【レビュー】晴れときどきお天気雨|“お天気雨の章”がなければ崩壊していた、ぱれっと史上最大ボリュームの問題作
短評|お天気雨の章がなかったら悲惨だった
本編の大半がしんどい展開で構成されているため、「お天気雨の章」が存在しなければ評価は大きく落ちていたと思う。
シナリオ|NYAONらしさが薄れた、重くて進めづらい構成
今回の作品は、とにかくしんどい。
そしてまた一人、エロゲ界に駄目主人公が誕生してしまった。
NYAONの“優しい世界に毒を混ぜる”作風は健在だが…
NYAONの描く世界はまったり優しいのに、物語の中に毒を混ぜて日常を侵食していくスタイル。
しかし今回は、その毒が強すぎた。
なずなの設定が重すぎる
「なずな」の設定があまりにも枷。
しかも攻略対象に含まれているため、重さが倍増。
どのキャラでも“毒”として機能しすぎて、攻略対象として見る前にブレーキがかかる。
問題の主人公
エロゲ界の駄目四天王には及ばないが、
- 恋愛原子核
- 優柔不断
- 鈍感
- うつろぎやすい
- 妹最優先
というパーソナルエンチャントが強烈。
一本道で進むごとにヒロインを振る選択肢を迫られる構成も相まって、読んでいて辛い。
構成の問題とも言えるが、主人公自身も悪い。
(詳細はネタバレになるので省略)
ただし、絢音ルートと「お天気雨の章」は良い
絢音はバックボーンが丁寧で、主人公との関係性もわかりやすい。
ぱれっと的なヒロイン像として非常に安定している。
そして「お天気雨の章」。
泣かせに来ているのは明白だが、整合性が取れており、構成としても美しい。
- BADからの復帰を“ifルート→トゥルー”として扱う構造
- 未来からの来訪者が求めた理不尽さを、未来を変えることで解決する展開
このあたりは非常に良かった。
やはり物語はまるっとハッピーエンドであるべきだ。
グラフィック|神月OPは良いが、解像度が時代遅れ
OPは神月作品で安定のクオリティ。
しかしキャラの解像度が昨今の基準に合っておらず、ぼんやりした印象。
ぱれっと、そろそろワイドにしようぜ。
Hシーンは各キャラ3〜4回で、内容も悪くない。
ヴォイス|AYAさんが元気で何より
コミパ好きとしてはAYAさんの声が久々に聞けて嬉しい。
他のキャストはいつも通りで特筆点なし。
サウンド|WHITE-LIPSと樋口秀樹の安定感
WHITE-LIPSのコーラスは相変わらず強い。
樋口秀樹もいつも通りで満足。
システム|話数仕立て+意味のあるBADEND
基本システム搭載。
話数仕立てだが、特に意味は感じない。
素直に順番にクリアするのがベスト。
香奈恵ルートは一度BADに入ってから「お天気雨の章」へ。
久々に意味のあるBADENDで、物語の流れとして良かった。
攻略時間は24時間。
ぱれっと史上最大ボリュームは伊達ではない。
難易度は易。選択肢は4つ。
総評|NYAONらしさが消えた“オーラのない”作品
「本当にNYAONが書いたの?嘘でしょ?」
進行中に思わず口に出してしまうほどの衝撃。
抽象的な表現は好きではないが、一言で言うなら“オーラがない”。
もし無名メーカーの作品なら、
「途中まで残念だったけど、最後のトゥルーがやりたかったんだろうし許すか」
となる。
しかし、NYAON3年ぶりの新作がこれでは泣くしかない。
問題点
- 先の見える展開
- 相手に依存する構造
- フックの弱さ
- 負のフラグの連発
- 言及対象が曖昧
NYAONらしさが薄く、ブランクの影響を疑ってしまう。
評価|68点(クラスB)
“お天気雨の章”が救った作品。
NYAONの復活を期待していた分、落胆が大きい一作。