【レビュー】お嬢様組曲|魅力と惜しさが同居する“まふまふ”お嬢様ADVレビュー
■ シナリオ評価|お嬢様ADVとしての魅力と中途半端さが同居
『お嬢様組曲』は“ドキドキまふまふお嬢様恋愛ADV”を掲げた作品ですが、
白百合系のガチ百合路線とは異なり、舞台は女学園であっても百合を強調しない構成になっています。
男キャラも存在し、主人公が女装しているわけでもないため、ジャンル的には中央線を走る印象です。
攻略キャラは全員お嬢様属性。
その中で多少の個性付けがされており、香津美シナリオは軽いツンデレ要素が盛られています。
金髪ツインテール枠もいますが、やや“いらんこ娘”感が強め。
攻略キャラは全6人。
全体としてよく出来ているものの、設定を活かしきれていない中途半端さが目立ちます。
本来“お嬢様もの”なら家柄や身分差による障害があっても良いのですが、
実際にそうした壁があるのは一人だけ。
女学園に男子が一人混じっている設定も、シナリオ上の大きな山にはならず、
「ここはもっと使えるポイントだったのでは?」と惜しさを感じます。
起伏はキャラごとの問題解決に寄せられており、
全体としては“お嬢様らしさ”は十分に表現されているため、作品の毛色としては悪くありません。
なお、“まふまふ”の意味は最後までよく分かりませんでした。にわとり……?
■ グラフィック評価|キャラ絵は良好、OPは神社氏で安定のクオリティ
OPムービーは神社氏によるもので、非常に良い出来。
キャラ絵も魅力的で、全体的に水準以上のクオリティです。
一部立ち絵で崩れが見られるものの、致命的ではなく許容範囲。
ビジュアル面は概ね満足できる仕上がりでした。
■ ヴォイス評価|フルボイス&男キャラが一切喋らない独特の構成
本作はフルボイス仕様。
特筆すべきは男キャラが一人も喋らない点で、
世界観の雰囲気づくりに一役買っています。
■ サウンド評価|可もなく不可もなく、標準的な音周り
OP・EDともに存在しますが、特別強い印象は残らず標準的。
BGMも同様に可もなく不可もなくといった評価です。
■ システム評価|基本機能は揃い、遊び心ある設定が光る
セーブ&ロード、バックログなど基本機能は標準搭載。
コンフィグにある「乙女の恥じらい」という項目は思わず笑ってしまう遊び心で、
ここは素直に褒めたいポイントです。
全クリア後には「???」が追加され、
チェックすると立ち絵キャラ全員が全裸になるモードが解放されます。
こうしたおまけ要素はファンサービスとして面白い試み。
ただし、「前の選択肢に戻る」機能が正常に動作していない点はバグの可能性が高く、惜しい部分です。
■ 総評|良作ではあるが突出した強みは薄く、埋もれやすい作品
本作はすでにコンシューマ移植が決定していますが、
「なぜこのタイミングで?」という疑問は正直拭えません。
Hシーンを削った場合、見どころが減ってしまうため、
一般向けとして強い魅力を出せるかは微妙なところです。
絵は水準以上、シナリオも悪くなく、キャストも良好。
遊べばそれなりに楽しめる作品ですが、
突出した強みが少なく、埋もれてしまいそうな印象を受けました。
好きなキャラは白河沙絵。
ボーイッシュな雰囲気が魅力的で、これでツンデレだったら完璧でした。
■ 総合評価:70点
さて、この作品を他の人はどう感じるのか。
受ける層は確実にいると思いますが、広く刺さるタイプではないかもしれません。