【レビュー】鎖|“リーフ作品”と思って挑むと心が折れる。ブランドイメージを裏切る異色作

【レビュー】鎖|“リーフ作品”と思って挑むと心が折れる。ブランドイメージを裏切る異色作

■ シナリオ

ゲーム開始と同時にエロCG──
リーフでこの出だしは『天使のいない12月』以来だろうか。

抜きゲーにシナリオを求めるつもりはないが、
ストーリーはまだ目をつぶれても、テキストが半端なく酷い
進行を妨げる挿入エピソードの下手さ、テンポを殺す回り道。
プレイしていて腹が立つレベル。

この手のゲームはテンポが命。
事件と事件を繋ぐ流れが悪いのに、コマンド総当たりを要求されると萎える。
気合で相殺するしかない。

主人公はよく死ぬ。
「生き残る気あるの?」という選択肢が多く、そこは笑えた。


■ グラフィック

323……?
「あれ、これそうなの?」と思ったのは自分だけだろうか。
クオリティ自体は高いが、“リーフが抜きゲーを作るとこうなるのか”という印象。


■ ヴォイス

キャスティングは良い。
ただし詳しくは知らない。
声優陣は基本的に頑張っている。


■ サウンド

リーフにしては曲が不調。
下川マジックが聴きたかった。
というか今回は歌詞付き曲が一つもない気がする。


■ システム

基本システム搭載。
ただし難易度は高め。

コンプするにはシナリオを読むよりコマンド総当たりが必須。
入手アイテムが伏線になるわけでもなく、
行動と結果が一致しないため、シナリオとシステムのリンクが弱い。


■ 総評

サスペンスなのか、スナッフなのか、謎解きなのか──
立ち位置が激しく分からない。

どうあっても抜きゲーであることは変わらないが、
リーフには“夢のある作品”を提示し続けてほしかったという気持ちが強い。

ブランドイメージが確立しているメーカーだけに、
今回の方向性はユーザーの想像から大きく外れている。
それが悪いのかどうかは分からないが、驚いたのは確か。

ヌキゲーとして点数をつけるのが難しく、途中で投げ出しそうになったが、
踏ん張って最後までプレイした結果、救われないシナリオの連続で心が折れた。

「リーフ作品だと思わないでやればアリ」
──そう思ってプレイすると、
“力のあるソフトハウスが遊んでいるだけ”という印象になりゲンナリする。

好きなキャラ:ゆん、香倶耶

■ 70点 クラスB

隠しフラグを立てていくのは楽しかったが、時間がかかりすぎた。

【レビュー】最終試験くじら|期待と困惑が入り混じる“サーカスの迷走期”を象徴する一本

【レビュー】最終試験くじら|期待と困惑が入り混じる“サーカスの迷走期”を象徴する一本

■ シナリオ

久々に途中で投げ出しそうになった。
サーカスのメインブランドとしては『D.C.』以来の新作。
曲芸の売り方にどうこう言うつもりはないが、久々の本命タイトルだっただけに期待は大きかった。

だが──主要スタッフ二人が抜けた穴は想像以上に大きかった。
脚本家誰ですか?超脚本ですよこれ。

とはいえ、劇中の演劇シーンなどは妙に上手く、素直に感心する部分もある。
スレでは「イリヤ+最終兵器彼女」と言われていたが、
確かにそんな感じであり、そんな感じではない“不条理系”の世界観。

