アルテミスブルー
■ 短評 ■
いろんなところに影響を受けてるなぁと思いながらも、
BGMでジュピターが流れる中自分自意識との対面を深く掘り下げるとか、
なかなかエロゲで出来ることじゃない。エロゲですることじゃない。
■ シナリオ ■
このライターはこんなに映画が好きなのに、よく方向性を正しく向けられたなぁと思ったら、
あしたの雪之丞の井上啓二だった件、うぉっ・・・見落としてた!
そりゃよくかけてるわなとか自問自答しながら、久しぶりだなぁなにしてたんとこれ書いてます。

ライトスタッフ、同名の映画から来てるんだけど、なるほどなぁという仕込みとともに。
空に蓋をされてしまった世界で、宇宙に向かって挑戦して挫折した漢の物語。
なのだけれど、主視点が女性という。主人公が女という物語。
もろもろその辺についていいたいこともあるのだけれど、ひとまず置いといて、
一言でいうと、軸としての物語がその漢がいて海千山千のつわもの達が集う江戸湾で働く月9みたいな航空モノ。
ト書き描写が実に舞台的な仕上がりとなっていて、そこだけでも異彩を放つ。
最近のADV系に飽きたなぁ、航空モノや、そろそろ宇宙なんじゃね?という方に是非オススメしたい。

漏れもあまり女主人公の作品とか女性視点で進むADVというのはそもそも好きではない。
なのでプレイし始めはかなり、うっ・・・って思ったのだけれど、心配するほどでも無かった。
ちょっと特殊なヒロインではあるし、▲関係な展開ながらも初めから立ち位置が異なるので、
安心して見ていたられたという要素も大きいのだろう。
■ グラフィック ■
OP、EDムービーともに普通。
話数仕立てなのでEDが入り強制オート演出がちょっとうざいけれど、
演出過多なシナリオにしては、結構素直なCGではある。

Hシーンは8回。
■ ヴォイス ■
根津がよくがんばった。
■ サウンド ■
あの場面で最初のジュピターは卑怯。
■ システム ■
基本的システム。

選択肢なし。
攻略時間、15時間。
■ 総評 ■
女主人公が、本編を通して処女を守り抜くというエロゲーは過去にあったのだろうか。
そしてその作品は面白かったのだろうか?
って考えると大層なことをこの作品を実行したのではないか。
もちろん、エロゲー的要素を苦し紛れに、妄想という形で放出してなければならない「お約束」はある。
けれど、ことこの作品に限って言えば、そんなことは瑣末なことであり、本質ではない。
変わっている作品なのだから、定石通りではハナからないのである。
そうした面を許容して、出来る、エロゲーマーであれば独特の緩やかな物語中、
アクの強いキャラに対して普通の考え・立場であるヒロインが毒されていく風景というのは痛快であるw

出展がわかっていると見方も変わるのだろうけれど、
中身として奇抜な何かがあるわけではない。
変わったことをやるライターがいて、その世界観を内包した空気が実に心地よい。
結末や見せ場では必ず踏襲してくる物語がある、
それに対してのこの作品での返礼みたいなのが随所で散りばめられていて、
いちエロゲーマーとして、SF読みとして本気で久しぶりに品の良い作品がプレイ出来て嬉しかった。

たまにこんな作品が出てくるからやめられない。
■ 80点 クラス A ■