【レビュー】古色迷宮輪舞曲 ~HISTOIRE DE DESTIN~|“良く出来ている”を真正面から体現した、鋭角なループADV

【レビュー】古色迷宮輪舞曲 ~HISTOIRE DE DESTIN~|“良く出来ている”を真正面から体現した、鋭角なループADV

■ 短評|美味しい紅茶の淹れ方を覚えるゲーム(本当に)

一言でまとめるなら「良く出来ている」
そして本作の目的は、言うまでもなく美味しい紅茶を淹れられるようになることである。
……いや、冗談ではなく本当にそういうゲームデザインなのが面白い。


■ シナリオ & システム|“無かったことにする”ループ構造と、誘導型の高難度ADV

ループものは本来、起こった致命的事象を回避し、より良い未来へ向かうための試行錯誤が醍醐味。
名作と呼ばれる作品群も、そこを軸に構築されている。

しかし本作は違う。
致命的な事柄を「無かったことにする」という、かなり特殊なアプローチを採用している。
絡まった糸を一本ずつ解くような作業で、しかも失敗したら死ぬ。
巻き戻しがあるとはいえ、これは相当にストレスフルだ。

● 主人公の“誘導”がゲーム性の核

プレイヤーは何が起きているのか分からないまま、主人公の限られた思考を誘導していく。
だが、「お前が覚えてなくてどうする」という展開や、
「それ聞くの?」という嫌がらせに近いハードルが容赦なく襲ってくる。

メーカーの「それがいいんだろ?感じてるんだろ?」という声が透けて見えるようで、
びくんびくん……となるのは時間の問題。悔しくなんかない。

● すべてを解き放った後の“ご褒美”

くびきを抜き去り、全てを無かったことにした後には、
会話コマンド形式の終わらないお茶会が待っている。
この“時代を感じる”演出が妙に心地よい。

攻略時間:30時間
難易度:難
久々に歯ごたえのあるADVで、メーカーがユーザーに挑んでくる姿勢が嬉しい。


■ グラフィック|お茶を飲んでいる印象しかない(褒めてる)

とにかくお茶。お茶。お茶。
Hシーンは申し訳程度で、もっと組み込めたのではと思うが、
作品の方向性を考えるとこれはこれでアリ。


■ ヴォイス|雪村とあの舞役がドンピシャ

雪村とあの舞役は完全にハマり役。
その他のキャストも安定しており、浮いているキャスティングがないのは嬉しい。
ただ、怖いもの見たさで“浮いたキャスト”も見てみたい気持ちはある。


■ サウンド|Angel Note、特筆なし

音楽は必要十分。
特に強い印象は残らないが、雰囲気作りにはしっかり貢献している。


■ 総評|“紅茶を淹れられないと進めない”ギミックを物語に結びつけた妙案

紅茶を淹れられないと進めない──
つまりプレイヤー自身が覚えないといけない。
このギミックを最後のオチに強引に(しかし見事に)結びつけたのは妙案。

メーカーが掲げた「クリアできるものならしてみろ」という挑戦的な姿勢は、
近年では珍しいほど鋭角。
選択肢総当たりでも突破できない難易度は伊達ではない。

正答率1%の惨劇に挑んだプレイヤーも多いだろうが、
自分の中で問題を捉え、考え、乗り越えるという原初の快感がある。
ループ・ミステリー・世界観の違いはあれど、
続きが気になるという一点を満たしている時点で、この作品は成功している。

たとえ結末が完全無欠のハッピーエンドでなくても。

■ 80点(クラスA)

【レビュー】ゆきいろ|“ぺろぺろしますからぁ~”と言いながら気づけばニヤけてしまう、ねこねこらしい小粒良作

【レビュー】ゆきいろ|“ぺろぺろしますからぁ~”と言いながら気づけばニヤけてしまう、ねこねこらしい小粒良作

■ 短評|「くそぅ、こんなのが面白いだなんて」

気づけば笑ってしまう、気づけば心が温まっている。
ねこねこソフトが得意とする“軽さと切なさの同居”が、短い尺の中にぎゅっと詰まっている。
ぺろぺろしますからぁ~。


■ シナリオ|早狩×片岡の対照構造が作品の核

久々の早狩テキスト。
「恋ではなく―」をスルーしていた身としては不安もあったが、鈍りは一切なし。
他ライターと比べると浮いているようで、世界観にはしっかり馴染んでいるのが面白い。

