【428 ~封鎖された渋谷で~ レビュー】サウンドノベルの集大成と異彩を放つ奈須きのこ編<





【428 ~封鎖された渋谷で~ レビュー】サウンドノベルの集大成と異彩を放つ奈須きのこ編




【レビュー】428 ~封鎖された渋谷で~|サウンドノベルの集大成と異彩を放つ奈須きのこ編

評価:77点(クラスA)|プレイ時間:約15時間|ジャンル:サウンドノベル

■ 短評

メインは堅実な群像劇。渋谷を舞台にした陰謀と人間ドラマが絡み合うエンターテインメント作品。
しかし、やはり異彩を放つのは奈須きのこによるスピンオフ「カナン編」。

■ シナリオ

本作は1998年の『街』に続くシリーズ第2作であり、チュンソフトのサウンドノベル第7作目。
「かまいたちの夜」などとは異なり、人間模様を描くエンタメ色の強い作品です。

● メインストーリー

序盤はやや重く、人物相関が見えてくるまでに6時間ほどかかる印象。
しかし、そこを越えると物語は一気に加速し、ザッピングの面白さも際立ってきます。

「あなたが最後に守りたいと思うものは、何ですか?」というテーマのもと、家族・絆・約束といった人間味あふれるドラマが展開されます。
ノーマルとトゥルーの2種類のエンディングがあり、フラグ構成も丁寧でわかりやすいです。

● ボーナスストーリー(我孫子武丸)

まさかの泣きゲー三原則を踏襲した構成に驚き。狙いすぎ感はあるものの、印象に残る内容でした。

● ボーナスストーリー(奈須きのこ)

アニメ化も決定していた「CANAAN」編。
文体・ルビ・設定すべてが「これぞ奈須きのこ!」という濃厚な世界観。
共感覚を持つ少女カナンの物語は、サウンドノベルの枠を超えた異色のスピンオフとして強烈な印象を残します。

■ グラフィック

実写ベースのビジュアルは臨場感があるものの、動的な演出にはやや物足りなさも。
武内崇によるカナン編のビジュアルは、いつも通りの濃さでファンには嬉しい仕上がり。

■ ヴォイス

メインストーリーはボイスなし。
カナン編のみフルボイスで、キャストは以下の通り:

  • カナン:沢城みゆき
  • アルファルド:坂本真綾
  • シャム:大塚明夫

坂本真綾さんの演技は想像通りの安定感。キャラの幅は狭いが、役柄には合っていました。

■ サウンド

可もなく不可もなく。印象に残る楽曲は少ないものの、物語の雰囲気を壊すことはありません。

■ システム

基本的なシステムは搭載されていますが、やや不便な点も。
バックログはあるものの、ボイス再生機能がなく、カナン編には特に欲しかったところ。
ザッピング時の既読判定やTIPS一覧など、もう一歩の工夫が欲しかったです。

■ 総評

一部で満点評価も見られますが、個人的にはそこまでではない印象。
とはいえ、メイン・サブ含めて一つの物語としてしっかり完結しており、十分に楽しめる作品でした。

奈須きのこ編は異色ながらも強烈な個性を放ち、作品全体に彩りを加えています。
サウンドノベルというジャンルの可能性を広げた一本として、2008年の名作にふさわしい内容でした。

おすすめ度:★★★★☆(4.0 / 5)