【レビュー】『5』|“試される大地”が舞台の懐かしくも新しい良作ADV

【レビュー】『5』|“試される大地”が舞台の懐かしくも新しい良作ADV

長い凍結期間を経て発売されたADV『5』。本記事では、作品の魅力と惜しい部分をネタバレなしでレビューします。北海道を思わせる“試される大地”を舞台にした物語は、懐かしさと新鮮さが同居した一作でした。


短評|流石「試される大地」だぜ…

作品全体に漂う空気感が独特で、舞台設定とテキストの相性が抜群。惜しい点はあるものの、総じて満足度の高いADVです。


シナリオ|懐かしさと勢いのあるテキストが光る

物語全体にはどこか懐かしい雰囲気がありますが、決して古臭いわけではなく、「こういうADV、昔あったよな」と思わせる良い意味でのレトロ感があります。

惜しいのは“終わらせ方”のみ

物語の帰結がやや投げっぱなし気味で、エンドロールで未来を補完する構成は、終わらせる力が少し足りなかった印象です。惜しい点はほぼここだけ。

テキストの面白さは抜群

テキストはとにかく秀逸。ストーリーと関係ない小ネタを延々と引っ張るスタイルも面白く、シリアスと日常のバランスが絶妙です。

“試される大地”を活かした物語構成

自然の中で起こる事象にスポットを当て、広がりすぎず収まりの良い展開が続きます。4人ルートを終えると世界観が理解でき、その時間軸で処理できない事柄へのアプローチも盛り上がりとして十分。

キャラルートも安定感あり

キャラルートは大筋から逸れず、掛け合い・ギャグ・ハートフル要素がしっかり抑えられています。暗い部分もありますが、それを照らす光が強く印象に残る構成です。


グラフィック|キャラデザ良好、OPは曲との相性が◎

OPムービーは特別派手ではありませんが、曲とのマッチングが良く雰囲気を高めています。キャラデザも魅力的で、Hシーンの枚数も十分。

クリーチャーのデザインはやや謎ですが、全体としては好印象です。


ヴォイス|手堅いVA声優陣

キャスティングは安定のVA声優陣。安心感はあるものの、外部声優を起用した時の“意外性”はありません。


サウンド|OP・EDともに高品質

音楽は非常に良く、特にHシーンで変な曲が流れない点は高評価。OP・EDともに作品の雰囲気に合った素晴らしい楽曲です。


システム|基本仕様+5ルート目の解放

基本的なシステム構成で、日付表示にデザイン数字の「5」が使われますが、特に仕掛けはありません。

メイン4ルートをクリアすると5ルートへ進行可能。攻略時間は約12時間、難易度は易しめです。


総評|凍結明けとは思えない完成度の“北ゲー”

長い凍結期間を経た作品ですが、年内に入ってからの進行速度は驚くほど早く、実制作期間は短かったのでは…と思うほど。

構成はやや昔風ですが、テキストの安定感は抜群で、舞台設定との相性も良く、優秀な“北ゲー”として成立しています。

後日談的なフォローがもう少しあれば完璧でしたが、クリア後のTOP画面CGでうまくまとめようとした意図は感じられます。

作中に登場するスポンジ、ちょっと欲しくなります。


評価|79点(クラスA)

終盤の弱さを除けば、テキスト・雰囲気・キャラの魅力が揃った良作ADV。懐かしさと現代的なテンポが両立した、満足度の高い一本でした。