんかしっくりこなかった。
ぱくろみは相変わらずこの手の女性キャラしかキャスティングされないけど、
きっちりイメージ通りの仕事をしてくれるすごい人だぜ・・・。やっぱりこの中ではうまかった。
新キャラを演じた佐藤利奈はさすがに旬だね、数ある慟哭シーンでも勢いが違う。
良いものが見れた。
■ サウンド ■
あの懐かしい〜ほにゃらら。←適当に楽曲を入れてください。
とかまぁそんな感じですが、EDのsuaraさんが歌いなおしたのもいい。
BGMもあぁ社長だなぁとわかる。
■ システム ■
基本的システム。

致命的でないにしろ、フリーズ現象が起こる。
7/20時点でパッチのリリースはなし。けっこう新キャラルートで発生しやすいので難儀させられた。

PS3のOS上でのセーブとなる為、セーブ&ロードが選択しづらい。
PS3上のシステム画面でセーブ&ロードをするってかなりのストレス且つ、
PCゲーを成れた諸氏には、数が増えれば増えるほど縦一列でどうやって中身を把握させるのか。
クイックもないので、オートセーブつければ良かったのにと思いつつ、それぐらい出来たはずなのにと思う。
ゲーム管理でセーブ領域あらかじめインストールしてやらせないと。
そこで何分割のいつもインターフェイスにしてもらわないと未来はないよ?
しかもなぜか、システムデータがコピー禁止という、配布禁にしてんだな事実上。
そこいるかー?というユーザービリティも低ければアクセシビリティも言わずもがなという感じ。
まぁ、悪いのはLeafかと言われるとうーん?ですが。

期待の「モーションポートレート(MP)」について、
紙芝居的立ち絵がPS3ではぬるぬる動くよ!胸もゆれれば、肩もすくませるよ!
どちらかと言えばminoriの動かし方から、よりアニメーション方向へもう少し発展させた感じ。
とは言え、決して劇的なものではない。
もとある絵を湾曲させた表現も目立ち、多少なりと不自然感は否めない。
ただ、無いよりはあったほうが遥かにいい。

難易度、難(コンプ前提)。とはいうものの、PC版でのランダムイベントが無くなっただけマシ。
攻略時間、23時間。
■ 総評 ■
毎回PS3での作品をプレイした際に振り返ること。
PS3に移植・製作する必要がある作品だったか、どうか。

画面の中にある風景はとてもリアル。さすがハイデフだなぁという感動はちゃんと与えてくれる。
MPも確かによく機能していた。それはもちろんPS3での売りなんだけど、基本ベースをあげる技術であり、
理由にはちと弱い気がする。勿論、HDで、綺麗な画面で、CS機で動かす所に意味があるのだ!
と言われてしまえばそこまでなのだけど・・・。
TtTの時からもそうだけど、Leafの規模ではこれ以上は難しいとわかりつつも、
時代を切り開き今があるメーカーだからこそ、がんばって欲しいと思う。ペイライン超えればいいね。

さて、12年という歳月が人を変えるにも作品自体が良いい意味でも悪い意味でも変質するにも十分な時間である。
当時プレイをし、Leafのスタンスというか方向性に絶望しかけてもなおも信じついてきた、
儲の方々も勿論だけど、あの頃のちょっと斜め上にチャレンジしたLeafを今の人立ちがプレイするにも、
必要十分な作品であると思う。

では話は以上、Routesをアニメ化するかコミパ2を作る作業をしてくれと、願うばかりである。
■ 75点 クラス A ■