Steins;Gate/シュタインズ・ゲート |
■ 短評 ■ |
CSのADVで超科学設定且つ、 伏線回収を綺麗に行いラストの逆転劇といえば、言わずもがな「Ever17」を彷彿とさせる。 彷彿させるけれど、中身は・・・あたりまえだけどまったく別物。 |
■ シナリオ ■ |
今作は、Nitro+と5pbで昨年からリリースしている、妄想科学、想定科学シリーズである。 前提として、推理ADVではないし、故にトリックに着眼するものでもない、 萌えゲーでもないので、キャラクターに悶える必要もない。 超科学モノというジャンルは、素直に科学ゴイスー精神で挑むべし。 ルートは、 鈴羽→フェイリス→るか→まゆり→紅莉栖の全5ルート+1。 フェイクEDムービーにはいろんな意味でびっくりした。 舞台は、秋葉原。 世界線が変化する中で多様な秋葉原という街の構造をうまく利用している。 また、登場人物もそれらに伴い、個性の強いキャラクターがうまく出来上がっていた。 シュタインスゲートはタイムマシン装置を利用した、ループ作品。 下倉バイオが構成補助で入った要素というのは非常に大きかったのでなかろうか。 ループの面白い所はいまさら特筆すべき事ではないので割愛するけれど、 バイオのループは、失敗をとにかく繰り返し、そして・・・。 これだけで事足りる。 見所としては、 設定として伏せられている札というのは、それほど多くは無い。 プレイヤーが理解出来ないような環境システムでも無い、想定科学だから。 そうあるべき、というべき論の中にしか確立していない。 だから、ご都合と言えばそうであるし、異なると言えば、異なる。 やはり中二病患者の主人公がどうして最後まで行き着く事が出来る様になったか―――という軌跡。 その過程にこそ、シュタインスゲートの面白さが詰まっている。成長劇なのである。 |
■ グラフィック ■ |
キャラデザはhuke氏、初見。自分としてはそれほど違和感は無かった。 最近のよくある系のタッチではないけれど、作品として適当だと思う。 ムービーがとにかくかっこいい。 |
■ ヴォイス ■ |
このゲーム何が凄いかって言えば、関智が凄すぎて我慢できない。 なにこのデブキャラ、萌えるんですけど……という位置まで持ち上げるキャストの力は、 とてもこの項だけでは語り尽くせない。 前作吉野が、あれだけ魂込めてキモくネットスラングを使いこなしていた事を考えれば、 今井麻美のネットスラングの使いこなしはいまいちとしか言えない。 しかし、あのたどたどしい感じだからこそキャラと合うのだろうと思うとまぁいいか。 あとはゆかりんとゆかりんとゆかりんとゆかりん。 白石は予定調和。 |
■ サウンド ■ |
いとうかなこと榊原ゆいのZIZZ。 どれも良いです。 |
■ システム ■ |
基本的なADVシステム。 にプラスして、フォーントリガーというシステムがある。 現代人に必要不可欠なアイテムである携帯というのが物語の大きな要素の一つであり、 上記をうまく利用した、電話に出る、出ない、メールを返す、返さない等で構成されており、 選択肢キャプチャは一切無い。 受動的ではない、能動的な未来を選択させるという画期的なスタイルをとっている。 難易度、普通。 攻略時間、23時間。CGフルコンプだけど実績は完璧ではない。 |
■ 総評 ■ |
世界線変動する範囲を渡り歩き、最良の解を見つけようとする物語 この手は王道なんだけど、最近イマイチなのが多かった。 だからこそ、ここまで完成されたモノというのは非常に嬉しいし面白い。 5pbとNitro+の前作カオスヘッドの弱かった部分もうまくリカバリーもフォローも出来ていた。 設定がしっかりしたSF的名作に落ち着くのではないかな。 ラストへの収束。どうあがいても絶望からの逆転劇というのは普遍的な物語だと思う。 終わった後での物語の反芻というのも美味であるし。 まぁEver17とは全然方向性が違うよねっう。 世界線収束範囲を乗り越え、境界面上のシュタインズゲートにたどり着くという目的から観れば、 どっちかっうと、YU……やめよう荒れるから。 物語も面白い、システムも画期的で評価に値する、キャラデザも悪くないし、音楽も良い、キャストも凄い。 ではなぜ、お前はこの点数をつけるのかと言うのであれば、 ストーリーが予想の範疇、世界線収束範囲を超えていなかったから。 元からその素振りはまったく無いし、作品として間違っているとも思えないけれど、 読み手である漏れが期待してしまったのだから仕方ないと思うんだ。 そうさせる要素があった時点でプレイする価値は十二分かと。 |
■ 80点 クラス A ■ |