【レビュー】智代アフター ~It’s a Wonderful Life~|“幸せの形”を問う、Key最凶のアフターストーリー
■ はじめに|~人生の宝物を探しに行こう~
7年目にしてようやく発売日に出たKeyの最新作。
『CLANNAD』のファンディスクであり、智代のためのアフターストーリー。
智代が嫌いな人はやらない方がいい。
余計なダメージを受けるだけだから。
やらないほうが幸せなこともある。これは本気で言いたい。
一本道で、長くても4時間ほどで一周可能(ミニゲーム除く)。
■ シナリオ|1部・2部構成。笑いと涙の“夏の思い出”が、後に地獄の伏線へ変わる
● 第一部:笑いあり涙ありの、幸せな夏
親子の情、過去の思い出、今できること──
そうしたテーマを丁寧にえぐりながら物語が進む。
笑いの部分は狙いすぎ感もあるが、しっかり笑わせてくれる。
智代とかなこの掛け合いは鉄板で、選択肢遊びも楽しい。
カナコはナイスキャラ。「人間の規格なんて、想像で飛び越せるものさ」。
鷹文&カナコのシナリオ、とものシナリオ──
どちらもラストを引き立てる伏線として非常に優秀。
朋也の前のめりっぷりも良い。
幸せな夏の思い出がここにあり、そして結末の発端もここにある。
タイピング演出は新鮮。オルゴールや雪に代わる涙腺破壊ギミック。
● だが、それが痛い
二周目に入ると、「あれが最後の幸せな夏だった」と気づき、胸が締め付けられる。
Keyは鬼だ。
アフター物は本来“幸せな後日談”を描くものだと思っていた。
だがKeyはそれを全否定する。
「これは遠い日々の想いでだ」
──この一文で嫌な予感しかしない。
智代は十分苦労してきたのに、なぜまだ鞭を打つのか。
なぜ幸せなまま終わらせてはいけないのか。
なぜ殺す必要があるのか。
アフター一日目から始まる、3年間繰り返された10日間。
その苦労と想いが重すぎる。報われなさすぎる。
朋也の「おまえがいてくれて良かった」は筋が通る。
だが感情が納得しない。
永遠の愛すら重い。狙いすぎ。よくばりすぎ。
号泣したが、それは智代があまりにもかわいそうだから。
このENDを「幸せ」と他人に説かれる必要はない。
自分はこのENDを認めてはいけないと思った。
第二部は蛇足。ほんとうにありがとうございました。
■ ヴォイス|智代役は一色ヒカル。意外とハマっている
智代役は一色ヒカル。
「w」がつくのは、これまでの経歴からの所感。
だが違和感はなく、むしろ法子っぽさがあって良い。
■ グラフィック|OPは神月社。キャラデザはフミオで“同人ぽさ”が逆に良い
OPは神月社。非常に良い出来。
背景は安定、キャラデザはフミオ。
いたる絵ではないため同人ぽさが漂うが、結果的にそれが良かったと思える。
■ サウンド|Lia×麻枝×折戸×高瀬の鉄板布陣。泣かせに来ている
OP「Light colors」
ED「Life is like a Melody」
どちらもLia。
作詞・麻枝、作曲・折戸、編曲・高瀬という最強布陣。
BGMも素晴らしく、物語を完璧に彩る。
というか、Liaが歌うとこういう展開にしかならないのか?
■ システム|基本的に快適。ミニゲーム「D&T」は別枠扱い
基本システムは使いやすい。
難易度は易しい。
クリア後にレビューへ飛べるが今回は書かない。
ミニゲーム「D&T」はシミュレーション・タクティクス系。
ここでは触れない。
■ 総評|“公式同人”と思えば最高。だがENDは認められない
素晴らしい出来だった。
Key作品ではなく、どこかの同人だと思えば。
これはアナザーストーリーですよね?
公式認定の同人ですよね?
ねっ?
煉瓦のほうがまだマシなシナリオ書くよ从リ ゚д゚ノリ ボォケェェェェェェ!!!
シナリオの受け止め方は人それぞれ。
素直に泣いて笑って終われる人は大人だと思う。尊敬する。
自分は体は大人でも脳みそは子供なので割り切れない。
意図は理解できても納得できない。
駄々こねたい。
このENDで「人生は美しい」なんて思えるか。思えねーよ。
悲しみを知るから強くなれる──
そういうメッセージなのだろう。
そう思うことにした。
だが点数は飾り。
ENDを認められない以上、高得点はつけられない。
■ 70点(クラスB)