【レビュー】Canvas3|霞のように掴みどころのない続編──シリーズの灯火はどこへ
評価:60点(クラスC)|ジャンル:学園恋愛ADV|ブランド:F&C
■ 短評
今のF&Cの衰退ぶりを見れば、ある意味予想の範疇。
ただ、それで納得できるかどうかは別の話です。
■ シナリオ
シリーズ第3作目。
しかし、1・2作目のキャラは画面に一切登場せず、名前が文章に出る程度。
前作『Canvas2』では1作目のキャラを効果的に登場させていたことを思うと、シリーズファンとしては肩透かしを食らった印象です。
事前に告知されていた「七不思議を探しつつ金賞を目指す」という展開も、実際にはほとんど描かれず。
パンフレット作成の描写も驚くほどあっさりしており、物語の軸がぼやけています。
主人公の成長がシリーズの魅力の一つだったはずが、今作ではその要素が希薄。
愚鈍さばかりが目立ち、感情移入しづらいキャラクターになってしまっています。
全体として、基本は押さえているものの、非常に低い地点でまとまっている印象。
「Canvas」としての意義が見えづらい作品でした。
■ グラフィック
1作目の☆画野朗氏、2作目の七尾奈留氏と続いた水彩調の世界観。
今作ではその流れがやや薄れ、キャラデザインは「大きく外してはいない」ものの、背景のクオリティが著しく低下。
学園までの坂道など、舞台の描写に違和感が残ります。
OPムービーは意外にも良い仕上がりで、全体の中では数少ない見どころの一つです。
■ ヴォイス
キャスト陣は豪華。
夏野こおりさんをはじめ、風音さん、奈良輪由宇さんなど、実力派が揃っています。
木村あやかさんも登場しており、ファンには嬉しいポイントかもしれません。
■ サウンド
劇中歌が唐突に挿入される場面があり、演出としてはややちぐはぐな印象。
音楽自体の質は悪くないものの、使いどころに疑問が残ります。
■ システム
基本的なシステムは搭載されていますが、演出面での重さが気になります。
overtureは特に重く、選択肢とエフェクトが被る場面もあり、意図的かどうか疑いたくなる仕様です。
妹キャラにHシーンがあるのは、ある意味で“進歩”といえるかもしれません。
難易度は易しめで、攻略時間は約12時間。
■ 総評
「そろそろ当たりが来るかも」と思って購入した結果、またもや期待を裏切られた感が否めません。
F&C、あるいはカクテルソフトの栄枯盛衰を象徴するような一本でした。
シリーズ作品を出すには、それなりの覚悟と熱量が必要なはず。
しかし本作からは、そうした気概が感じられず、ユーザーの期待を軽々と裏切ってしまった印象です。
まずはメーカーとしての立て直しを図ってから、再出発してほしい。
それが、かつての「Canvas」を愛したファンへの誠意ではないでしょうか。