太陽のプロミア
■ 短評 ■
久しぶりに読後感良い物語だった。典型的な円形都市が舞台な本作、見事ファンタジー作品だった。
■ シナリオ ■
中世風円形都市となると何かといろいろ漏れの中のフラグが立つわけなんだけれども、
そこからのSF展開というのは実に、いろんな意味で愉快。

世界は転生を繰り返す女神よって成り立っており、それを千年以上も裏で均衡を守る存在がいて・・・、
明確にその世界を脅かすモノがいる。というのは、実に保守的な設定ではある。
しかし、そこから物語をどう転がして、どこに着地させるのか―というのが見所。
だって、進めていくと明らかになるプロミアの設定が実に気持ちいい。
ある種超越した勝手な気ままな存在ではあるけれど、方向性として一貫としているから。
また、SF的要素というのも感じ入る所がある。

不快がないネアカなキャラクター達というのはスタッフらが作ってきた今までの作品を踏襲している。
素直に、楽しめるというポイントであろう。
作品的に、一人のキャラクターとの恋愛というところは薄いのかもしれない。
及第点的萌えはあるだろうけれど、そこよりは全体的な物語が重視されている。
ルート開放型であるだけに、ラストのキャラ重視かなぁと思ったけれど、
結局、ぷぅが全部一人で持っていくというのはいっそ清清しい。
■ グラフィック ■
OPムービー、緩やかなすべり出しでテンポをあげていくパターンのだけれど、
切り替えしが早すぎる、キャラと声優表示が追いつけていない。
細かい所だし、ムービー全体としては良いのだけれど、ちょっと唸る。

塗りがエロイね。CGの枚数、シーンとしては特筆べき点はないけれど、塗り勝ちしている。
川原キャラもいいし、たけやキャラもいい。
複数原画を感じさせない統一感も見事。
■ ヴォイス ■
やはり、守田羽糸さんの演技はうまい。天然鉱石の当て字読みは、まぁ置いといて。
小柄な男性キャラからこうしたヒロイックなキャラもお茶の子さいさいぷりは感嘆。
もう少し表でも聞きたい声優である。
沢田さつきさんも名義がだいぶ増えてきたけれど、変わらぬようで結構。
■ サウンド ■
OPがNANA。気持ちのよい曲。
■ システム ■
基本的システム。

ルート開放型。
ぐるっと一周するとおとぎ話が埋まる。

オフィシャルページの作品設定の情報量が多く、楽しんで見ていられるのが良い。

攻略時間24時間。
難易度、易。
■ 総評 ■
がちがちのファンタジーからSF的展開を挟めるというのは、
古代文明とかいう単語が出てくれば、予想して然るべきフラグではある。
しかしその場合どの程度SFに足を突っ込むかという観点よりは、
どれだけ苦しい部分の嘘を混ぜてそれを真とするかという手段であり、主になるわけではない。

例えば、ファンタジーな世界でお姫様とキャッキャウフフしていたらある日何気に城の地下を探検してみると、
宇宙船があって過去離脱した地球に辿りつくという物語があったとしたら―――
その話では、なんで城の地下に宇宙船があるんだよ!という話になるだろう。
けれど、そんなことを考えても仕方ないのである。キャッキャウフフしていたら見つかるもんなんだよ。
その程度のギミックなんだよ、たぶん。

話が宇宙の彼方まで反れてしまったけれど、
太陽のプロミアというこの話はキャッキャッウフフしていたわけではない。
それが人々の○○。だった点において全部解決される。
体言するキャラクターがいて、主人公がそれを支える。
という構図が気持ち良かったのである。
■ 79点 クラス A ■