【レビュー】ティアーズ・トゥ・ティアラ 花冠の大地|PS3移植で“綺麗にはなったが、本質はそのまま”の一作

【レビュー】ティアーズ・トゥ・ティアラ 花冠の大地|PS3移植で“綺麗にはなったが、本質はそのまま”の一作

■ 短評|HD化の恩恵はあるが、PS3でやる必然性は薄い

2005年4月28日発売のPC版『Tears to Tiara』をPS3向けに移植した作品。
気づけばもう3年。
難易度も程よく、ボリュームも十分。
シナリオは前作と同じなので代わり映えはしないが、そこは良しとするべきだろう。

ただし、PS3に移植してまでやる内容だったかと言われると微妙
HD化の恩恵はあるが、根本的な部分はPC版と変わらない。


■ シナリオ|“地上の安定”を巡る戦い。名場面は健在、終盤の盛り上がりは改善

物語は「地上の安定のために戦う」という王道ファンタジー。
名場面である以下のセリフも健在。

「今ならわかるんだ、我らが始祖たちのことが、
弱き者を守るために進んで命を投げ出した、誇り高き彼らの気持ちがね…
そして、僕達は、彼らの魂を確かに受け継いでいるとね」

終盤の盛り上がりはPC版より改善されており、
各キャラが抱える理由に向き合う姿はベタながら美しい。

リディアさんは相変わらず物語をかき回してくれるし、
逆移植で仲間になる未来が見えるような扱い。

ただし、エンディングにもう少し“おまけ”が欲しかった。
「魔王様の一日」みたいな小話があれば完璧だったのに。

クレジットに企画屋の名前があったのは驚き。
Leafに企画屋……? ほとんど足してないのに協力扱いとは。


■ グラフィック|4℃のOPは秀逸。3Dは頑張っているが“HD化の域”を出ない

OPムービーはスタジオ4℃。
動画の流れ方に特徴があり、非常に良い出来。

CGは移植に伴い数枚追加されているが、大筋はPC版と同じ。
監修にちゃん様の名前があり、ラストCGの一部を描いている可能性が高い。

● 3Dモデリングは“頑張っている”が限界も見える

確かに頑張っている。
ところどころ「おっ」と思う部分もある。
しかし、HD化しただけの域を出ていない

特に3Dパートと2Dパートの境界が目立ち、
スムーズな移行ができていないのが惜しい。

背景はしっかり作られており、ドーム内部などは見応えがある。


■ ヴォイス|“真のフルボイス”。ラスティの破壊力がすべてを持っていく

システムメッセージまでフルボイスという力の入れよう。
これは評価したい。

ラスティが可愛すぎる。
必殺スキルの「鉄は熱い内に打つのだぁ」で完全に落ちた。

中原麻衣の演技も非常に良い。
みゆきち(沢城みゆき)も成長を感じる演技で、声優陣の質は高い。


■ サウンド|Suara×社長の安定感。挿入歌の作詞も良い

OP・EDともにSuara。
EDは社長(下川直哉)が作曲。
音楽は文句なしの完成度。

ラストバトルの挿入歌も作詞が良く、盛り上がりに貢献している。


■ システム|快適だが、戦闘は“正統派すぎて単調”

既読判定もスキップも問題なし。
ムービーもスタートで飛ばせる。
一本道構成も原作通り。

● 問題は戦闘システム

正統派のS・RPGだが、捻りがない
属性に気をつけて殴る・魔法を撃つの繰り返し。

キャラの個性は最低限あるものの、
戦術的に考える要素が少なく、連戦が続くとダレる。

ラスボスより前の雑魚戦の方がキツいというバランスも微妙。

難易度:難しい
攻略時間:ノーマルで36時間(平均Lv54)
クリア後はTVトレイラーが見られるが、キャラデザが誰なのか気になるレベルで違和感がある。


■ 総評|PC版よりは良いが、PS3でやる必然性は薄い。CANVASシステムが恋しくなる

PC版に78点をつけたが、PS3版はHシーンがない分マイナス。
さらにコンシューマでこの戦闘システムは厳しいので、-3点。

SEGAのCANVASシステムを導入してほしかった。
プレイして改めて思うが、CANVASは本当にすごい。
次世代機時代は、
・ガチ3D(アイマス系)
・CANVAS系2D表現

の二極化になると感じた。

せっかくの次世代機なのだから、もっと新しい挑戦を見たかった。
とはいえ、作品としては十分楽しめる。

■ 75点(クラスA)

ティアーズ・トゥ・ティアラ / AQUAPLUS