悪いわけではない。
ただ、ポカーンとする
そんなシナリオとストーリーだった。


■ グラフィック

一部「構図変じゃない?」と思うCGはあるが、全盛期いたるには敵わないのでスルー。
OP・OP2は非常に良い出来だが外注。

背景は綺麗に仕上がっている。


■ ヴォイス

女キャラのみフルボイス。
男にも声つけてください。

折笠が出演(デモベ以来?)。役にハマっている。
ゆん=水橋では?と言われているが、自分もそう思う。
分からないところが豪華キャストというのも面白い。


■ サウンド

サーカスはサウンドに定評があるだけあって、まずまずの出来。
OPも良い。


■ システム

基本システム搭載。
サーカスのUIは使いやすくて好き。
特に「あらすじシステム」は便利。


■ 総評

自分の中では「2004年最後の砦」だった『最終試験くじら』。
結果は──見事にスルーーーーーッという感じ。

難解なシナリオ、超展開、「何がやりたいの?」という置いてけぼり感。
もちろん悪くないストーリーもあるが、全体としては期待値に届かず。

ヒロイン5人クリアでようやく“くじらの少女”のフラグが立つが、
最終シナリオが「こんなもんか」という出来。
期待が大きすぎたのか、サーカスが迷走したのか。

ただし、ゆんが良かった
そこに昔のサーカスの残り香を感じたのが救い。

全体的には良作。
ただし“普通のメーカーならこれで十分”というレベルで、
サーカスの看板としては物足りない。
次回作に期待したい。

攻略できないキャラはなんとかしてほしい。
また後で改悪して売るつもりですか?
非処女キャラは別に気にならない。

好きなキャラ:ゆん、香倶耶

■ 75点

隠しフラグを立てていくのは楽しかったが、時間がかかりすぎた。

【レビュー】この青空に約束を-|今年どころか“ジャンルの頂点”に届いた奇跡の一本

【レビュー】この青空に約束を-|今年どころか“ジャンルの頂点”に届いた奇跡の一本

■ シナリオ

「だから顔を赤らめるな。そういうのをツンデレって言うんだぞ?」
「違うから。それ全然勘違いだから」

短評:
「今年、このジャンルでこれを抜ける作品は出ないと思う。……今年で済めばいいんですけど」
「声優って偉大だわ……」

正直、「もう買ってやってください」としか言えない。
解説する気が失せるほど完成されていて、ここはただの儲ページ。
おめでとう戯画。ありがとう丸戸 with 企画屋。
他人じゃねぇ、自分で感じろ。


● 宮ルート

お嬢様×バカップルの王道。
このエロさは伊達じゃない。萌え死ぬ。
大家一年生イベントのフロートコメントは必見。
いいなぁ……この娘。

● 奈緒子ルート

「甘いものは脳の活動を抑制するから勉強中に間食なんて愚の骨頂って、ゲーム脳研究家が言ってましたよ!?」
折笠愛キャラの極致。これに始まりこれで終わる。
異論は認めない。ディベート上等。
どこまでも繋がっているよ、その空は。

● さえりルート

ヒロインモノローグと場面カットの冴え。
これぞ丸戸シナリオの真骨頂。
駄目っこ、だがそれがいい。とてもいい。

● 静ルート

「……さっきから役満でもあがるつもりか」
ウィットに富む三段論法。
そしてラストが……ほんと、やられる。

● りんなルート

「ゴール」
「砂浜でその台詞はやめろ……」
こおろぎキャラの破壊力。
このセリフ、何を指してるんだろうな……w

● うみルート

その弱さは、優しさに惚れた。


丸戸 with 企画屋は神になった。
笑いあり、涙あり。エスプリの効いた笑い。悲しい嬉しい涙。
すべてがこの作品で表現されている。

シナリオを語るなんて恐れ多い。完璧だから語れない。
自分で体験してナンボ。
良くても悪くても、それでいい。
自分はただ、気持ちの良い話だと思ったし、ある種の完成形を見た。

「家族計画」を思い出した。
あれも“別れ”が決まっているスタートで、身を寄せる感覚が似ている。
(※比べているわけではない)