● 片岡シナリオとの“対照性”が本作の旨味

片岡シナリオでは、ねこねこ伝統のぽんこつ可愛いヒロイン像が健在。
一方で早狩シナリオでは、同じ樹奈がまったく違う表情を見せる。

しかし、もし片岡ルートの樹奈が“演じているだけ”で、
本質は早狩ルートの樹奈だったとしたら──
一気に愛おしさが増す。

幼少期のフラグひとつで分岐するキャラ像。
120円系の洗練された構成で、短いながらも満足度が高い。

● ウナトミーの翠子は相変わらずの“めんどくさ可愛い”

未来人なのに昭和感漂うヘビ柄マフラー。
このセンスがねこねこだよなぁと安心する。


■ グラフィック|低等身は相変わらずだが、あんころもち修正でなんとか着地

OPは普通。
ねこねこは近年ずっと等身低め路線で、前作は手が出しづらかったが、
今作はあんころもち修正でギリギリ許容ラインに収まった。

とはいえ、秋乃や菊池にはもう少し戻してほしい……。
頼むよ、ぺろぺろしますからぁ~。


■ ヴォイス|いつものねこねこ声優ではないが、安定感はある

今回はいつもの固定メンバーではなく、
籐野らんさんの復調を祈りながらプレイすることに。
演技面は問題なし。


■ サウンド|裕美さん不在でも“ねこねこ節”は健在

裕美さんがいなくても、あの独特の柔らかい音作りは健在。
ねこねこらしい空気感をしっかり支えている。


■ システム|幼少期分割+おまけあり。パッチ必須なのは惜しい

基本システムは問題なし。
幼少期からの分割構成で、クリア後にはおまけも用意されている。

ただし、パッチを当てないと樹奈ルートに入れないのは致命的。
緊急回避がいつの間にか消えていたのも寂しい。WHITEあたりから?

攻略時間:12時間
難易度:易


■ 総評|ねこねこが“難しい方向”に傾いた今だからこそ、この軽さが嬉しい

最近のねこねこはシナリオが肥大化しがちだったので、
こういう小粒でまとまった作品を挟むのはとても良いバランス調整。

ねこねこは元々ライターも絵師も揃っているメーカー。
あとはバランスとアイデア次第でいくらでも輝ける。

コットンをフルプラにして、ねこねこは低価格路線で勝負──
そんな住み分けもアリだと思う。
スモールワールドで主題を描くのが上手いメーカーだからこそ。

いろいろ言ったけれど、今回の作品は好きだよ。

■ 74点(クラスB)

【レビュー】ウィザーズクライマー|“魔力供与”と育成の快感が噛み合った周回型育成RPGの到達点

【レビュー】ウィザーズクライマー|“魔力供与”と育成の快感が噛み合った周回型育成RPGの到達点

■ 短評|エロゲーらしさとゲーム性が奇跡的に両立した一本

魔力供与と聞くと某「文学」作品を思い出すが、こちらはもっと密接で、もっとエロゲーらしい。
そして──こ れ は ハ マ る
ソフトハウスキャラの真骨頂が詰まった周回型育成RPG。


■ シナリオ|薄味だが“周回型”としての設計が光る

まずは恒例のワンポイントアドバイスから。
本作は周回前提の構造で、モードは以下の通り:

  • ノーマル:初回
  • 修行:イエル攻略で解放
  • 試練:ヴィオラ攻略で解放
  • 熟練:検定で等級入り?
  • 栄光:大会優勝で解放
  • 最終:なんでもできる

引き継ぎは100%ではなく、序盤は畑仕事が最重要。
土ポイントで体力基礎・回復を確保しつつ資金を貯め、
試練・熟練に入れば塔や大会で稼げるようになる。

3年目4月3週目の半額セールで家具を揃え、
あとは好きにスキルを振ればOK。
おすすめは棒スキル。魔法も物理もこなす万能型で、
闇魔法「吸引」を覚えれば魔力が尽きても自立稼働できる。

シナリオ自体は薄味だが、周回型としては十分。
メインヒロインを育てつつ他キャラを攻略する構造はやや違和感があるものの、
育成とイベントの両立はそもそも難しいので、割り切れば楽しめる。

