【レビュー】シンフォニック=レイン|工画堂が本気を出した“音楽×鬱×叙述”の名作。重さと美しさが同居する物語
■ シナリオ評価|工画堂に期待してなかったら不意打ちを食らった。音楽学園で紡がれる重い青春劇
工画堂スタジオ作品。一般ゲーム。
正直、今まで工画堂は微妙に合わなかった(ASとか天罰とか)。
「遊べるゲームを作るところ」という印象で、シナリオには期待していなかった。
それが今回──
_| ̄|○ ヤラレマシタ
舞台は音楽学園。若き音楽家たちの物語。
伏線が後半で一気に生きてくる構成で、各ルートの最後はとても重い。
幸せになりたい……そう思いながら進める作品。
初期(da capo)ルートが3人。
最初に戻って al fine に突入後、さらに2人。
攻略キャラは合計4人。
「数が合わない?」
それはぜひプレイして確かめてほしい。
■ グラフィック評価|黒星紅白系の柔らかい絵柄。背景の粗さすら世界観の一部
キャラ絵は好みが分かれそうだが、黒星紅白系のタッチで私は好き。
OPも素晴らしい出来。
背景はディテールが細かくないが、
逆にそれがこの世界観を作る上で良い味になっていると感じた。
■ ヴォイス評価|笠原弘子など“歌える声優”を起用。歌ゲーとしての必然
笠原弘子など、しっかり歌える声優を起用。
歌ゲーなので当然だが、このくらいのバランスが丁度いい。
■ サウンド評価|岡崎律子の楽曲が刺さる。暗い曲調が物語と完璧にマッチ
キングレコードのバックアップで、岡崎律子が作曲。
アニメ化を狙っているのかと思うほどの力の入りよう。
とにかく素晴らしい曲ばかり。
OPのイントロだけで引き込まれる。
岡崎律子の“暗い曲”が物語と完璧にマッチしていて気持ちいい。
音楽ゲームなので当然といえば当然だが、それでも名曲が多い。
「秘密」などは特に印象深い。
■ システム評価|標準的で問題なし。演奏パートは慣れると楽しい
セーブ&ロード、バックログなど標準装備。
特に問題なし。
演奏パートは慣れると楽しく、楽器を弾いているような感覚。
インターネットランキングもあり、クリア後も遊べる。
■ 総評|工画堂の中でも屈指のシナリオ。重さと叙述の妙が光る名作
非常に良いシナリオだった。
双子のオチは途中で気づきかけたが、打ち消され、
それでも結局そうだったという流れに心を持っていかれた。
軽く螺旋回廊的な部分もあり、欝になりながらもプレイを続けた。
SRは工画堂作品の中でも特にシナリオがしっかりしていると感じた。
各キャラが歌う曲の歌詞が、クリア後に聞くと身に染みる。
終盤は重い展開が続くが、謎が解けていく快感がある。
主人公の病み、ヒロインたちの葛藤──
それらが物語を彩るスパイスとなり、
「ゲームは物語である」という原点を再確認させてくれる。
みんなが幸せになる方法はない。
だからこそ、出来る範囲で前に進むしかない。
大円談はないが、奇跡は……どんな形であれ存在する。
OP曲の歌詞
「それぞれに幸せがあるの」
これに尽きる。
総合すると76点。