エロゲって面白いなぁ。
久々に「出会えて良かった」と思えた一本。


■ グラフィック

OPは神月社。
画面エフェクト良し、キャラデザ文句なし、背景は草薙。
すべて良し。


■ ヴォイス

これぞ至高の声ゲー。

こおろぎ・折笠の名前を見た瞬間、嫌な予感がしたが杞憂だった。
ベテランの実力が桁違い。
表面だけの演技ではなく、言葉の重さ・深さを伝える力がある。

アニメ畑から降りてきてくれたことに感謝。
「また逢えたなぁ」と思えるほど嬉しい。
二人なしでは語れない作品。

折笠のうまさが光りすぎて眩しかった。本当に。


■ サウンド

戯画の小憎たらしいアレンジインスト。
ラストの ave;new の別れの歌。
どこを切ってもサウンドチームの仕事が素晴らしい。


■ システム

基本システム搭載で使いやすい。
主要キャスト攻略後に「約束の日」が開放され、
その後に茜ルートが解禁。
どちらも本当に綺麗な締め方。


■ 総評

100点は存在しないし、付けるべきではないと思っている。
残り1点は未来への期待。ここで終わらないように。

だが今回は出し惜しみしない。
過去最高点に相応しい作品。

今年最高。これ以上はない。
過去と比べる必要もない。未来は未確定。
大切なのは「自分がどう感じたか」。
それが価値。

シナリオ・絵・声・演出。
すべてが噛み合い、絶妙のハーモニー。

好きなキャラ:奈緒子
。゜(゚´Д`゚)゜。ウァァァン
ウワァァ—–。゚(゚´Д`゚)゚。—–ン!!!!
ありがとう折笠愛。

■ 99点 クラス S+

この適当な批評にめげず、ぜひプレイしてほしい。

【レビュー】こんねこ|奇をてらわず、ただ素直に“良い”と言えるハートフル作品

【レビュー】こんねこ|奇をてらわず、ただ素直に“良い”と言えるハートフル作品

■ シナリオ

金色猫又物語──略して「こんねこ」。
そんな郷土伝承が息づく町を舞台にした、主人公たちの物語。
学園モノでありながら、ほんの少しのファンタジーが混ざることで、
“奇跡があってもいいじゃない”と思わせてくれる優しい世界観。

かわいそうな設定を背負ったキャラが多いのに、
それを重く感じさせないシナリオ運びが◎。
設定を生かすも殺すもシナリオ次第だが、
本作はそれを逆手に取り、しっかり生かしきった良作だと思う。

会話のテンポ、展開の妙、どこを切っても標準以上。
エンディングもすっきりしていて気持ちが良い。
ただし七海ルートだけ、ED後のおまけで補完される構成は少し謎。
なぜED後に挿入しなかったのか……。

感動作というより、素直に「いい話」。
そんな作品。


■ グラフィック

綺麗な立ち絵、綺麗なCG。
キャラがとにかく可愛い。萌える。
絵師のタッチが非常に好み。

背景も問題なし……と言いたいところだが、
ラブホ背景くらい描こうよw
削る場所そこじゃない。

OP・EDもそれなりに良い出来で、全体的に安定感がある。


■ ヴォイス

破壊力抜群のキャスティング。
安心して任せられる布陣で、演技面は文句なし。


■ サウンド

EDが珠玉の一曲。
BGMもじっくり聴くとかなり良い。
作品の雰囲気にしっかり寄り添っている。


■ システム

基本システムは揃っており、まずまず。
ただしコンフィグはしょぼめで、もう少し頑張ってほしい。
バグは特に見当たらないが、スキップが重いのは不満点。


■ 総評

私の中で「2004年なんでもないけど、これいいよ作品」に選出。
過去の該当作はぱれっとの『愛cute』で、これが2作目。

いやー良作。
こういう系統の作品には本当に弱い。
素直に楽しめるし、変化に乏しいと言われればそれまでだが、
こういう“ちょうどいい作品”を作れるメーカーが減ってきたという警鐘も込めて推したい。

