【レビュー】星空へ架かる橋|田舎×恋愛×バイノーラルの“そこそこ”良作
■ 短評
『大好きという気持ち 1ミリでも近くで伝えたい』
──そのためにはスピーカーではなく、ヘッドフォンが義務。いや必須。
■ シナリオ
約3年ぶりの柊☆たくみシナリオ。
振り返ると自分はkanoso以来だったので、もはや初対面と言ってもいい。
信頼と実績(?)の「最初の選択肢でバッドエンド」は今回は無し。
テキストネタの応酬は健在で、分かるものから分からないものまで多数。
田舎を武器に戦えるシナリオは少ないが、
その中でも何かを残せる作品はさらに少ない。
● こよりルートが一番好き
町内の見回りを自主的に行う正義感の強い少女・こより。
主人公と共に見回りを続ける中で絆が深まり、
限界集落・過疎化へのアプローチ、つまり町おこしがテーマになる。
最終的なオチは安易かもしれないが、
町長や役場との関係性の中で、
こよりと主人公がどう立ち回るかが丁寧に描かれている。
人望のあるこよりと、外から来た主人公。
二人の未来予想図は幸福そのもので、
その後を想像する余地が豊かに残されている。
● 田舎らしい恋愛の“穏やかさ”
世界をひっくり返す純愛でも、胃が痛くなる三角関係でもない。
大掛かりな仕掛けもない。
ただただ田舎らしい恋愛。
だからこそ許される動きがあり、
「もしかしたら本当にあり得るかも」という発展性がある。
見ていてとても穏やかな物語だった。
● 髪型変化は正義
ヒロインが恋心を自覚し、自己性をアピールする過程が微笑ましい。
伝家の宝刀・髪型変化。
元気っ娘が髪を下ろしたら──
それは萌えである。大好きだ。
ただしツンデレは痛い。やりすぎ。
■ グラフィック
OPムービーは良い感じだが、楽曲がイマイチ。
キャラデザは特筆なし。
各キャラHシーン4~5回。枚数も十分。
■ ヴォイス
「これが、プロデュース可と不可の違いか!」
と危険なネタを振りたくなるほどの豪華さ。
ただし、ちょっとしか出ない老人キャラに波動拳を使うのはやめてほしい。
もったいないおばけが出る。
■ サウンド
EDは青葉りんご。
OPは作詞畑で、やや弱い。
■ システム
基本システム搭載。延期9回の大物タイトル。
話数モノにありがちな「毎話OPムービー挿入」を阻止する機能は嬉しい。
音声バグが多いがパッチで対応済み。
● バイノーラル音声について
ヒロインとマンツーマンの場面、またはHシーンのみ対応。
ヘッドフォン推奨。
MDR-Z900HDで聴いたところ、
隣の席のヒロインが耳打ちしてくるシーンは本当にそこにいるように聞こえる。
これはすごい。
ただし、教室が静寂すぎる。
ガヤ、板書音、紙をめくる音などSEが必要。
Hシーンは位相が怪しい部分があり、鳴りが気持ち悪いところも。
結論:真剣に聴くものではないが、あると臨場感は段違い。
難易度:易
攻略時間:14時間
■ 総評
買ってから気づいた。
青空・茜色を手がけたサイトウケンジがいない。
TRUMPLEに移っている。
三部作なのに最後だけライターが違う──。
とはいえ、遊べないほどではない。
むしろ結構楽しめたし、バイノーラルはポイントが高い。
一部ルートは面白く、展開も期待できるものだった。
延期による期待の上下はあったが、
「そこそこやってくれるだろう」というラインには応えてくれた。
それが“そこそこ”だったのは残念だが、
ライターが違うなら仕方ない部分もある。
これからのfengは厳しそうだが、がんばってほしい。
■ 75点 クラスA