ヴィオラルートは過去話を見ないとエンディングに行けないので注意。
ソシエットとの過去話やおまけシナリオの方がむしろ面白いのは毎度のこと。


■ グラフィック|OPの突き抜け感と“おまけムービー2種”の気合い

OPムービーは突き抜けた勢いがあり、
恒例のomakeフォルダには本編+NG集の2種類のムービーが収録。
「どんだけ力入れてるんだよ…」と頭を抱えるレベル。

佐々木珠流、最高。


■ ヴォイス|安定のキャスティング

毎回同じ声優陣という安心感。
キャラの雰囲気と演技の噛み合いは良好。


■ サウンド|OPは触れないでおくのが優しさ

OPは……ノータッチで。
新作が出るたびに悪化していく気がする。
BGMは必要十分。


■ システム|戦術と育成が深く噛み合う“遊ばせる”設計

基本システムは安定。
最終目標は英雄の塔踏破だが、戦闘はオート。
余裕があるうちは眺めていられるが、苦しくなると細かい指示が必須。
戦術スキルLv10でも油断すると死ねる。

高速モード+Ctrlで戦闘スキップ可能。
加速装置は不要。

クイズにバグ(音声指定ミス・答えが存在しない問題)があるが、
致命的ではない。

難易度:普通
攻略時間:24時間(効率化すれば短縮可能)


■ 総評|“育成×戦術×エロ”が奇跡的に噛み合った周回型RPGの快作

認定の塔は100F程度で力押し可能だが、
英雄の塔は120F以降301Fまで全てBOSS戦という地獄。
長丁場に耐えるキャラ作りを突き詰めた結果、
行き着いたのはだった。

詠唱の杖の魔力リジェネは偉大。
モンクも強いがゴッドブローが繋がらないし当たらない。
指弾を覚えるとCPUが指弾しか使わないのも困る。

しかし、この“試行錯誤しながら塔を登る”という体験こそが
ウィザーズクライマーの醍醐味

キャラ育成だけでなく、戦術スタイルまで自分で組み上げることで
オンリーワンの魔法使いが完成する。
魔力供与というエロゲーらしい要素も、ゲーム性と見事に融合。

ソフトハウスキャラは今や貴重なメーカー。
前作から11ヶ月という短期間でこれだけの作品を仕上げたのは本当にすごい。
遊べた。遊ばせてもらえた。
万感の思いを込めて──社員乙。

■ 80点(クラスA)

【レビュー】WIZ ANNIVERSARY ウィズ☆アニバーサリィー|“4ルートは良作、3ルートは異常”という極端な落差が惜しいファンタジーADV

【レビュー】WIZ ANNIVERSARY ウィズ☆アニバーサリィー|“4ルートは良作、3ルートは異常”という極端な落差が惜しいファンタジーADV

■ 短評|4ルートは健全で良作、3ルートが完全に邪魔をする惜しい作品

全7ルート中、4ルートはしっかり面白い。
だが残り3ルートがあまりにも異常で、作品全体の評価を引きずり下ろしてしまう。
この3つさえ無ければ、間違いなく良作だった。


■ シナリオ|ファンタジーとしての世界観は良いが、テキストとキャラ設定が足を引っ張る

まず、問題はシナリオそのものよりテキストのノリ
ぐだぐだした展開、キャラのうざさ、テンションの相違──序盤3時間は拷問に近い。

ただし、以下の2ルートに入れば一気に安定する:

  • (シャル、エンフィ)ルート:エルフ娘ツンデレルート
  • (ローラ、ソフィア)ルート:おっぱいルート

逆に以下の3ルートは覚悟が必要:

  • (アリス、グラニデ、ディアナ)ルート:炉。死ぬ気で挑むべし。

● 主人公は「神々の黄昏」の持ち主

北欧神話をベースにした設定は悪くない。
「約束された勝利の剣」をここまで明確に使う作品は珍しく、
FA(ファンタジーアドベンチャー)としての構築はしっかりしている。

