【レビュー】Inclusion インクルージョン|テンポの良さとサウンドが光るザッピング系サウンドノベル
■ シナリオ
まず本作には選択肢がありません。
形式としてはサウンドノベルであり、さらにザッピングノベルの構造を持っています。
ザッピングノベルといえば『Ever17』などが優秀な例として挙げられますが、
『インクルージョン』もかなり良い線を行っていると感じました。
展開が素早く、読み手を引き込みやすい。
キャラクターごとにシナリオが決まっており、一本一本の尺がちょうど良い。
ストレスなく読み進められ、飽きが来ない構成です。
読み物としての価値は人それぞれですが、
自分としては上遠野浩平+乙一のような雰囲気を感じました。
あくまで個人の感覚ですが、分かる人には「ああ、あんな感じね」と伝わるはず。
荒を探せば色々あるでしょうが、総じて面白い。
ただし、ザッピングを活かすなら、
同じ場面を共有しているキャラの“感情”や“想い”をもっと書き込めば
さらに良くなったと思います。
■ グラフィック
絵師はたかみち。
『果てしない…』の人ですね。久々に見ましたが、相変わらず独特で魅力的。
この世界観に非常にマッチしており、良い仕事をしていると思います。
■ ヴォイス
ボイスなし。
ここが痛い。
ラジオドラマでは素晴らしいキャスティングだっただけに、
声が付いていれば完成度は相当高かったはず。
■ サウンド
本作最大の注目ポイントはサウンド。
むしろ最大要素と言っていい。
年内のゲームでもここまで良いサウンドはなかったのではと思うほど。
挿入歌、OP、ED、どれも素晴らしい。
BGMも完成度が高く、昔のLeaf作品を思わせるクオリティ。
サウンドチームの選択は大正解。
■ システム
基本的なシステムを搭載。
とはいえ選択肢がないため、システム面で語ることは少なめ。
■ 総評
エンターテインメント性は控えめですが、それでも良作だと思います。
ボイスが付けば80点は付けられたはず。
声がなくても気にならなかったのは、テンポの良いシナリオの力が大きい。
物語のオチも綺麗で、読後感も良い。
サウンドと絵の味わいも魅力的。
最近の類似作品で言えば『沙耶の歌』よりよほど良い。
あちらのキャストをこちらに持ってきたら相当面白くなったと思う。
ブーストオンの処女作としては好調な滑り出し。
値段は少し高めかもしれないが、雰囲気の良いシナリオを評価したい。
好きなキャラは特に無し。
総じて、なかなか楽しめた一作。
■ 75点(フルボイスなら80点)