純粋にゲームを楽しめなくなったら卒業か引退。
でも「あぁ、楽しいなぁ」と思えるうちは現役。
無理に楽しむ必要はないけれど、
こんねこは自然と楽しめる“ハートフル作品”だと思う。

王道・お約束の中にも、今でもウケる要素がしっかり詰まっている。
ライトな展開、しんみり、ハッピーエンド。
奇をてらわなくても十分楽しい。
こんねこの魅力はまさにここにある。

好きなキャラ:七海(甲乙つけがたいけど、やっぱり七海)

■ 79点

点数だけがすべてじゃない。
見えない部分で「良い」と感じたら、それはそれで価値がある。

【レビュー】恋Q!~恋とHの乱れ射ち~|タイトル通りの直球エロコメ。意外とシナリオも悪くない

【レビュー】恋Q!~恋とHの乱れ射ち~|タイトル通りの直球エロコメ。意外とシナリオも悪くない

■ シナリオ

「男友達には爆弾付きませんから」
──某ゲームソフトを思い出した人、正解です。

タイトルは『恋とHの乱れ射ち』。
終わってみると意外にうまいタイトルで、まんまそのまんま。
良い意味で裏切られた。

最近のこの手の作品と比べると、シナリオはよく出来ている方。
不自然さが少なく、淫語多投も耳障りにならないよう工夫されている。
「ありがち」なストーリーではあるが、中途半端にならず一本筋が通っているのでアリ。

恋のキューピッドのキャラ付けが面白く、
ベタなのに心を揺さぶられる“万人受けするベタさ”がある。
普遍的な魅力というやつ。

エロはレベル高め。
非常に実用的(漏れ基準)。


■ グラフィック

タイトル絵だけ少し違和感があるが、その他はよく出来ている。
OPムービーは神社氏の素敵な動画……なのだが、歌が壊滅的にヘタ。
2000年代以降でもここまでの破壊力は珍しい。
気にしなければ勝ち。


■ ヴォイス

歌はヘタだが演技は問題なし。
むしろ淫語連発の演技が良く、実用性が高い。
ここは素直に高評価。


■ サウンド

特筆なし。


■ システム

基本システム搭載。
クイックセーブが便利で、バグも見当たらない。

1周クリアするとまなルートハーレムルートが解放。
1周で行けるのがミソ。


■ 総評

「エロの濃さとシナリオの質は反比例する」──by 柊。
その格言を掲げて数年、皆様元気に抜いているだろうか。

メテオの第2作目は、難解だった前作と違い、
ユーザーライクで手軽な作品。
「こういうのも作れるんだよ」という姿勢を見せてくれた。

非常にヌケる作品だと思う。
この手のものをあまりやらない自分が言うのだから間違いない(?)。

好きなキャラ:まな

■ 72点 クラスB

【レビュー】こいじばし|“田舎伝奇×絵買いゲー”としては悪くない、惜しさの残るデビュー作

【レビュー】こいじばし|“田舎伝奇×絵買いゲー”としては悪くない、惜しさの残るデビュー作

■ シナリオ

某人にソフトを渡され「やれ」と言われて始めたが、導入でくじけそうになった。
正直「糞ゲーじゃね?」と思ったが、そうでもなかった。
つまり──選ぶ段階からゲームは始まっているということを久々に思い出した。

