428 〜封鎖された渋谷で〜
■ 短評 ■
メインは実に堅実なシナリオだった。渋谷という街を舞台に陰謀渦巻くエンターティメント。
しかし・・・異彩を放つはやはり「奈須きのこ」のサブストーリーか。
■ シナリオ ■
98年に発売されたSS「街」シリーズの二作目に当たるのが本作。
チュンソフトのサウンドノベルシリーズでは第7作目になる。
かまいたちなどのサウンドノベルとは毛色が違う、人間模様を描くエンタメ。
10年ぶりのそのシリーズには、どこに関係があるの?というtype-moonが参戦していた・・・。

・メイン
メインシナリオの序盤が重い。
リズムをつけてプレイ出来るようになるまでが苦痛だった。
6時間程プレイしたあたりから、だいぶ話の面白さが見えてくる。
その辺りでようやく人物相関図が自分の中に出来上がり、話のバックボーンまで見えてくる。
そうなってくれば後は読み進めるだけ、面倒だったザッピングにも味が出てきた。
進行の過程で選択肢を組み上げ、進める道を示すという工程のもどかしさ。
でもそれを紐解いていく感が物語を加速させる。
朝の10時から始まった物語が0時で終わる。


ノーマルとトゥルーという二種類のENDINGがあり、
NEVER ENDSまでのフラグは大分わかりやすいモノだった。
ただそのフラグが、このゲームの本質をよく示していると思う。
それは・・・、

『あなたが最後に守りたいと思うものは、何ですか?』
家族だったり、約束だったり、絆だったり・・・。それらの人間味溢れるドラマが詰まっていた。


・ボーナスストーリー(我孫子シナリオ)

我孫子武丸のシナリオで、何故か知らないけど泣きゲー三原則を見た。
結構これは衝撃的、いろんな意味で。
狙いすぎだろう・・・w


・ボーナスストーリー(奈須きのこシナリオ)

発売される前からアニメーション化も決まっているというなんというか・・・なスピンオフ。
果たしてッ、内容は・・・!出だしの1P目に期待していた、とても期待していた。

「――――――」

だった・・・頭から文学線、その瞬間漏れに去来する思いは一つ。
変わってねぇ・・・、そして期待に応えてくれた。
ルビが多い、やたら多い。いつも通りなんでちょっとうれしくなってしまったよ。

舞台は中東、とある事件で一族を皆殺しにされた少女カナンはフリーランスのシャム(スネーク)に鍛えられ、
キリングマシーンになりそうなところを救われる。
そしてとある事件の所為でカナンは「共感覚」という『いかにもな』特殊な能力を開花させていた。
空間が色で認識できる、凄いね。銃弾とかへっちゃら、見えなくても『死線』で回避するから――――――

――――――びっくりするほど奈須きのこ!
■ グラフィック ■
リアルタイムの進行にしてはもう少し動的な絵の動かし方があると思うんだけど、
サウンドノベルの域はどこからどこまでなんだろうな。
所々ムービーが挿入される。

武内崇は、いつも通りでした。
■ ヴォイス ■
メインストーリーはボイス無し。

カナン編だけあります。

カナン/沢城みゆき
アルファルド/坂本真綾
シャム/大塚明夫

「――――――」
・・・また真綾――――か・・・

幅が無いので、おそらく皆様の想像通りのキャラかと。
■ サウンド ■
可も無く不可もなく。
■ システム ■
基本的システム。

バックログはあったけど、、読み返しが無かった・・・。
まぁボイスが無いのだけど、カナン編にはボイスが付いているので是非つけて欲しかった。
スキップに該当するものがあっても良かったと思う(無いわけではない)。
TIPS表がひぐらしみたいに欲しい。
ザッピングで飛ぶポイントがKEEP OUTの際に、既読判定が欲しい。

総じて基本的に困ることはないけれど、完全に使いやすいとは言えない。もう少しなんとか出来た筈。

攻略はこちらへ。

難易度、普通。
攻略時間、15時間。TIPSは全部埋めたかはわからないけど、シナリオは踏破。
■ 総評 ■
どこぞがつけた満点という評価には疑問だけれども、
全体的に、サブも含めて一つのストーリーとして完結していて面白かった。
奈須のは奈須すぎて、全体から見るとちょっと異色ではあるんだけども。
それでも、まぁまぁ・・・。

ただ、もう少しボリュームがあってもいいとは思った。
というのもいつも遊んでいるフルプライス達のゲームと比べるとだけれども。
まぁただ、チュンソフトだからなぁ、漏れが気づいていない追加シナリオ(栞)があるのかもしれない。

2008年の街シリーズとして、サウンドノベル最新作として、楽しめる作品ではあったと確かに思う。
■ 77点 クラス A ■