narcissu -SIDE 2nd-
■ 短評 ■
世の生まれ落ちた者であるならば、必ずたどり着く「死」というモノの前では、誰しも平等ではある。
でも、その者が辿った道の重さは、その者にしか量りかねない。
であるならば、最終的にそこにたどり着く、時の重さは? それが突然であったにしろ、緩慢な流れであったにしろ、
そこに関係を置く、すべてのモノに対して、なにかを奪い、また何かを残していくものではないのだろうか。
■ シナリオ ■
若くして、逝くというものは、それは誰しも不幸な事だと思うだろうし、
少なからず、その当人がどれだけ幸せだと言ったところで、周りからの判断は想像に難くない。
このナルキッソスでは、10〜20代のキャラにスポットを当てているだけに、
当人の「生への執着」が薄いのではないかと、漏れは前作から思っていた。

でも2において、小児ガンなんだか知らないけど、本当の子供に対して、
その当人が、自分の延命という望みを差し置いても、傍で泣く人に気遣う心の広さがもてるほど、
覚悟なんか無くても出来るというならば、それはやはり体験してみなければわからないのではないだろうか。
少なからず、この後も、莫大な時間が横たわるであろう自分のではわかりかねる。
それを物語だと、一蹴するのはあまりにも簡単ではある。
でも、ライターが述べる上で、そうあればいいという事に基づいているのであれば、
それはまだ観ぬ、人の美しい部分なのであろうと漏れは受け止めるよ。

ポイントは3つ。
15歳のセツミが見た、姫子の生き方への感想。
人は誰しも、一人で死ぬということ。
ナルキ1ラストシーンの意味。

それらが、2では語られている。
では、読者がどのポイントでこの物語を読み解くのか。
それは物語の言葉を借りて、述べるのであれば。ネロ、パトラッシュ、アロア。
まさしく、この三者の視点からに、なるだろう。
どの視点からでも物語を望めるように、うまく作られている。最大級の評価を。
本筋は、ナルキ1の「セツミの決めた事」に帰結する。

一切の余計な事は省きつつも、ホスピス患者と家族という位置関係にもうまく言及していると思う。
病院の点数制度、若いと本当に大変です。3割がとてつもなく大きくのしかかる。
終末医療の現場とは、病院のドル箱なんだよ結局。
やるだけやってもらうか、自然のままにと放置してもらうか。
どちらにしても、誰が悪いわけではないけど、両者に負担が重い。
であるならば、自分で選ぶ死というのは、少なからず軽いものではないと物語内で言及できている。
それで、十分だろう。

ライター本人も言うとおり、2→1の方がよりおすすめではあるだろうけど。
1→2というのも、なるほどなぁと思う部分は大変多かった。
前作気になっていた、物語の要点、セツミの覚悟を知ることが出来るから。

是非、どの順番でもいいので、プレイし感じて欲しいものです。
■ グラフィック ■
濃厚な死の雰囲気をそれほど表していなにしろ、
場面、場面においてそれらを嗅ぐわせる、情景のうまさは前作以上。

ごとP先生、ナイスイラストでした。
■ ヴォイス ■
能登ぅ・・・。

能登に泣かされるとは思わなかった。くやしいっ!でも夏マシンガンは歌えないよ。
■ サウンド ■
優秀すぎて我慢できない。ラムネ'78はやはり名曲。
■ システム ■
120円システムはやはり優秀。長いこと付き合うとよくわかる。

プレイタイム、1:30。
■ 総評 ■
久々に、泣いた。ポイントは実にベタなんだけど、あれほど強打されると、どうしょうもなかった。

死生観なんて、誰でも捕らえ方は違うだろうし、そこに宗教を持ち込んだ気持はわかる。

統一した意見、少なからず表面上にしても、それはとてもむつかしい問題。

カトリックの例で進んでいったけれど、頼る何かというのは決して弱い人間ではないという、

表現の仕方も、なかなか気持が良い。

まぁ、ライターの表現したかった作品を感じれば、思いはそれぞれであっても、

よろしいのではないでしょうか。


片岡先生、一日も早い業界への帰還お待ちしております。
■ 85点 クラス S ■