舞台はよく分からない田舎町。
出だしは普通の学園ものかと思いきや、実は伝奇モノ
この変化球がなければ本当にただのゲームで終わっていたと思う。

主人公たちは卒業旅行で田舎に住むイトコの元へ。
そこで不可思議な出来事に巻き込まれ、
“その道の先に何が待つのか”という筋書きで進んでいく。

──そんな感じ。


■ グラフィック

この作品は絵買いする人が多いタイプだと思う。
OP・EDあり。
CGも背景も全体的にレベルは高い。

ただしHCGが立ち絵と少し違う。まあ愛嬌。
それよりOPのとあるCG──
あれをあのキャラのところで出すのは間違ってないか?
というかおかしいだろ。


■ ヴォイス

主人公以外フルボイス。
よく聞く声優陣で安定している。


■ サウンド

OPはよくあるタイプ。
BGMも“よくあるレベル”。
特筆なし。


■ システム

セーブ・ロード・バックログなど標準装備。
使いやすいシステム。
セーブ番号が漢字なのは地味に良い。


■ 総評

『ひなたぼっこ』のタルトの妹会社・RACCOONのデビュー作。
ひなたぼっこよりは面白い(比べるのが正しいかは別として)。

ストーリー上の隠し要素がうまく活かされており、
全キャラをプレイすれば謎が分かる構造。
主要キャラだけでもOKだが、
特定キャラをクリアすると隠しキャラのフラグが立つ仕組みは良い。

完成度は高い。
ただし「すっごい面白い!」とは言い切れない
絵も好き、話も好き、でもなんか足りない──そんな印象。

好きなキャラ:ののの

■ 62点 次回作に期待したい“化けるかもしれない”デビュー作

【レビュー】恋と選挙とチョコレート|千里という“負債”を抱えた構造が光と影を生む作品

【レビュー】恋と選挙とチョコレート|千里という“負債”を抱えた構造が光と影を生む作品

■ 短評

見どころは千里の泣き演技のバリエーション。


■ シナリオ

まず考えたいのは、初回ルートが千里固定である意味。

主人公はハーレム属性を持ちながら、唯一素直に向き合えない相手が千里。
千里ルートでも、他キャラルートでも、彼女は嫉妬・所有物発言・ゼロサム思考を発揮し、
“快適なキャラ”とは言い難い。

初回ルートを終えても、例外なくすべてのルートで主人公の恋路の前に立ちはだかる。
ひっかき回し、三角関係を作り、絶対に報われない。
なぜこのキャラを初回に置いたのか?
メインヒロインっぽいキャラを初手にしない鉄則を避けていたのに、
千里ルートに強制突入した時の衝撃はなかなかのもの。

千里が“学園都市のナビゲータールート”であることは理解できる。
各キャラをクリアするごとに舞台の全容が明らかになる構造も悪くない。
だが、そのたびに千里との決別シーンを必ず見せられるのは正直しんどい。

初回で気に入らなかったキャラでも、
その後の全ルートで同じ“別れの儀式”を繰り返すのは負担が大きい。
設定が負債化している典型例。

「最後にもう一つルートがあって…」と期待するのはハッピーエンド主義者の性だが、
そんなものは存在しない。

ではグランドルートに最後へ置けば良かったか?
──千里はそこまで引っ張れるキャラではない。
WHのように対になるキャラがいれば救われたかもしれないが、それもない。

