【レビュー】狼と香辛料 海を渡る風|前作より進化したADVパートと増えたキャラ。しかしSLGの根本は変わらず“お使いゲー”のまま

【レビュー】狼と香辛料 海を渡る風|前作より進化したADVパートと増えたキャラ。しかしSLGの根本は変わらず“お使いゲー”のまま

■ 短評|「ちょっとハズしちゃったみたい…」──ゲーム中のミス選択肢と同じ感想が漏れる

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 | ちょっとハズしちゃったみたい… |
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ゲーム中のミスチョイス時に出るこの反応、プレイ後の感想としても妙に刺さる。


■ シナリオ評価|ロレンス主人公に変更。ノーラ・エーヴ・新キャラのルカと旅する“if”寄りの物語

原作ヒロインのノーラとエーヴ、そして新キャラのルカが参戦。
前作と最も違うのは、主人公が“誰ともわからぬ輩”からロレンスに変更された点。

ロレンスとヒロインたちがキャッキャウフフしながら旅をする──そんな話。

● 全力ネタバレで語るストーリー

ディーモルンとザーランドの海峡を渡りたいが、聖堂教会が渡航制限。
許可書があってもホロのローブを脱がねばならず、それは非常にまずい。
そこで東回りで北を目指すが、戦争が始まり通れない。

情報屋に銀貨3kを払い、渡し舟の村へ向かうと、教会の圧力で組合が潰れていた。
組合長の娘ルカと出会い、父親は“大烏”に襲われたと聞く。

旅の途中で傷ついた男と天才医師に遭遇。
ルカを連れてこいと言われ、商会とホロの圧力で断れず同行。
父親は海神を祀る小島にいると判明。

薬を作るため、錬金術師ディアナ(あけのっち)に依頼。
道具買ってきて→薬の元買ってきて→一瞬で強心剤と鎮痛剤完成。
天才医師が男を切開し、金属片を取り出し、男はすぐ歩けるように。すごいね。

小島でルカ父と再会。
しかし教会お抱えの海運局に襲われる。
ホロが「ここはわっちに任せろ!」と言うが、男が「ワシがやる!」と言うので逃走。
村に戻ると教皇が登場し悪魔付きの疑いをかけてくるが、領主にバラすぞと脅して撃退。
村はお祭りムード。「昨晩はお楽しみでしたね」。

翌朝、北へ向かう船に乗ると、大きな烏が切開跡を残して飛び去っていく──。

以上、メインホロルート。
各ヒロインでエンディングが変化する“if”寄りの構成。


■ グラフィック評価|前作より大幅進化。ようやく現代ADVの標準に追いついた

OPムービーあり。
前作より立ち絵が大幅パワーアップ。
尻尾や姿勢が動くようになり、ようやく現代ADVの標準に追いついた。

口パクがつけば一人前。
表情がつけばageクラス。

アニメ流用は減り、書き下ろしも増えた。
……が、変なCGはまだある。


■ ヴォイス評価|原作準拠のキャスティング+斉藤千和。ロレンス&ヒロインはフルボイスに進化

原作に忠実なキャスティング。
新キャラに斉藤千和。

今回からロレンスと全ヒロインがフルボイス
前作はパートボイスだったので、これは大進化。
コイキングからギャラドス級の成長。


■ サウンド評価|及第点。OP・EDは小清水

サウンドは普通に良い。
OP・EDは小清水で安定。


■ システム評価|前作から進歩なし。ランダムイベント地獄は健在

ADV+SLGの構成。
しかしシステム面の進歩はほぼ皆無。

● ADVパート:ランダムイベントの罠

スキップ遅い、既読判定なし、ノーウェイトなし。
イベントが起きないと好感度が上がらないのに、イベントがランダム。
最速アタックもあるので、大遭難級のセーブ&ロード地獄。

6月末に好感度Aでイベント開放など、普通にやると厳しい。

● 行商モード:前作より多少マシだが、結局“買って売るだけ”

システム画面は少し改善。
周回引継ぎで商材LVキープ。
戦績画面で未達フラグが見えるのは良い。

しかし根本は前作同様、買って売るだけの作業ゲー。
効率ルート探しは多少楽しいが、基本は単調。

攻略時間:∞
難易度:普通(ノーラが難しい)

● やりこみ要素は一級品

前作の12エンドから、各キャラ4エンドへ。
全キャラクリアでエンドレスモード開放。
村長お使いゲームへ突入し、インフレがソフトハウスキャラ並みに。


■ 総評|ADVは確かに進化。しかしSLGの根本が変わらず“お使いゲー”のまま

限定版の箱が偽りなくデカい。
アニメイトが梱包材を慌てて発注するレベル。

ファミ通クロスレビューは7778。
前作も7778。
時期が違うとはいえ、同じ評価というのは厳しい。

● 前作の自分の言葉を引用すると…

『「狼と香辛料」はホロとの睦言60%、行商戦20%で構成されていると思っている。
だからADV60%+行商20%で作るのは理解できるが、このSLGはねーんじゃないの?』

……昔の自分は何を言っているのかわからないが、エーヴかわいい。

● 今作もSLGがベース。ランダムイベントの限界

ADVパートは確かにパワーアップ。
キャラも増え、いろんな“if”が見える。エーヴかわいい。

原作厨の漏れでも“if”は許容できる。
旅路で原作キャラと再会するのは、このゲームならではの価値。

しかし、イベントを組み込むなら、
街到着 → 強制ADV → 依頼人と知り合う → 駆け引き → 顛末 → 行商フェーズ
という流れが欲しかった。

今作はむしろ積極的に“お使いゲーム”になってしまった。

5点アップしたが、まだ人に勧められるレベルではない。

見所はアザースとパネース。
前作プレイ済みなら「ああ、またか…」となる。

総合すると65点(クラスB)