【レビュー】G線上の魔王|るーすぼーい節が冴え渡る、愛と落差のサスペンスADV
『G線上の魔王』は、るーすぼーい特有の“愛”と“落差”を軸にしたサスペンスADV。
狂気と偏愛の中に救いを求める作風は健在で、王道的な盛り上げ方と緻密な構成が光る作品です。
短評|るーすぼーい作品の本領発揮
兄弟愛・親子愛といった“歪んだ愛の形”を描きつつ、感情の落差で魅せる構成は健在。
シナリオ|愛と落差で魅せる緻密なサスペンス
るーすぼーいは、どれほど狂気に満ちた愛でも「そこに愛がある」と信じて描くタイプのライター。
本作も例外ではなく、狂気の中に救いがチラつく構造が特徴です。
落差が生むエンタメ性
表面上の落差を大きくつけることで感情の振れ幅を生み出す──
この手法が本作でもしっかり機能しています。
ミスリードは控えめ、だが王道の巻き込み方が秀逸
今回は「驚くべき」ミスリードは少なめ。
しかし終幕への巻き込み方は王道そのもので、るーすぼーいの味がしっかり出ています。
設定の裏付けが緻密で、ユーザーに“解く楽しさ”を残す構成は見事。
花音ルートは屈指の泣き所
特に花音ルートは秀逸。
ラストのスケートリンクのシーンは、展開が読めていても泣ける名場面。
ベタで捻りがないのに泣ける──
その“恐れずに滑る少女”の姿が本作屈指の感動ポイントです。
グラフィック|安定の有葉クオリティ
原画はいつもの有葉。大きな変化はないものの安定したクオリティ。
OPムービーは神月氏によるもので、雑踏を行き交う視線の構成が印象的。
ヴォイス|第二種声ゲー認定の豪華布陣
河合さん、らっぱすをはじめ、声優陣は安定の実力派。
紫華すみれの滑舌が気になったが、主人公の苗字が“紫華”と知って妙に納得。
全体的に安心して聴けるキャスティングです。
サウンド|大胆アレンジ+豪華アーティスト陣
大胆なアレンジが施されているものの、元が名曲揃いなので違和感なし。
テーマソングは烈火 → 彩菜 → 茶太という豪華ライン。
特に彩菜の挿入歌は素晴らしく、Elements Gardenの強さを再確認できます。
システム|基本は快適、細かいバグあり
基本システムは問題なし。
- フルスクリーン時は解像度設定を変更しないと左右に帯が出る
- イベント区切りでタイトルに戻るバグあり(環境依存?)
一本道構成で、1章につき1ヒロイン。
難易度は易しめ、攻略時間は約13時間。
総評|完成度は高いが、終幕の“早まり感”が惜しい
作品全体の質は非常に高く、面白い。
しかし終幕のフェードアウトが惜しい。
答えは示されているものの、主人公の“その先”をもう少し見せてほしかった。
完結させる気概は感じるが、リリースポイント手前で放り投げられた印象が強い。
昨今の「FDで補完する流れ」を思わせる読後感があり、手放しで傑作とは言いづらい。
評価|78点(クラスA)
るーすぼーい節がしっかり堪能できる良作。
終幕の弱さだけが惜しいが、全体としては高い完成度のサスペンスADV。