世界観の考察も丁寧で、最近では珍しいほど“ちゃんとした西洋ファンタジー”。
物語の破綻はない……が、例の3ルートが破綻している

● 主人公の謎を解くルートが“破綻ルート側”にある問題

最も美味しい主人公の核心に触れるルートが、
よりによって破綻側の3ルートに配置されているのが致命的。
しかも結末がいらない方向に転ぶ。

● ローラ・ソフィアルートの“奇跡”の解釈が謎

世界の理から外れて因子が崩壊→再構成という展開は、
誰か説明してくれと言いたくなるレベルで唐突。

● シャル・エンフィルートは完璧

文句なしの出来。
このルートだけなら80点は固かった

● サブキャラも優秀

リオルは観測者として機能し、オマージュネタも上手い。
ただし、この物語最大の謎はエンフィの果物
あれは何だったのか。


■ グラフィック|キャラデザは“神”。背景・演出も安定の高品質

キャラデザはまさにゴッド。
背景も良く、OPムービーも悪くない。
画面効果も丁寧で、人を選ばないクオリティ。


■ ヴォイス|全体的に良好

声優陣は安定しており、特に問題なし。
キャラの魅力をしっかり支えている。


■ サウンド|無難。だがSEの「キュイーン」が危険

OP・EDともに無難。
BGMも特筆なし。

ただしSEの「キュイーン」は、
パトランプが光ったのかと錯覚する危険な音。
ホールが呼んでいる気がしてしまう人は要注意。


■ システム|基本は良好。スキップが速いのは高評価

基本システム搭載。
スキップが速くて快適。
パッチ(ver1.1)は必ず当てるべし。

難易度:普通
フラグ管理:よくわからない


■ 総評|名作になり損ねた惜しい作品。エンフィはガチ

名作になり損ねた。
とにかくあの3ルートが邪魔
茶々を入れすぎ、話の腰を折りすぎ。

姉、氏ねじゃなくて死ねよと叫びたくなる瞬間もある。

ただし、エンフィはガチ。
そこだけは揺るがない。

■ 72点(クラスB)

【レビュー】WHITE ALBUM -綴られる冬の想い出-|12年越しでも胃が痛い。だが新ルートが作品を救ったPS3版

【レビュー】WHITE ALBUM -綴られる冬の想い出-|12年越しでも胃が痛い。だが新ルートが作品を救ったPS3版

■ 短評|『ずっと前から仕組まれてた、そんな出会いって、信じる?』

アニメ第2話のサブタイトルを引用したくなるほど、
運命めいた出会いとすれ違いが胸を締めつける。
12年経っても胃が痛くなる作品だが、PS3版の新ルートが見事に息を吹き返させている。


■ シナリオ|小夜子ルートが“現代的な救い”として輝く

元々ホワイトアルバムは、当時から決して評判が良い作品ではなかった。
浮気・すれ違い・自己嫌悪──胃にくる展開の連続で、今プレイしてもやっぱり胃が痛い。

● 新キャラ「小夜子ルート」が圧倒的に良い

PS3版最大の功績は小夜子ルート
古臭さの残る本編に、近年のテイストが絶妙にマッチしている。

  • 奔放さが“可愛い”に収まるキャラ性
  • 弱さを丁寧に描き、主人公に寄りかかる構図
  • アイドルでありながら干されかけという設定が距離感を縮める

本編の“どうしてこうなった”系の浮気劇から浮いた存在でありながら、
Leafが本筋をいじらずに新ルートを成立させた潔さが光る。

読後感も良く、まるで丸戸史明っぽいテイストを感じるほど。
誰が書いたにせよ、これは良いものだと言い切れる。

● 既存キャラは相変わらず胃が痛い

由綺以外はほぼバッドルートと思って挑むのが健康的。
特に弥生ルートは読後感が最悪なのに、なぜか嫌いになれない不思議な魅力がある。

PC版で弱かった濡れ場描写も、PS3版ではCGとシチュエーションの工夫で
弥生ルートは「唖然とするがエロい」レベルに仕上がっている。

はるかは本当に良い女なのに、報われないのがまた辛い。

最後に由綺をプレイすると綺麗に締まるのでおすすめ。


■ グラフィック|CERO Dの限界に挑んだが、ムービー2本は寂しい

18禁版からの移植だが、CEROとSONYチェックの狭間でどこまで攻められるか──
結果はCERO D
最も露出が高いのは由綺のベッドシーンだが、エロさでは弥生が圧勝。

