G線上の魔王
■ 短評 ■
るーすぼーい作品。
■ シナリオ ■
るーすぼーいは、兄弟愛とか親子愛とかが好きなんだろう。やっぱり。
どんなに狂気に満ちた、偏愛であってもそこには愛があると願って止まない。
救いみたいなものが毎回チラチラするシナリオだなぁ。
それに対して表面上の落差をつけたがる。物語の落差はエンターティンメント。
どんな三文芝居でも落差が大きいほど、そこには感情が生じる様になる。
そこがおもしろい味とでも呼べる所なんだろうか。

今回は、それほど「驚くべき」ミスリードは無かったけど、期待に応えようとするシナリオだった。
もはや王道と呼ぶべき、終幕への巻き込み方はるーすぼーいの味が見える、面白さ。
設定に裏付けられた、緻密さ。綿密な物語を魅せつつも、それを決して放り投げでも無く、
思考を紐解くような解をユーザーに見せる、手技なのは秀逸と呼ぶべき物語なのかもしれない。

一人ルートを上げるとすれば、花音ルートはとても面白かったと思う。
ラスト、スケートリンクのシーンはわかっていながらもやはり泣ける。
ベタ、まったくもってなんの捻りも無い。
けどその先の結果を恐れずに、滑る少女のシーンは今作屈指の泣き所です。
■ グラフィック ■
いつもの有葉さんです。特に変化は認められません。

OPムービーが、神月氏作品。
雑踏とを行きかう交互の視線の構成が面白いと思います。
■ ヴォイス ■
第ニ種声ゲー認定。
河合さんもそうですが、やっぱりらっぱすかね。他にもいろいろ・・・。

紫華すみれって舌ったらずなんかじゃなくて滑舌が悪いじゃねーの?
と思ったけど主人公の苗字がそうなのね。お母さん妙に気になりました。
あとは任せて安心な面子です。
■ サウンド ■
大胆なアレンジですが、悪くないと思います。
元が誰でも知っている名曲達ですので。

烈火−彩菜−茶太
というラインでの、テーマソングも非常に充実していると思います。
中でも、彩菜の挿入歌は素晴らしかった、Elements Gardenいいねやっぱり。
よくよく考えると豪華です。
■ システム ■
基本的システム。

フルスクリーンで処理する場合、デフォルト設定が自動になっているので、
それを一番近い解像度にあわせるに設定しないとワイドモニターだと左右に帯が出ます。
コンフィング内で設定出来るようにして欲しかったけど、まぁいいです。
あ、パッチでた。

イベントシーンの区切りとかで多少バグがあるなぁこれ。タイトルまで巻き戻される。漏れだけかなぁ。

基本一本道シナリオなので攻略制限があるのかは知りませんが、
順々で進めていくべきだと思います、1章につき、1ヒロイン。

難易度、易。攻略時間、13時間前後。
■ 総評 ■
「命をかけた純愛のドラマ――――」
相変わらず、純愛がなんなんなのか、明確にはわからない。
幾多の物語で純愛が持てはやされても、わからない。実に曖昧だ。

総合的な作品の質は、実に良く出来ている、面白かった。
ただその上で言うとするならば、物語の終幕がなぁ・・・。
何段階かに区切って、延ばし延ばしをしつつもあそこでフェードアウトは解せん。
というか、もう少し見せて欲しかった。
確かにあのラストは答えなのだろうけど、それはわかったので、
もう少し主人公の歩む道を示して欲しかった。
最後の最後で放り投げられたのが、リリースポイント手前過ぎたんじゃねーのという強い所感。
あと少しでいいから粘って欲しかったです。
完結するという気概はあったけど、早まったんじゃないのかというのがもったいないなぁと。

なに・・・FDだと・・・、もういいよFDは・・・。
まぁ、あからさまに足りない物を埋めようとするものではないけれど、
昨今のちょっと物足りない感が詰る、そんな読後感の残る作品は、
どうにもなぁ・・・、諸手を上げて、傑作だと叫ぶのは難しいですね。
■ 78点 クラス A ■