ゆきいろ
■ 短評 ■
「ぺろぺろしますからぁ〜」くそぅ、こんなのが面白いだなんて。
■ シナリオ ■
恋ではなく―を華麗にスルーしていたので本当に久しぶりの早狩テキストだったけれど、
鈍ってはいない様で一安心。他のライターからはだいぶ浮いている話ではあったけれど、
世界観からは浮いていない。きっちり独自解釈を決め込んで片岡ともシナリオにぶつけた。
その対照的さというのが特筆すべき本作品の面白み。

片岡さんが、今までの系譜をしっかり踏襲した愛すべきぽんこつキャラを表現し、
その影で言い出せないヒロイン葛藤という構図は両ルートを攻略してからわかるサイドビューとも言える。
とは言うものの、片岡シナリオでの樹奈と早狩の樹奈では相当印象が異なるのは事実。
けれど、前述した通りもし片岡シナリオでは超ピーキーなネアカなキャラを『演じている』だけで、
本当は早狩ベースのキャラテイストだったら―――と考えると途端に愛おしいキャラではないか。
ストーリー上たったひとつのフラグがないだけで……、そんな幼少期の魅せ方になってはいるけれど、
実は抱えているモノがある、そんな振りとも取れる。
ボリュームは確かに少ないけれど、120円系の洗練された物語が構築されていて、
良いコンビだなぁと喜びをかみ締めるのである。

それから、ウナトミーの翠子はやっぱりめんどくせぇキャラで安心した。
未来人のくせにヘビを模写したマフラーとかまじ昭和を感じずにはいられない。いいぞ、どんどんやれ。
■ グラフィック ■
OP、普通。

ここ最近のねこねこはどうも等身が低めで前作なんかはとても手がだせねぇと思っていたけれど、
今作もまだまだ低いが、あんころもち修正でまぁなんとかなった。
しっかし秋乃も菊池もそちらに走ってもいいから、もう少しだけ戻して欲しいなぁというのが最近の願い。
頼むよわりとまじめに。ぺろぺろしますからぁ〜。
■ ヴォイス ■
流石にいつものねこねこ声優ではなくなってた。
籐野らんさんの復調祈祷をしながらプレイした。
■ サウンド ■
裕美さんがいなくてもあのテイストの曲を聞かせてくれるのはいいと思う。
■ システム ■
基本的システム。

幼少期からの分割というスタイル。クリア後のおまけあり。
何度やってもパッチを当てないと樹奈ルートに入れなかった。
いつから緊急回避が無くなったのでしょうか、WHITEから?とてもさびしいです。

攻略時間、12時間。
難易度、易。
■ 総評 ■
相変わらずの健ちゃんぷりだったけれど、
それはそれとして最近は難しい方向へと傾いていただけにこの手をひとつ挟むのはいいことだ。
元々ねこねこはライターも絵師も揃っているメーカーなのだから、あとはバランスとアイデア次第だよね。
肥大化していくシナリオは歯止めがききようがないのだから、
コットンをフルプラにしてねこねこは低価格で勝負とかもアリなのではないかなぁ。
スモールワードで起こる主題や目的をうまくはめていくのが上手いライターがいるメーカーなのだから、
住み分けははっきりした方がいいのかもしれない。

いろいろあるけれど、漏れは今回の作品は好きだよ。
■ 74点 クラス B ■