総じて、残念キャラ在住ソフトという印象が強い。


■ グラフィック

キャラデザは春夏冬ゆう(あきなしゆう)。
背景もキャラも事前イメージ通りで、崩れず最後まで走り切った点は評価できる。

淡い色調の絵柄は最近増えてきたタイプで、作品の雰囲気にも合っている。

CG枚数は約98枚。
1キャラ3シーンずつで濃さは控えめ。

OPムービーは神月氏の制作で非常に良い出来。


■ ヴォイス

第二種声ゲーと呼んで差し支えない。

井ノ原理子の演技はブレがなく、設定を守り切った印象。
水橋も一聴しただけでは本人と分からないほど役に馴染んでいた。


■ サウンド

BGMはElements Garden。
EDはキャラごとに1曲ずつあり、歌わせたい意図は理解できる。


■ システム

基本システム搭載。
初回ルートは千里固定。

攻略時間:15時間
難易度:易


■ 総評

販促・宣伝の露出が上手かった作品。
内容も“見せ方”がうまい。

選挙を主題にしたゲームは珍しく(ユミナくらい)、
学園の暗部を解消しつつ、
「自分たちの学園をより良くする」という健全な主張がある。

部活存続という基点の中で、仲間とのやり取りを丁寧に描いている点も良い。
ただし、泣き・感動シーンでのオートモード強制が多用されすぎて鼻につく。

特に千里との決別シーンが毎回オートになるため、
「もういいよ!」となるのは避けられない。
雰囲気重視の作品だからこそ、こうした演出はもっと控えめであるべき。

ストレートに自信があっても、多投すれば打たれる──
まさにその通りの敗因。

とはいえ、処女作でこの挑戦は素直に評価したい。
声優起用も分かっているだけに、今後に期待できるメーカー。

■ 69点 クラスB

【レビュー】木洩れ陽のノスタルジーカ|ラノベ風SFの美点が三つの“綺麗さ”でまとまった佳作

【レビュー】木洩れ陽のノスタルジーカ|ラノベ風SFの美点が三つの“綺麗さ”でまとまった佳作

■ 短評

嵩夜あや曰く「ラノベっぽいSFを目指した」とのことだが、
確かに“少し古いラノベ風”のSFとしてよく出来ている。


■ シナリオ

この作品には三つの綺麗なポイントがある。

① 設定が見事

舞台は今から3〜4世紀先の未来。
人間が作ったAI搭載の機械人形が自律性を獲得し、人類と戦争し、
“種族”としての立場を得た世界。

物語は戦争時代のドロイドを発見するところから始まり、
主人公たちがそれを回復させていく──という王道展開。

だが、王道の裏にひとつの疑問がある。
「なぜ主人公の周囲に都合よく才ある人間が揃っているのか?」
多くの作品が曖昧にするこの点に、きちんと“解”を用意している。
整合性の高い、綺麗な設定。

② 伏線回収が完璧

過去の戦争でネットアーカイブが失われ、
時代・情報の断絶が起き、世界は「つまらないものに変容」した──という語り。

「世の中の関節は外れてしまった」
散々引用されてきたハムレットの一文だが、この作品には驚くほどハマる。

では“つまらない世界”をどう回復するのか。
そのアプローチが綺麗にまとまっている。

③ ヒロイン設定の潔さ

発見されたドロイドは女性型だが、ヒロインではない
普通ならメインヒロインに据えるはずの存在を、あえて外している。

この“謎の配置”にもきちんと理由があり、
物語を美しく締める重要な要素になっている。


以上の三点が揃っているため、
クリア後にタイトルを思い返すと余韻が増幅する。
まるで木漏れ日の中で立ち止まり、思いを馳せるような感覚。


■ グラフィック

OP・EDあり。OPはわりと良い。
原画はのり太(「処女はお姉さまに恋してる」など)。
久々に見たが、過去作からのフィードバックを感じつつ進化している。

各キャラのHシーンは3回とライトめ。


■ ヴォイス

最近は特定メーカー以外だと男性キャラの方が豪華という印象。
豪華という言い方も微妙だが、ここでは深追いしない。

青山ゆかりの良さを再発見するゲームとしても楽しめる。
心が豊かになるよ!


■ サウンド

佐咲紗花、霜月はるか、茶太──
三人とも作品とのマッチングが非常に高い。


■ システム

基本システム搭載。
4人クリアでラストエピソード開幕。
タイトル画面に秘密コマンドあり。

難易度:易
攻略時間:15時間


■ 総評

「空想科学組立少女アドベンチャー」の名に恥じない力作。
“なんでもないけれど、これいいよ”と勧めたくなる作品。

過不足のない物語は、それだけで名作たりうる。
情報量の多い作品が主流になりつつある中で、
プレイヤーにストレスを与えず、
優しく噛み砕いても、プレッシャーをかけても、
物語が揺らがないことが大切だと思う。