カワタヒサシの絵はほぼ描き直し+一部追加。
「昔の方が良い」「今の方が良い」は好みだが、
個人的には“ちゃん様じゃなければ誰でも同じ”派なのでどちらでも良い。

● ムービーが2本しかないのは残念

PS3でHDなのに、ムービーはリハシーンとライブの2本だけ。
音楽祭をフルアニメにしても誰も怒らないのに、なぜやらなかったのか。


■ ヴォイス|キャスティングは豪華だが、しっくりこない部分も

平野綾と水樹奈々の配役は、発表当時から「逆の方が良くない?」と思っていた。
設定的には理解できるが、キャラ的にはしっくりこない。

ぱくろみは安定の職人芸。
佐藤利奈は新キャラの慟哭シーンで圧倒的な存在感を見せる。


■ サウンド|懐かしさと新しさが同居。suaraのEDが沁みる

懐かしい楽曲群に、suaraが歌い直したEDが加わり、
“あぁ社長だなぁ”とわかるBGMが作品を支える。


■ システム|PS3のセーブ周りがストレス。MPは良いが劇的ではない

基本システムは問題ないが、フリーズが発生するのが厄介。
特に小夜子ルートで起こりやすい。

● PS3のセーブ&ロードがとにかく使いづらい

PS3のOS上でセーブする仕様のため、
縦一列のセーブデータを管理するのが非常にストレス。
クイックもオートもないのは痛い。

さらにシステムデータがコピー禁止という謎仕様。
ユーザビリティもアクセシビリティも低い。

● モーションポートレート(MP)

立ち絵がぬるぬる動く。胸も揺れる。肩もすくむ。
minori系の動きから、アニメ寄りに発展した感じだが、
劇的ではなく、絵の湾曲が不自然に見える場面もある。

とはいえ、無いよりは遥かに良い。

難易度:難(コンプ前提)
攻略時間:23時間


■ 総評|PS3で作る必要性は薄いが、12年越しの価値はある

PS3で作る必要があったかと言われると微妙。
HD画質やMPは確かに魅力だが、決定的な理由には弱い。

しかし、12年という歳月が作品を変質させ、
今のプレイヤーが触れても十分楽しめる内容になっている。

Leafの“時代を切り開いてきたメーカー”としての矜持を感じる部分もあり、
儲としては応援したくなる。

Routesのアニメ化、コミパ2の制作──
そんな未来を願いたくなる一本。

■ 75点(クラスA)

【レビュー】WIZARD GIRL AMBITIOUS|“美少女魔道師”という記号が90年代で完結していたことを思い出させる作品

【レビュー】WIZARD GIRL AMBITIOUS|“美少女魔道師”という記号が90年代で完結していたことを思い出させる作品

■ 短評|美少女魔道師のイマを見た

ファンタジーADVとしては軽め、しかし妙に懐かしい。
美少女魔道師というジャンルが、すでに90年代で完成していたことを再確認させられる一本。


■ Q&A|作品の雰囲気を端的に表す“雑だけど核心を突く”質疑応答

  • Q:似非ファンタジー?
    A:いいえ、ちゃんとファンタジーです。
  • Q:スレイヤーズ+ハルヒって聞いたけど?
    A:半分正解。
  • Q:ハルヒとみくるじゃね?
    A:そんなことないよ、絶対ないよ。
  • Q:エターナルフォースブリザードは?
    A:一瞬で相手の周囲の大気ごと氷結させる 相手は死ぬ。
  • Q:カオスワードがパクリ?
    A:そんなことはありません。「ワールドエンド」のカオスワードで死ぬかと思った。
  • Q:スライム触手は?
    A:あります。
  • Q:ハーフエルフいるのにハイエルフは?
    A:小一時間問いただしたい。
  • Q:一番衝撃だったのは?
    A:エルフの耳コキ。デカルチャー!
  • Q:面白い?
    A:たぶん。

■ グラフィック|複数原画でも調和が取れている安定感

OPは特になし。
EDは昔のアニメのような見せ方で、妙に味がある。

複数原画にもかかわらず調和が取れており、
キャラデザが売りの作品としては十分なクオリティ。
本編中も違和感なく、1キャラにつきHシーン2つという構成。


■ ヴォイス|木村あやかの“木村あやか感”が炸裂

キャストは良好。
ただし木村あやかは何を演じても木村あやか。
キャラではなく“木村あやか”が前に出てくるので、
考え始めると頭がどうにかなりそうになる。


■ サウンド|井上みゆのOPが印象的

OPは井上みゆ。
あべにゅー系の人だが、今回はそちら寄りではない歌い方で参加している。
その他は特筆なし。


■ システム|基本は揃うが謎仕様もあり

基本システムは問題なし。
パッチもリリース済み。

ただし、インストール画面の「デモムービー」ボタンが押しても反応しない。
公式曰く「意味はないけど仕様」。
……意味がわからない。

難易度:易
攻略時間:16時間


■ 総評|王道FTの“懐かしさ”はあるが、ルート構成が弱い

近年不足していたファンタジー分を満たすほどではないが、
「あぁ、FTやってるな」という気分にはなれる。

王道展開、ヒロインの秘密、倒してもまだいるボス──
馬鹿馬鹿しいが首尾一貫しており、そこは褒めたい。

ただし、共通ルートが長すぎて、
2周目以降は各ヒロインルートが薄味で物足りない。
決着が一つに収束する構造のため、道中の変化が乏しい。

正義の美少女魔道師という記号は、
もう90年代で完成していたと痛感させられる作品。

いろいろすまなかったと思っている──そんな気分になる一本。

■ 69点(クラスB)

