ひぐらしのく頃に
■ 短評 ■
「惨劇なんて無い、あったのは悲劇と喜劇。」
■ シナリオ ■
注:鬼隠し〜祭囃子編通じての感想になります。

「ふぅ・・・」
ようやく終えた、4年間続いた「ひぐらしのく頃に」をだ。物語完結後特有の、高揚した頭で考える。
要約するに、まさに祭囃子編のキャッチコピー通りの物語だったのだ。

そこには、ある種作者の思いみたいなものが込められていると感じられる。
物語の根底に流れるのは性善説なのかもしれない。
その理屈はともかく、一編ごとに、「なぜ」「どうして」と謎の提示されることはもう・・・、無くなった。
その編ごとに、凄惨な事件や出来事、どうにもならない進行、展開にヤキモキすることも、もう、ない。

得てして、物語というものは、紐解いている最中が一番楽しいのかもしれない。
というのも、鬼隠し編から通じて、作者は、推理という形で我々にこの物語を提示した。
今となっては、その推理というモノは形骸化してしまったが、
その飽きれることも無い作者側の用意した「解答」に、異を唱える人も少なくなかった。
けど、全体に対してどれだけの人がそこでドロップアウトしただろうか?
調べるまでも無く、そんなことはナンセンスな問題だろう。
物語を読ませる、物語に引き込む、その役割は十分果たしたのではないかと私は思う。

鬼隠し〜皆殺しまでも良かったが、それぞれBADENDだった。
例え、犯人がわかろうと、結末を目にするまでは完結したとは言えない、
一番面白いところなのだから、結末というのは。
今回の祭囃子編は、今まで起きた要素の上にある「最高であろう解(結末)」。
これを見ずして、なにを読んだ気になれるだろうか。

「もうこれ以上、どう転んでも、幸せにしかなれない物語」
それが祭囃子編。素敵な響きだな。

私から言えることは以上。各自、散開し、己の目で刮目せよ。
■ グラフィック ■
竜騎士絵でないと落ち着かない自分がいたりする。
■ ヴォイス ■
無し。
■ サウンド ■
ENDING曲が唄付きだった。
曲名「そらのむこう」、歌い手様は「結月そら」。
知らなかったけど、上手かった。
■ システム ■
基本システム搭載。

「攻略なんてない、あったのは一本道。」

祭囃子編、最後の最後まできて「かけらあつめ」という方法での読ませ方というかシステムというか、
もっさりしてて、物凄く焦れた。
けど考えてみれば、何、TIPSを先に全部読ませた結果にすぎない。
先に、物語の補完を我々にさせ、終幕まで集中させたのだろう。
■ 総評 ■
如何に、同人ゲームというジャンルで、多くの人々に知られ、読ませることが出来るのか。
という問題はどこでも抱えている問題だと思うし、
なにより、少しでも読んで貰えれば勝てると思ってる人がどれほどいるのか。
そういった点において非常に興味深い「売れ方」「広まり方」を本作品はしたのだと思う。

初めは、ホラー要素。この作品がこんなに怖い!!
そんな感じだったと記憶している。
次は、ぜんぜんわかんねぇぇぇぇぇ、犯人誰だよ。
この頃にはもう、勝負は決まっていた。
皆様が、ゲームを選ぶ上でどんな選択をするのかはわからないが、
あんな絵(失礼だが)を見て、それでもプレイするのはそれなりに「勇気と理由」が必要だったと思う。
どうみても、絵のハードルがあったと思う、ネームバリューも無かった。

同じく同人出身の型月でさえ、いくら「きのこ」の文章がいろんな意味で一線を画していたとは言え、
「箒」の絵がなければ、もっと苦戦した筈である。
エロゲーとノベルゲーを一色単にするのは乱暴であるとは思うが、大味一緒だと考える。

総じて言えることは、どちらの作品もユーザーに良く愛された。引き込んだのだ。
その過程での手法、演出が一線を画していたということではなかろうか。
興味の無い人間に「文章を読ませる」という行為はそれほど難しいのである。
無論、話題性というものは所詮、一過性の物に過ぎない事が多い。
それを、今日までの結果に昇華させた。

この結末にも賛否両論あるだろう、でも作者のこの物語に対する姿勢(後付かもしれないが)、
「現実世界はこんなにも優しくない、でもこのひぐらし〜という作品では一つの魔法がある。
それは、他人を信じる事によって、発生する奇跡」
泣かせるじゃないか。
同じく作者がこの作品はエンターテイメントだと言った。
ならば、そうなのだろう。それ以上言うことも無い。

本作品は8つの物語に分割された物であるが、こんなにも次の話はまだかと、期待させられた作品だった。
それが、全てにおいて優先される私の感想。


ありがとう、しおんのおっぱい、さらば。
■ 85点 クラス A+ ■