晴れときどきお天気雨 |
■ 短評 ■ |
お天気雨の章がなかったらと思うとかなり悲惨な具合。 |
■ シナリオ ■ |
いやはや、今回のはしんどかった。 かくしてまた、またエロゲー界に駄目主人公が誕生してしまったのである。 結構なくずっぷりに進めることすら躊躇してしまったよ。 NYAONが描く世界は、まったりして優しいのだけれど、物語に毒を含ませ日常を侵食していくスタイル。 今回で言えば「なずな」の設定があまりにも枷すぎた。しかも攻略対象キャラに含まれているから重くもなる。 しかもどのキャラでも毒としての機能が優秀すぎた為、いざ攻略対象として見ようとしても、ブレーキがかかる。 そして問題の主人公。 流石にエロゲ界の駄目四天王には及ばないけれど、 恋愛原子核、優柔不断、鈍感、うつろぎやすいという基本主人公パーソナルエンチャントされる、 妹最優先という人格における物語の落とし穴が強烈。 それは、一本道分岐且つ、進むごとにヒロインを振るという選択肢を迫られるからである。 考えてみればもはや構成の問題でそれを強いられる主人公は悪くないんじゃねーか?とも思えるけれど、 いいや、こいつも悪い。ネタバレになるので詳細は省く。 という二点の強烈な負の因子が物語を進行させようとする読み手へ強く作用するお話となっている。 とは言え、「絢音」ルートと「お天気雨の章」トゥルーは面白い。 絢音はバックボーンが他のキャラと比べて主人公に対しても説明的であるし、 ぱれっと的なヒロインでわかりやすい。このくらいであれば良かったんだよ。 「お天気雨の章」は、泣かせに来ているのがアリアリなのだけれど、そこを推しても整合性がとれたシナリオ。 BADからの復帰、いわばifルートをトゥルーにする所と、 未来からの来訪者が求めた理不尽さの解決策としての未来を打破するという構図がわかりやすくて好き。 だって、そうだろこんな作品だとしても物語はまるっとハッピーエンドであるべきだ。 |
■ グラフィック ■ |
オープニングが神月作品。 くすくすキャラなんだけど、昨今らしからぬ解像度っぷりでぼんやり。 流石にもうそろそろワイドにしようぜ、な、ぱれっと。 Hシーンは各キャラ、3〜4回。内容としてもわりとな感じ。 |
■ ヴォイス ■ |
コミパ好きとしては、AYAさんがお元気そうで何よりだった。しばらく耳にしていなかったから 他のキャストはまぁいつも通りで特になんともない。なんともない。 |
■ サウンド ■ |
WHITE-LIPSのコーラスワークがド安定であるのは言うまでもなく、 樋口秀樹もいつも通りで満足した。 |
■ システム ■ |
基本的システム。 話数仕立て、あまり意味は感じないけれど、 素直に順番にクリアしていくのが良いのだろう。推奨する。 香奈恵ルートは一度BADに入ってからの、「お天気雨の章」ルートで開演。 久々に意味があるBADENDだった点については、物語の流れが考えられており良かった。 攻略時間、24時間。 ボリュームについては広報通りぱれっと史上最大ボリュームだったと思う。 難易度、易。 選択肢が4つ。 |
■ 総評 ■ |
本当に、NYAONが書いたの?嘘でしょ?今ならまだ許すから、時間がなかったんだろ。なぁ、ぱれっと。 と思わず進行途中に口に出してしまうぐらいの衝撃。 漏れとしては抽象的すぎてあまり好きな表現ではないのだけれど、一言で本当に「オーラ」が無い。 例えばこれが、どこぞの無名メーカーが作ったとするのであれば、 『途中まで超残念展開だったけれど、最後のトゥルーがやりたかったとするのであれば我慢しよう』的な評価になる。 だけれど、NYAON3年ぶりの新作がこれだというのは、あまりにも・・・。泣くしかない。 先の見える展開、相手に依存する展開、フックらしいフックもなく起こる負のフラグ。 言及する対象が曖昧であるという点もあるのだろうけれど、 とにかく今回のはNYAONらしくない。年月というブランクで何が起きたのかしらんけれど、心配になるわ。 |
■ 68点 クラス B ■ |