【レビュー】アルテミスブルー|空を失った世界で、空を夢見る女主人公の物語
評価:80点(クラスA)|プレイ時間:約15時間|ジャンル:航空SFADV
■ 短評
いろんな作品の影響を感じつつも、ジュピターが流れる中で自意識と向き合う──
そんな演出ができるエロゲーは、そうそうない。
そして、やってのけたのが井上啓二(あしたの雪之丞)だったという驚き。
■ シナリオ
空に蓋をされた世界で、宇宙を目指した男の物語──
しかし視点は女性。女主人公が語る、航空と人間ドラマの交錯する物語。
舞台は江戸湾。海千山千の猛者たちが集う中、月9のような人間模様が繰り広げられる。
ト書きのような描写が舞台劇的で、ADVとしては異彩を放つ構成。
女性視点のADVに抵抗がある人でも、主人公の立ち位置が特殊であるため、自然と物語に入り込める。
▲関係的な展開もあるが、安心して見守れる距離感が保たれている。
■ グラフィック
OP・EDムービーは標準的な出来。
話数仕立てでEDが挿入される構成はややテンポを損なうが、CGは素直で物語に寄り添った演出。
Hシーンは8回。過度な演出はなく、物語の雰囲気を壊さない範囲に収まっている。
■ ヴォイス
根津の演技が光る。全体的にキャストの演技は安定しており、物語への没入感を高めてくれる。
■ サウンド
あの場面で流れるジュピターは反則級の演出。
音楽が物語と感情を強く結びつける好例。
■ システム
基本的なシステムを搭載。選択肢はなく、一本道の構成。
物語に集中できる設計で、演出過多にならず、読みやすい。
■ 総評
女主人公が本編を通して処女を守り抜くエロゲー──それだけでも異色。
だが、それを成立させるだけの物語と演出がしっかりと存在している。
アクの強いキャラたちに囲まれながら、普通の感性を持つヒロインが少しずつ染まっていく様子は、見ていて痛快。
奇抜な展開ではなく、丁寧に積み上げられた世界観と空気感が心地よい。
SF好き、航空モノ好き、そして“変わったエロゲー”を求める人にこそプレイしてほしい。
たまにこういう作品が出てくるから、エロゲーはやめられない。