世界で一番NGな恋
■ 短評 ■
納得の純正丸戸シナリオ。
■ シナリオ ■
本当にいつも思うのだけど、丸戸作品はなに書けばいいのかわからんね。
今作も、物語主動では無く、キャラクター主動で進むストーリー。
だけど、今作は幾分他の作品と比べると物足りなさが気になる。

共通ルートは、もう圧倒的に面白かった、日常シーンの天才だよと思えるほど。
笑いのテンポもクスリとするテキストもどれを取っても一流でしょ。
導入のサブキャラの掴みもいいし、主人公の特化したサクセスも小気味良い。
x-ratedの名に恥じない、シーンも上質です。
それぞれのキャラが織り成す良質なハートフルホームコメディに仕上がってました。


ただ、共通ルートから派生する個別ルート、支流と本流という分かれ方なら、まだ枝一本道作品でもわかるのだけど。
ほぼ、本流ちょろっと支流。つまり個別ルートが短かった。いつもの個別ルートで突っ走る勢いが薄い。
作品自体が短い部類の方だと思う、テキスト量はしらんけどさ。
それがまず一点。

それとメインヒロイン、やっと気づいたのだけど、丸戸立てるメインヒロインとはいつも反りが合わない。
この場合その他の方が魅力的だということでもあるんだけど。
並列したヒロインなら、優劣も無いので独りぐらい合わないキャラがいても、視界の外に置けるけど。
ただ、今作のメインヒロインの大家ちゃんが嫌いなわけじゃない。
メインヒロインという特典があるからメインヒロインなわけであって、グランドエンドルートがついております。
どうせなら好きなキャラで締りの良い話が見たいじゃないですか?
そうした要望です。それが二点目。

上記の2点でやや他作品と比べると見劣りするかもなぁと感じた。
相対的な作品の優劣にまで響くのか?と言われるとう〜んという感じではありますが。
もう既に、丸戸シナリオは完成された域での物語であると思うんだよね。
ブレの無い物語。軸がしっかりしている。水準の高い、それこそ最高のエンターティメントを誇ってもいい。
その一切文句のつけようが無い、テキストはやっぱり丸戸すごいなぁと思うしかない。
Hシーンについても、各キャラ4回ずつ、4人だから16シーン。
いつも通り、Hシーンを飛ばしてしまうと肝心なストーリーがややわからなくなるという重点の置き方も。

ただ・・・ただ・・・惜しむらくは構成がなぁ・・・。
■ グラフィック ■
原画のみこしまつり氏。汁原画家だな、うん。
特に奇抜なキャラデザは無いし、HCGもしっかり描いてて好感触。
珍しい塗りをする方だなと思いました、売れるかもシレン。

OP、まぁまずまず。
■ ヴォイス ■
先割れ一族の逆襲。何に対してとかまったく、対象無しですが。○海自重。

さてー、今作声優で語るとしたら、外せないのが「芝原のぞみ」様ですかね、やっぱり。
そうですか、あなたも好きですか○○、的な。
それはいいとして、バリバリ作っているキャラが好きです。
ピカリンはやっぱり安定してるよね、ホントレンジの広い声優やで。

固いキャスティングなんだなとストーリー読むとわかります。キャラ4人だしね。
■ サウンド ■
特になし。
■ システム ■
標準システム搭載。

ルート形成がなぁ・・・。
初手攻略でミスったのは久しぶりでした、なんて紛らわしい選択肢、くっ。
天城→姫→香野→美都子の順での攻略となります。
一本道からの分岐なので過ぎるとアウトです。推奨攻略順もこの通りです。
難易度、普通。
■ 総評 ■
さてハーミットの新作、ハートフルホームコメディを描かせたら右に出るものはいないだろう丸戸さまだったわけですが。
十分、十分良作です。間違いありません。
ただ、大家ちゃんのポイントの高さがあまりにもブレの無い物語すぎて他のキャラがちょっと薄い。
もちろん、サブキャラクターを含めて、魅力的な面子であり、物語を彩る事は出来ていると思うのですが。
「世界で一番OKな恋」シナリオの閉め方も清清しいものであるけれど各キャラ共通でエピローグがかなりあっさりしている。
物語の短さも関与してか、もう少し観たかったという物足りなさは否めません。

構成とテキスト量さえ、もう少しなんとかなっていれば、もっと盛り上がれた。
ここまで来るとどれだけ作品に時間をかけるかだと思う。
この作品をリリースする意気込みというか、ここに投げればこのくらいの反応が返ってくるだろうという、
その意味である程度、力を抜いた作品では無いのかなとちょっと思いました。
すべてがすべて傑作である必要はないからね。

丸戸が家計を作るときっとこんな感じ。

通常、12時間あればお釣りが来るでしょう。
■ 79点 クラス A ■