【レビュー】マジスキ~MarginalSkip~|なんでも出来る舞台で呉シナリオが暴れ回る一本

【レビュー】マジスキ~MarginalSkip~|なんでも出来る舞台で呉シナリオが暴れ回る一本

■ 短評

なんでも出来る舞台を用意しました──呉シナリオの真骨頂が炸裂する作品。


■ シナリオ

ルートは大きく分けて二系統。

  • 神魔界ルート(シェーラ/ニース/かなで)
  • 人間界ルート(由記菜・冬子)

なぜ“かなで”が神魔界側なのかはぜひプレイして確認してほしい。
バタフライエフェクト的な構造で、設定の妙が光る。

主人公・貴之の生い立ちが全キャラに関与しており、初期状態からハーレム。
「ここからどう進めるんだよ……」と思ったら、
いつもの豪腕・呉脚本が全てをねじ伏せてくる。
想像を絶する展開なのに、王道の流れは崩さない。
別作品なら分かる構造を、同一主人公で一本にまとめる豪腕ぶりは圧巻。

恋人関係の阻害要因は主人公の過去。
時空移動、神々の黄昏、冥界行き──忙しいが、
主人公の行動原理は常に「結ばれるために頑張る」。
そこが好感。

● 由記菜ルートのタイムリープ問題(ネタバレ)

あなたが抱えていた疑問点を整理すると以下の3つ。

  • ① 親殺しのタイムパラドックス
  • ② タイムリープのタイミング
  • ③ 次元の結合

ビフレストの怪物の余波=世界の結合、
四越オープン時の電話=未来由記菜、
時空Aの由記菜が事故死→親殺しパラドックス発生、
現代由記菜がそれを解消しないとA’へ行けない──ここまでは理解できる。

しかし問題はここ。

「由記菜が来たのは、本来由記菜がいないはずの時空では?」

世界が何度結合しているのか、
由記菜の母親はどの時空に属しているのか、
ループ構造が発生して頭がイッーとなる──その感覚は正しい。

このルートは“設定の穴”というより、
呉シナリオ特有の勢いで押し切るタイプの構造なので、
厳密に整合性を取ろうとすると破綻する部分が出てくる。
(3行で説明できる人がいたら私も聞きたい。)


■ グラフィック

OPムービーは及第点以上。ジャイロのシーンが特に良い。
キャラデザはMitha+ひなた睦月が中心。
「誰だよ連れてきたの……」と思うが、
最近のひなた作品の中では一番頑張っている。
鋭角さは相変わらずだが、普通に見られるレベル。

Hシーンは各キャラ3回、かなでのみ4回。
メーカーの意地を感じる構成。


■ ヴォイス

中瀬ひな、こんな感じだったっけ?という印象。
霧とめめめ以来なので馴染みは薄いが、声の抜けが気になる。
川崎ハレは初見だがキレがあって良い。
メイン陣はいつも通り安定。


■ サウンド

デートコースの曲がもっと流れるかと思ったが、
重要な場面で少し流れる程度。
OPは佐藤裕美×NANA。3曲目だと思うが、
ひろみさんのコブシは相変わらず良い。


■ システム

基本システム搭載。
ゲーム内エフェクト、コミカルな切り替え、ハートフルおしゃべりモードなど
“新機能”と謳っているが、特に目新しさはない。

背景内ムービー再生は珍しく、ウィンドウを消して見入ってしまった。

● 画面サイズ問題

1920×1200環境ではフルスクリーンがセンタリングのみ。
1680までは解像度変更が出る。
アスペクト比を気にしないなら1024×768、
気にするなら1280×800のウィンドウが最適。
会話ウィンドウにノイズが出るが軽いので許容範囲。

攻略時間:24時間
難易度:易(選択肢少なめ)


■ 総評

呉シナリオとして非常に好み。
キャラごとに全く違う物語が楽しめ、一本で五度おいしい。
特定ルートでしか出ないキャラもいて、無駄遣い感はあるがそれも味。

全体的に雑多でごちゃごちゃしているのは否めない。
狙っている層が不明で、広報もチグハグ。
デートコースのムービー作る前に本編の宣伝をしろよ、と言いたくなる。

ただし、なんでも出来る世界観だからこそ、
最後に一本“トゥルールート”が欲しかった。
そこだけが惜しい。

■ 76点 クラスA