Scarlett 〜スカーレット〜 |
■ 短評 ■ |
「記録より記憶」、まさにその様なメーカーでした。さよならだけど、さよならじゃない。今までありがとう、ねこねこソフト。 |
■ シナリオ ■ |
一本道シナリオ、長くないけど短いまではいかない量。 所感として、やりたいことがありすぎて、絶望的なまでに時間がたりなかったんだろうなぁ・・・ という事が感じられます。 それはもっと、「あーしたらいい、こーしたらいい」、とか「物語がまとまっていない」。 という、受け手が感じる作品の齟齬では無く、この世界感での広がりの収集。 つまり、「やる余地」がいろいろ残されていて、もっと遊びたかったのかなと感じ取れるから。 なんでこんなにも、寂しいのだろう。ただそれだけなのに。 物語は、ねこねこ曰く、「渋めのエンタメ」。わからなくはないかな、軽いニトロのファントム。 雰囲気はね。 世界を動かし、指針を定めるのは誰か?それは一国の大統領でも無く、「上級諜報員」という、役職。 それはとある地方では貴族なり王族なりが〆たりして、一国の元首よりも巨大な権力を持つ。 この辺からすると、「ルーツ」の雰囲気が漂うかな。別に、世界の敵と戦ったりとかしないけど。 そんな設定に身を置く、九郎と、それに憧れるアキト。ダブル主人公のザッピングノベル。 いつもと違う事やりたかったんだろうなぁというのは受け取れるけど、マルチサイトだと、 感情移入が難しくなる。物語を眺めるとしては最適かもしれないけど。 2ルート作れなかったのかなぁ。 非日常と日常。 日常側のアキトがもう既に、常識範疇の日常から飛び出している気がする。 既に、持っている側。ここら辺はちょいとおかしいと思った。 別に硝煙の匂いがしなくても、非日常さ、というものが感じられる構成というのはうまいと思った。 そして、またそれは手に届かない世界で、尊いモノだと思う。 いつもの片岡ともシナリオにありがちな、何かをわからせる、悟らせるといった、説教シナリオは影に潜めてる。 本当に、エンタメに特化したねこねこらしからぬシナリオ。 言い換えれば、B級スパイ映画を、ねこねこが作るとこーなるのかな、といった具合。 でも、そこには、ねこねこが作ってきた流れを無視した、というよりも汲み取った作品なのかな、 とやり通した漏れは思います。些か邪念が入りすぎて、アレですが、ワクワクしたし、楽しかったし、面白かった。 それでいいんじゃないのかな? 渋いの定義がよくわかりませんが、物悲しいバックボーンというなら及第点かな。 しずかの背景は、銀色や朱であった、悲しいけどイトオシイ、そんな話です。 そこを無理やりな力で場を収める、科学的公証とか、実際できる出来ない関係無く、 行い、達成する。まさにエンタメ。B-2とヘリが併走できるわけないしょw いくら速度落としても、下に入ることなんて出来るけない、と最後に思ってしまった漏れは負け組み。 色に拘ったねこねこは最後「スカーレット」にどのような想いを託したのだろうか。 |
■ グラフィック ■ |
総力戦。OPムービー無し。デモのアレでも入れとけば良かったのに。 デコ娘かわいいよ、デコ娘。 |
■ ヴォイス ■ |
いつもの面々です。 本当に最後まで、ねこねこソフトは同じ声優を使い続けたなぁ。 普通なら作品ごと入れ替えてもおかしくないのにね。最後までねこねこソフトでした。 |
■ サウンド ■ |
ねこねこサウンドというよりも外注が多い。 END曲がKOTOKO。作曲高瀬。 でも、最後は裕美ねーさんに歌って欲しかった、個人的に。 一曲も無いというのは悲しいよ。なんで使わなかったのだろうね。 |
■ システム ■ |
基本システム搭載。 チャプター割りが少々煩わしかったかもしれない、それは早く続きが読みたかったから。 おまけの量がファイナルということもあって、半端ないです。 |
■ 総評 ■ |
ねこねこソフトは、業界ではちょっと変わった立ち位置にいました。 何かエロゲーの歴史に名を刻む物凄い名作を作ったメーカーではありません。 ユーザーを大切にする、フレンドリィさあふれるメーカーでした。その事が、大切だと思うのです。 新作を出すたび、内容よりもおまけでユーザーを唸らせるそんなメーカーでした。 そんなねこねこが解散する、それはその立ち居地を今の業界では維持出来ないという結論から。 本人達らの動向は、本人しかわからないでしょうけれども、新規を起こすなり、フリー、吸収、 ということになったとしても、この業界に留まり続けるならば、ねこねこソフトのいた、という事は忘れないで欲しい。 そのネームバリューは、大きい、無くなるとは言え、我々ユーザーには思いで深いモノですから。 まぁ、場所は変わっても、変なものは作るなよwということ。 とりあえず今はお疲れさまでした・・・。また逢う日を楽しみにしています。 さて、今回のおまけですが、残る力を振り絞って作り上げた力作というのに相応しい内容です。 スタッフルーム、キャストコメント、サブシナリオ、緊急回避。どれをとってもねこねこらしさ溢れるものです。 7年か・・・長いようで短かったなぁ。漏れの初ねこねこプレイは「みずいろ」。 やかま、に汚染されたあの日から始まります。 アキバにかけられた朱の巨大なたすき広告は今でも記憶に残ってます、特に左上の方w 「記録より記憶」、まさにその様なメーカーでした。 我々の出した結論、「商売ッ気無さ過ぎるというのも結果的に儲を困らせる」。 今作の得点について、 最後だから、100点付けたかったんですけどね。 有終の美。だらだらせずにきっぱり、スタイリシュに渋めのエンタメで〆た、そこに最大級の評価を。 また逢えることを楽しみにしつつ、妥当であろうラインにしときました。 書いてて、なんだか知らないけれど悲しくなってきたのでこの辺で・・・。 「胸が震える、淡く揺れてる、回るこの空みずいろ、離れぬよう、流されぬようギュッと 今も聞こえる、高く広がる、淡いこの空向こう。風に揺れては、刻み込んだ」 BGM/佐藤裕美/みずいろ |
■ 78点 クラス A ■ |