【レビュー】もしも明日が晴れならば|爽やかさと切なさが交差する“はーとふるすとーりー”
■ シナリオ
ぱれっとの新作「もしらば」。
全6章構成で、4.5章あたりでルートの方向性が決まり、6章で分岐する仕組み。
ただし共通ルートが長く、文化祭までのフラグ管理が難あり。
対象ヒロインのシナリオを回収していなくてもクリアできてしまう点は、構造上の不備を感じる。
プロローグでは重めの雰囲気を漂わせるが、実際は爽やかな青春ストーリー。
全体的に高水準でまとまっており、ぱれっとらしい丁寧な仕上がり。
● メインヒロイン・明穂
幽霊として登場し、物語を進める“壁役”でもある存在。
彼女がいなければ全てうまくいくのでは…とイラッとする場面もあるが、
彼女がいないと物語が成立しない構造は、RUNEの『初恋』を思わせる。
輪廻転生を経ても繋がる“赤い糸”がテーマ。
● 妹ルート・つばさ
本作で最も人気が出そうなキャラ。
典型的な姉への嫉妬型シナリオだが、嫉妬を隠さず広い視点で描く点が新鮮。
幽霊である姉の立場が物語に深みを与えており、複雑な構造が面白い。
● 巫女ルート・珠美
久々に“形だけではない巫女”が登場。
処女性や血筋といった定番設定に頼らず、独自の切り口で描かれる点が魅力。
関西弁ツンデレを狙っているのが見え見えだが、それもまた良い。
● 疫病神ルート・千早
もっとも“ぱれっとらしさ”が出ているルート。
贖罪の年月を経て、ようやく手に入れる温もりと愛情──
しみじみと心に残る良いシナリオ。
● 委員長・彩乃
なぜ攻略できないのか。
なぜなんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……。
激しく不満。
(好きなキャラだけに余計に)
■ グラフィック
くすくす最高。
OP・EDムービーともに高品質で、背景やエフェクトも満足度が高い。
■ ヴォイス
まきいずみの声を久々に堪能。
全体的にキャスティングは良いが、一色ヒカルを脇役に使うのは贅沢すぎる。
演劇シーンでの演技は圧巻で、某アニメ声優より上手いと感じるほど。
Hシーンがないため真骨頂を見られないのが惜しい。
■ サウンド
本作で最も評価したいポイント。
BGMが素晴らしく、ぱれっと作品の中でも最高クラス。
癒し効果が高く、イージーリスニングとしても成立する完成度。
■ システム
基本システム搭載。やや重さを感じる部分もある。
難易度は易しめ。
■ 総評
書きにくい一作。
Hシーンは濃く、シナリオの方向性も間違っていない。
章仕立てのアニメ的展開もアリで、次回予告の力の入れ方は毎回感心するレベル。
声優陣の力技で成立している部分も多い。
ただし共通ルートの長さと分岐の曖昧さは改善の余地あり。
全体的には満足度が高いが、委員長が攻略できない点がどうしても心残り。
4人しかいないのだから、もう1ルート増やしても良かったのでは…と思わずにはいられない。
それでも、ぱれっとの勢いと丁寧な作りは健在。
この調子で頑張ってほしい。
■ 78点 クラスA