この作品は、その理想にかなり近い。

■ 81点 クラスA

【レビュー】キラ☆キラ|青春・恋愛・ロックンロールが本気でぶつかる衝撃作

【レビュー】キラ☆キラ|青春・恋愛・ロックンロールが本気でぶつかる衝撃作

■ 短評

衝撃でした。間違いなくプレイする価値があります。


■ シナリオ

瀬戸口廉也というライターの特徴は何か。
物語の危うさ、主人公心理の危うさ、そして“世界系”の絶妙なバランス。
ただ、その持ち味の良さを自分は今まで完全には掴めていなかった。

パンクが退廃的だとしても、エロゲの劇中劇が人生の縮図にはならない──
そう思っていた時期が自分にもあった。

しかし本作は「青春恋愛ロックンロールノベル」の名に恥じない完成度。
まず音楽の力が圧倒的。
劇中のLIVEシーン、d2bの楽曲のキレ、盛り上げ方はテキスト以上の説得力を持つ。

サウンドノベル形式で主人公のモノローグから始まる定石構成ながら、
面白おかしく描こうとする姿勢が伝わる。
欠けたメンバーであっても何かを成し遂げようとするツアー描写は、まさに青春。

そこから個別ルートへ。
紗理菜ルート・千絵ルートは安定。
だが「安定」はロックではないらしく、きらりルートがとんでもないことになる。

久々に“やられた”と思った。
絶望、切望、そして強烈な印象。

グランドルートでの
「幸せにするためにも歌わなくちゃいけない」
というセリフの深さ。
どうか諦めずに辿り着いてほしい。勿体ないから。


■ グラフィック

キャラデザは片倉信二。
ようやく前線に出られる作品に関われて幸せだったのではないかと思う。

桑島でもヤマグチでもないライター作品だが、
物語のパワーと猥雑さを持つキャラクターがしっかり描けている。
これぞ片倉。

紫系キャラがいないのは少し残念。

OPムービーは今年の台風の目。
d2b「キラ☆キラ」を引っさげた勢いは一見の価値あり。
グランドEDムービーは……あれは設置なんだろうかw


■ ヴォイス

声優は非公開。
だが聞けば分かる。
そういうやつ。


■ サウンド

劇中キャラソンだけでアルバムが一枚作れる。
そして普通に買いたい。早く販売してほしい。

ロックジャンルゆえ、milktubの本領発揮。
BGMだけでも満腹になれる。

文句なし。


■ システム

標準システム搭載。
背景全面のサウンドノベル形式。
選択肢自動追尾は切った方が良い。

攻略対象は3人。
ルートは細かく数えなければ4ルート。
きらりだけENDが2つ。

初回でturuに行けないのか、3ルートクリアが条件なのかは不明だが、
ちゃんとturuはある。必ず見てほしい。

推奨順ではないが、きらりは最後が良い。

難易度:易。


■ 総評

瀬戸口廉也の“内省モード”は十八番。
世界系・鬱系に直結することも多いが、
本作ではその持ち味を別の形で昇華している。

音楽の造形は分からないが、
本気でやるなら相当な苦労があったはず。
それをこなしつつ、自分の色を出した点に凄みを感じた。

もっとアッパーな作品になると思っていたが、
ここまでとは思わなかった。
ライターが変われば作品も変わる。

鬱展開はある。
だがそのエンディングは群像劇として素晴らしい。
そしてそれをカバーするturuendは奔放で力強い。

ネタバレ厳禁の作品だが、
だからこそハッピーエンドの輝きが増す。

アルバム、本当に欲しい。

■ 86点 クラスS

【レビュー】君が望む永遠 ~Latest Edition~|あの頃と今をつなぐ、時間と感情のリファイン

【レビュー】君が望む永遠 ~Latest Edition~|あの頃と今をつなぐ、時間と感情のリファイン

■ 短評

この物語から何を見出すかは、ユーザーそれぞれだろう。
同じ作品に3回も時間とお金を費やすのは馬鹿げている──確かに一理ある。
だが、個人的なセンチメンタリズムから言えば、
“あの頃の自分”と“今の自分”の感じ方の違いこそが、変化=成長の証だと思う。
作品外で感じることがある作品は、それだけで価値がある。