【レビュー】Worlds and World’s end|“デザインと構成は良いのに物語が惜しい”をまたも体現した一本

【レビュー】Worlds and World’s end|“デザインと構成は良いのに物語が惜しい”をまたも体現した一本

■ 短評|前作同様、外側は良いのに物語が惜しいメーカーの典型例

ビジュアルや構成のセンスは確かにある。
だが、物語の核となる部分が弱く、今回も「惜しい」の一言に尽きる作品だった。


■ シナリオ|終末世界×分岐世界の設定は魅力的だが、核心が語られずカタルシスが弱い

物語は終末系。
ある出来事をきっかけに世界が分裂し、
“死んだ世界”と“元の世界”
“消えた人間”と“残った人間”
という二重構造で進む。

しかし、結末に至っても
「なぜ世界が分かれたのか」
という核心の解が提示されない。
不条理として処理されてしまい、カタルシスが霧散する。

● 三人の主人公がそれぞれの目的を追う構成

大人になりきれない若者たちが、
終わってしまった世界で助け合いながら進む。
世紀末覇者伝になってもおかしくない状況を、
自戒と模索で乗り越えていく姿は悪くない。

見せ場も理解している構成で、
「ここは押さえるよね」という演出はしっかりしている。

● 最終ルート:Worlds and World’s end

最終ルートでも元の世界には戻れない
作中で「戻る」という選択肢は最初から存在しない。

焦点となるのは、
残された側と消えた側のやり取り
世界間通信は不可能だが、主人公とヒロイン間だけメールが届くという奇跡設定。
さらに、残された側は消えた人の記憶を失っている。

この構造から、ラストがどうなるかは先読みが得意でなくても察せてしまう。
良くも悪くも“読める”展開。


■ グラフィック|茶太OPの美しさは健在。原画は“ほどほど”の安定感

OPは茶太の甘い歌声とともに美しい映像に仕上がっている。
原画アマクラは前作同様“ほどほど”の安定感。

Hシーンは薄め。
よくわからない描写のものが数個あり、
「サブはサブでいいんだよ」というメーカーの遠慮が見える。
正直、無理に全員にHを割り当てなくても良かった。


■ ヴォイス|いちごみるくが頑張っていた

特筆するほどの豪華さはないが、
いちごみるくの演技が印象に残る。


■ サウンド|特筆なし

音楽面で強く印象に残るものはない。


■ システム|基本は揃っているが、構成の割に選択肢が少ない

基本システムは問題なし。
主人公1人に対してヒロイン2人という割り当てで、選択肢も少なめ。

難易度:易
攻略時間:15時間


■ 総評|“しっかり作っているのにあと一歩足りない”という惜しさが残る

宣伝は良い。デザインも良い。構成も悪くない。
だが、物語の核心に踏み込む勇気が足りない

前作もサバイバル系だったが和姦ばかりで毒が弱かった。
今回も設定的にはもっと“本能”を描けたはずなのに、
毒として機能する部分が弱い。

もちろん、そういう刺激を求めない層に売っているのかもしれない。
だが、そうであれば路線変更を検討すべきだと思えるほど、
設定と物語の噛み合いが惜しい。

■ 68点(クラスB)

【レビュー】私は私のまま誰にでも変われる|混沌・狂気・衝撃。ここ数年で最強クラスの“怪作”

【レビュー】私は私のまま誰にでも変われる|混沌・狂気・衝撃。ここ数年で最強クラスの“怪作”

■ 短評|掛け値なしのカオス。期待を裏切り続ける快感

ここ数年で最もカオスなゲームが登場。
何一つ期待に応えず、何一つ定まらない。
しかし、この混沌から溢れ出す異様な衝撃が快感で、
傑作・良作といった分類ではなく、紛れもない怪作と呼ぶべき一本。


