【レビュー】塵骸魔京|“またやっちまった”感が拭えない、ニトロの迷走期を象徴する一作

【レビュー】塵骸魔京|“またやっちまった”感が拭えない、ニトロの迷走期を象徴する一作

■ シナリオ

冒頭の一文──
「過度に単純化した二択は、複雑な現象を捨象し、単純な世界観を刷り込む洗脳の常套手段だ」
この言葉、劇中の台詞であるはずなのに、どうしても本作そのものを指しているように思えてしまう。

世界を否定しながら、その世界を構築する理がこれではお粗末。
とはいえ、同年発売の某“天使の~”よりはマシ。
荒唐無稽は歓迎だが、設定の破綻や辻褄の甘さは別問題で、違和感は随所にある。

● ルート構成とエンディング数

シナリオは3ルート。
おすすめ順は特になし。
最後、もしくは最後一つ前の選択肢でエンディングが変化する方式。

エンディング総数はバッド含め34
物語が終わるものには「Fin」が付く。
ラストでCGが出るものがトゥルールートと思われる。

● 人と“人外”の物語

物語の根幹は、人と人外の対立と共存。
ニトロらしさはあるが、「らしさとは何か」という問いに踏み込むと泥沼なので割愛。

相変わらず死にまくる。意味もなく。
特定ルートでしか生き残れないキャラもいる。

● テーマは良いが、難解さが邪魔をする

テーマは共存、栄光と繁栄の光と影。
正義を掲げすぎて、言いたいことはシンプルなはずなのに、
妙に難解なシナリオになってしまっている。

ライナーノーツで「光の浴びないキャラを救いたい」と語られていたが、
正直いらない。
もっと新作に力を入れてほしい。

そして思う。
最近のニトロはこのテーマしかやらないのか?
馬鹿の一つ覚えのように連発されると、さすがに落胆する。


■ グラフィック

演出・グラフィックは相変わらず良い。
武器やアーティファクトの書き込みはさすが。

イグニスルートのラスト、田中への演出は本当に熱い。
演出は良い。問題はそこじゃない。


■ ヴォイス

有名声優はいないが、全体的な演技レベルは高い。
不満なし。


■ サウンド

いわゆる“ニトロサウンド”。
今回は中華アレンジが妙に多いのが気になる。
EDはいつもより大人しめ。悪くはない。


■ システム

基本システム搭載。
選択肢に戻れるのは良い。

しかし、なぜか異様に重い
システム面でストレスを感じた。

全ルートクリアでコンバートモード解放。
アホ絵に変わる。


■ 総評

“またやっちまった”感の強い作品。
この路線を続けるなら、正直考えもの。

エンディング数が多いのは良いが、
ただのフラグとして置かれているだけでは意味がない。
シナリオに意味を持たせてこそ価値がある。

作品自体はつまらなくはない。
だが、ニトロ全体の流れを見たとき、
一体何がしたいのか分からない。

ニトロで良かった作品──
『ファントム』『ハロワ』『デモンベイン』。
よく考えると3作しかない。
この共通項を、よく考えてほしい。

厳しい言葉になったが、好きなソフトハウスだからこそ言いたい。

好きなキャラ:風のうしろを歩むもの。

■ 68点 クラスB