■ ものがたり

2001年発売、2003年リメイク、そして2008年──
最新の「君が望む永遠」が登場。

● 主な変更点

  • グラフィックのリファイン
  • 最新システム・演出への対応
  • 第一章収録(きーやん不在)
  • 第三章:遥・水月・茜ルート収録

本編内容は「君が望むDVD」準拠。


● リファイン最大の見所:第3章

遥/水月/茜ルートの“After”にあたる位置づけ。
本編が「それから……」で終わる以上、軸がブレればすべてが崩壊する諸刃の剣。
そこが最も心配だったが──

面白い。
空白を縫う絶妙な描写。
物語の軸を崩さず、ユーザーに必要なフォローだけを丁寧に積み上げる構成。

大団円で終わらない物語だからこそ、
「ほんとうにたいせつなもの」を語る意味を確立しなければならない。
その難題を、見事に料理してきた。

本編ENDと「それから」をつなぐ“空白”は、当時としては必要なブランクだった。
今作はその空白を補完しつつ、物語の本質を壊さない絶妙なバランスで成立している。


● 水月ルート

石橋朋子のブランクを感じさせない演技がまず凄い。
水月のバックボーンである“親”への責任と結末。
あのエンディングの「後」ではなくて本当に良かったと胸を撫で下ろす。

立場上、身につまされる部分も多いが、
逆説的に言えば実に“らしい”ルート。

「結局いろんなしがらみを抱えつつも、それを投げ捨てては幸せになれない」

痛いほど刺さる。


● 遥ルート

OVA化もされたルート。
アニメだけでは意味不明だったが、読めば30%くらいは理解できる。
この娘はもう好きに生きてください、という感想に落ち着く。

モトコ先生大活躍。
半分は茜の活躍でもあり、あの姉妹らしさが光る。


● 茜ルート(=委員長最高ルート)

水橋の演技が素晴らしい。がんばれ水橋。
板ばさみで苦しんだエンド後の“少し解放された茜”を描きつつ、
まさかそこで山を持ってくるのかという展開に唸る。

孝之のヘタレさはまだ残っており、
「こいつ早くなんとかしないと……」と思わせる回顧的ストーリー。
だが、委員長と水月のスーパーサブが窮地を救う。
一番スッキリするルート。

委員長、かっこよすぎる。


● そして──なぜあゆまゆ第三章が無いのか

おかしいだろ……?
第三章で一番面白いのはあゆ様ルートだろ、常識的に考えて。

大空寺グループ乗っ取り計画はどうした。
そこから始まるサクセスストーリーで一作作れるだろ。
作れよ!作れよ!!

という魂の叫びで -4点。


● すべてのルートを巡った後で

3章を最後にプレイすると、実に感慨深い。
あの頃の感情は確かに残っている。
だが、鬱屈した思いとは別に、
「そういうこともあったね」と受け止められる自分がいた。

時の流れは、ユーザーにも優しかった。

主人公は甘いしヘタレだし、筋も通らない。
その印象は変わらない。
だが今回はノーダメージで終われた。
それは何を意味するのだろうか。


● 完成度について

第一章も含め、限りなく完成に近い形でのリリース。
未プレイの人にも自信を持って薦められる。
古臭さのない名作が、ここにある。

ageが好きだという気持ちは今も変わらない。
特にこの作品は思い入れが深い。
あの頃の感傷は消えないし、
この作品を好きな人にとっては、きっと思い出深い一本だろう。

新しくプレイする人がどんな判断を下すにせよ、
それがその人にとって意味のある体験であってほしい。

あゆ様に「キショイこというなや」と言われても。

あの頃と今。形は違えど、この作品に思うことはいつも一つ。
どうか、お幸せに。

■ 95点 クラス S+