【レビュー】レコンキスタ|方向性は面白いのに“読みづらさ”が致命的だった伝奇ADV
■ 短評|シナリオの方向性は悪くない。だが海富一……
大まかな方向性は面白い。
しかし、読み進めても「ちっとも面白くない」という致命的な感覚が残ってしまった作品でした。
■ シナリオ評価|多視点・時間軸操作・伝奇要素が噛み合わず“読みづらさ”が先に立つ
伝奇の上に成り立つ事件を多角的に眺め、最終的に全てを回収する――
狙いとしてはわかるし、方向性も悪くない。
しかし、キャラクターが多すぎてどこを中心に読めばいいのか分からない。
「これが主軸か」と思えば序盤でバサリと切られ、
最後まで宙ぶらりんのまま読み進めるしかなかった。
● サイトビュー構造の失敗
多視点をやるなら、もっと序盤は交わらない視点から始めるべき。
同じ景色を眺めていても、相手を見せないことで物語の重複を避けられるはず。
ところが本作は頻繁に視点が入れ替わり、時間軸も戻る。
SF的な手法ではあるが、そこまで時間軸を追う必要があったのか?
テンポが悪くなるだけだった。
● ラストは良いだけに惜しい
最終ルートは分かりやすく、やりたいことも見える。
だからこそ、もっと軽いタッチで流れた方が観やすかった。
● “死と魂”の扱いに違和感
この世界観における死と魂の在り方がどうしても腑に落ちない。
失ったものは戻らないからこそのカタルシスがあるはずなのに、
本作はそこが弱い。
タイトルの「レコンキスタ」よりも、
魂のカタルシスを描くべきだったのではないか。
● ライター不在の“安心感の欠如”
キャラ同士のやり取りには懐かしさもあるが、
テンポの悪さと内容のいびつさがどうしても気になる。
「いつもの安心して見ていられたライターはどこへ?」
そんな気持ちが終始つきまとった。
■ グラフィック評価|あんころもちのツボの押さえ方は流石。OPは神月社
あんころもちのキャラデザはツボをしっかり押さえていて良い。
OPは神月社で安定のクオリティ。
背景・CGともに異空間なし。上々の出来。
■ ヴォイス評価|南さんの多役が光る
南さんの多役っぷりは相変わらず。
「やっぱりコットンなんだね」と思わされる安定感。
■ サウンド評価|いつもの“ディフェンスに定評のある”サウンドチーム
安定のサウンドチーム。
「それでもやつらなら……それでもやつらなら……」と期待してしまう。
EDはYURIA。
■ システム評価|ウィンドウ形式とサウンドノベル形式の混合が噛み合わない
基本システムは問題なし。
ただし一箇所、選択肢で右クリックが無効になる場面があり謎。
文字ウィンドウ形式とサウンドノベル形式の混合が合わず、
長ゼリフならウィンドウを伸ばすなどの工夫が欲しかった。
難易度は易。
■ 総評|提示される世界観と実際の読後感が噛み合わず“距離”を感じた作品
提示されるであろう世界観と、実際に読んだ時の印象がちぐはぐ。
作り手と読み手の間に距離を感じてしまった。
とにかく読みづらい作品だった。
スタッフロールで片岡氏が書いていた一言も、
「この場で言わなくても…」と思いつつ、
本当に行く末を心配しての言葉なら、次回作で応えてほしい。
自分は何も言わずに去るユーザーではない。
がんばれコットン。
■ 総合評価:62点(クラスB)