■ ポイント|ターゲット不明。萌え→エロコメ→バカゲー→ホラー→伝奇バトルの怒涛の変化

どの層を狙っているのかまったく不明。
萌えを押したかと思えばエロコメディ、
そこから超バカゲーへ転落し、
ホラー・サスペンスを経て伝奇バトルが始まる。

これをカオスゲーと言わずして何をカオスゲーと言うのか。

普通なら確実にgdgdになる構成だが、
本作は“謎解き”という一本の命綱で全ルートを強引に繋ぎ止めている。
この強引さが逆に凄い。

ぶっ飛んだネタ、他社イジリ、声優の豪華さというスパイスが、
「もう少し続けてみるか」と思わせる絶妙な中毒性を生む。

各ルートのラストで次周への引っぱりが強烈すぎて、
気づけば最後まで走らされる構造。

ルートは開放型。攻略は愚者の館の手順が最適。
なお、VISTAは非対応。管理者権限必須。


■ グラフィック|OP微妙、EDは縦ロール。立ち絵は数段落ちるが“そこで諦めたら負け”

OPはいまいち。EDはスタッフ縦ロール。
立ち絵は正直かなり厳しいレベルで、開始早々やめたくなる。

しかし、このゲームはそこで諦めたら終わり
無駄に恐怖感を煽るCGやネタCGは妙に印象に残る。
実用性も意外とある。


■ ヴォイス|第1種分類声ゲー。キャスティングが狂ってるレベルで豪華

奏介さんはいませんが、声優陣は狂気の豪華さ
風音さんをこんな無駄遣いするメーカーはアホとしか言いようがない。
一から十まで声優ゲーとして成立している。


■ サウンド|キャラソンは多いが無視してOK

声優に力を入れすぎた結果キャラソンが充実しているが、
特に聴く必要はない。
BGMも特筆なし。


■ システム|基本は揃うが使いづらい。パッチ必須だがパッチ後も問題あり

基本システムは搭載しているが、
会話ウインドにステルスでUIが乗っており使いづらい。
景観は良いが実用性は低い。

回想は中途半端で、全Hシーンが収録されない謎仕様。
パッチを当てないと致命的エラーの可能性あり。
パッチ後はスキップが音声と競合して解除されるという別の問題が発生。

難易度:普通
攻略時間:15時間
オールコンプで種明かし解放。


■ 総評|普通のゲームに飽きた人へ。バカゲー・怪作の歴史に刻まれる一本

普通にやったら地雷。
しかし、とんでもないバカゲーを求める人
訳がわからない衝撃を受けたい人
エロゲ史の後学として怪作を押さえたい人には刺さる。

間違いなく埋もれる作品だが、
ワゴンで拾った時に「こんな怪作があった」と語れる一本。
最後までやるとオールコンプの価値がわかる。

3年熟成されて変な方向に発酵した結果のカオス。
個人的には非常に面白い作品だった。

■ 75点(クラスA)

