人間デブリ コンナジブンニダレガシタ?
■ 短評 ■
エルフとは、かくあるべき。
■ シナリオ ■
土天冥海と市川小紗の媚肉コンビ。
テクノブレイクも想定に入れてプレイしてもらいたいところではある。

非常に印象に強いシーンがある。
前作パッケージだった主人公とヒロインが窓際に寄りかかる構図があったが、
今回も主人公とヒロインがクローゼットに寄りかかって隣どおしで体育座りをする一枚絵がある。
どうにもこうにも堪らなく好きなんだよなぁ、あの雰囲気。
それを醸されるだけで、あぁいいなぁと思える。そんな悠長なシーンではないのだけれどもw
絵になるよなぁ、市川キャラって。

予想外に催眠がキーワードになっているゲームだった。
進めるに従って次第に明らかになる主人公の設定、この辺は織り込み済みではあったが、
驚きがあるわけではないが、安定して話を追える物語。
どうしてもこのコンビだと、前作を踏まえたくなる。あのハッピーエンドのラストには及ばないせよ、
手に届く範囲で幸せを掴めた三人に幸多きことを望む。
その部分での通過点としての今作は及第点といったところだろうか。
是非超えて欲しかった部分ももちろんあるけれど、
どうにもならない人間関係の清算を死という形でクローズする以外に方法がない状況で進んでいく。
グランドルートどうするんだよ・・・と思っていたら、エルフ特有の強い女性である、
空おねぇいちゃんが活躍するまで巻き戻るという、なるほどなと納得できた。
空おねぇちゃんの為の人間デブリだよなぁと思いつつ、前作もまぁ似たようなものなので良しとする。

しかし、使えるなぁこれ。
■ グラフィック ■
OPはないけれど、EDムービーのマリオネット劇場が読後感を煽る良いムービー。
ちょっと変化球なムービーだけれども、あの操られた人形が良い味を出している。

市川キャラデザ、好みはあると思うけれど最大限エロは探求出来ている。
数、質、ボリューム共に文句なし。
Hシーンが幾分果てしない感じではあるが、その中でもストーリーとして重要な会話を含んでいたりして、
存在感は強い。
寝取られ属性がなくても見ていられる範疇なので尚良し。
■ ヴォイス ■
キャスト非公開だけれど、女性キャストは二名しか出演していない。
また、聞けばわかる範疇ではある。ただ、男性キャストの方はなかなか面白い。
■ サウンド ■
特になし。
■ システム ■
基本的システム。

今回は3D移動がなくて良かった。ぐるぐる回すとあのぐらいでも酔ってしまうので。

攻略時間、11時間。
難易度、易。
■ 総評 ■
どの業界でも長く続いていけば、老舗と呼ばれるメーカーが出てくる。
それは、新興入り乱れる勃興が激しい業界の中では、特に顕著であろう。
事、エロゲー業界でも長く続く誰でも知っているメーカーがいくつかある。
その中のエルフは近年元気がなく、ゲーラボなどには倒産の噂までが囁かれ(直接言及されてはいなかったが)、
思えばエルフはどこで道を誤ってしまったのだろうか。
蛭田の神通力が翳り始めてから?堀部が亡くなってしまってから?
らいむ色のあかほりの戦犯ぷりっも、たまき事件も記憶に新しいがその中でも一つ一つが失点だっただろう。
「かくあるべき」とは書いたが、ユーザー主体のものの見方ではある、
もしかしたらいつだって同じモノを提供してきたのかもしれないが、それが時代の『ニーズ』に合っていたか。
兎角、そこが一番重要で、そこで客観的に判断出来るのだ。
だからこそ、べき論を唱える漏れはこの作品を通じてエルフの持つ『シーズ』が、
今だって通用することを体感したし、このライン軸を崩さないように運用して欲しいと願う。

ユーザーはいつだって勝手で、面白いモノを体験したい。
だけれど、時々どうしてもエルフの作品の持つあの艶っぽさ、湿度に無性に触れたくなるときがある。
あの質感を伴いそうなムービーフェラシーンは、業界広しと言えどエルフだからこそと想いたいじゃない。
エロゲーとして使えて面白いというのは極地に位置する事。
優劣の問題ではなく、一種の完成系なのだから。
それらプロダクトをこれからもリリースしていくのであれば、エルフはきっと大丈夫だと信じている。
■ 78点 クラス A ■