【レビュー】ボリュームセブン|テンポの良さが“忙しさ”に化けた群像劇ADV

【レビュー】ボリュームセブン|テンポの良さが“忙しさ”に化けた群像劇ADV

■ 短評|忙しい群像劇

主人公切り替え型の一本道ADV。
テンポの良さがそのまま“忙しさ”になってしまい、
落ち着いて物語に浸る余裕がほとんどない作品だった。


■ シナリオ|切り替えの多さと尺不足が致命的。面白くなる前に場面転換

主人公が次々と切り替わる群像劇形式。
並行処理の難しさがそのまま露呈しており、
個別ルートの短さ・尺不足・場面転換の早さが大きな弱点。

一つの事件を軸に全キャラが巻き込まれていく構造だが、
キャラの心情がモノローグで深掘りされないため、
読者が大局観を持っていないと理解が追いつかない。

「面白くなってきたかな」と思った瞬間に別キャラへ切り替わるため、
テンポは良いが没入感が削がれる

● 舞台設定は重いが、活かしきれていない

組織設定でキャラを分断する方向性は見えるが、
語られない仔細が多く、設定の重さが空回りしている印象。

● 見せ場は確かにある。だが“引き”が弱い

・自立歩行する携帯が越境してくるシーン
・境界で主人公とヒロインが手を合わせるシーン

こうしたJ-MENTらしい演出はしっかり存在する。
だが、良いシーンほど早く切り替わってしまい、
もっと引っ張ってほしいと思わされる。

● エピローグ不足とafterエピソードの扱い

物語の落ちは王道だが、エピローグが短すぎる。
クリア後のおまけにafterエピソードが収録されており、
そこに重要な話やヲチが入っているのも構成として惜しい。

そして、やっぱり百合がある。やっぱり。


■ グラフィック|神月社OP+笛キャラデザの安定感

OPは神月社。RMGからの変化が新鮮。
立ち絵・背景ともに安定しており、
キャラデザは笛氏なのでいつも通りの安心感。

舞台は横浜市営地下鉄沿線。
かみおおおかの描写に懐かしさを覚える人も多いはず。


■ ヴォイス|羽戸まつのの“増殖”は今回も健在

羽戸まつのさんは今回も統一する気ゼロ。
どこまで増やせるか挑戦しているのではと思うほど。
だが、どんな設定でも安心して聴けるのが強み。

TOMAは下野紘なのか柿原徹也なのか、
自分の中で判別がつかず混乱。
前作レビューも間違っていたのではと不安になる。


■ サウンド|挿入歌が特に良い。BGMも高水準

OPはもちろん、挿入歌の出来が非常に良い。
BGMも高水準で、音楽面は安定している。


■ システム|ワイド画面の工夫は好印象。選択肢は意味不明

基本システムは問題なし。
デバッグ漏れの選択肢確認があるが致命的ではない。

ただし、選択肢の意味がわからない
一本道でBADもなく、テキストが少し変わるだけなら、
そもそも選択肢はいらなかったのでは。

ワイド画面モードは優秀。
テキスト枠横にステルス表示されるシステムが、
読みづらさを軽減してくれるユーザーライクな仕様。

難易度:易
プレイ時間:12時間
2周目もスキップで確認したが変化なし。


■ 総評|理解はできるが“楽しむ余裕”がない。尺不足が最大の敵

最初から最後まで読めば大筋は理解できる。
ただし、名前のアナグラムだけは最後までわからなかった。

前作のようにゆったりした構成ならもっと良かったはず。
抑えるべきところは理解しているだけに、
尺不足が本当に惜しい

一本道でBADもなく、選択肢も意味がないなら、
最初から選択肢なしで良かったのではと思わざるを得ない。

この規模の設定なら倍の尺が必要
忙しすぎて、物語を味わう余裕がなかった。

■ 66点(クラスB)

【レビュー】海道|“平凡”の一言に尽きるが、田舎情緒は確かに光るD.O作品

【レビュー】海道|“平凡”の一言に尽きるが、田舎情緒は確かに光るD.O作品

■ シナリオ|雪桜と大差なし。使いまわし感と無難さが前面に出た一本

はい、D.Oさんです。
エースが抜けて以降どうにもパワー不足な作品が続いているが、今回はどうか──
結論としては「平凡」の一言に尽きる。

舞台は瀬戸内海に面した小さな二子島。
閉鎖的な島での学園生活、田舎に特化した背景を元に、
しみじみ系のハートフルストーリーを目指した模様。

しかし、目立った設定はなく、
いろんなところからの使いまわし感が漂う
前作『雪桜』とほぼ変わらない構成で、
「これでいいのか?」という疑問が残る。

ただし、既成の枠にとらわれないナイスキャラが一名存在し、
そこだけは光っていた。
自社の過去作ネタを使うのは卑怯だが、笑ってしまったのも事実。

ラストはやや難あり。
全体的に無難で、悪くはないが強く推せる部分も少ない。


■ グラフィック|田舎情緒がしっかり出ている良作

グラフィックはとても良く出来ており、
田舎の空気感・情緒がしっかり伝わる。
背景の雰囲気づくりは高評価。


■ ヴォイス|主人公以外フルボイス。ミスキャストなし

主人公以外はボイスあり。
この手のゲームでボイスがなかったら困るが、
キャスティングは安定しており、特にミスキャストもない。


■ サウンド|雰囲気を支えるBGMが多い

田舎の空気感を醸し出す曲が多く、
作品の雰囲気づくりには貢献している。
特筆するほどではないが悪くない。


■ システム|D.O標準の安定システム

セーブ&ロード、バックログなど基本機能は揃っており、
D.Oのシステムは相変わらず安定している。
特に不満はなし。


■ 総評|“及第点”だが、D.Oの名を思うと物足りない

一言で言うと平凡
目新しさが欲しかったが、最低限のラインはクリアしている。

『雪桜』『海道』と続けて“それなり”の作品ではあるが、
加奈・家計のD.Oを知っていると腑に落ちない。
ライターが抜けたとはいえ、もう少しなんとかならなかったのか。

エンディングが全キャラ同じ過程を通るため、
読み手としては「またか」となる。
設定をもっと活かせたはずなのに、意外性が薄いのは残念。

好きなキャラ:しのぶ
■ 65点

ガン( ゚д゚)ガレD.O