【レビュー】殻ノ少女|鬱と美と理不尽が同居する、イノグレらしい“もどかしさ”の結晶
■ 短評
どこかで見たような展開ではあるが、
それをエロゲとして成立させるのがイノセントグレイのニッチな持ち味。
そう思えば悪くない。
■ シナリオ
良く考えても分からなかった。
ジャンル的に人死には覚悟していたが、それでもやるせない結末。
確かに“鬱展開”と呼んで差し支えない。
テンポは良く、事件解決も早い。
真相の推理は容易いかもしれないが、納得できるかは別問題。
そして、とあるキャラの死亡フラグが確定的すぎて笑った。
「気のない生徒に指輪買ってやる教師」があの時代にどこにいるんだよ……。
あれは酷い。
■ グラフィック
そこまでグロくはないが、作品の性質上それなりに“ある”。
むしろもっとエログロ寄りでも良かった気がする。
個人的にはドロドロした構図も歓迎。
ただ、絵が綺麗で浮世離れしている点は、
“世間からの乖離”や“異端性”をよく表現していたと思う。
■ ヴォイス
公開オーディションの影響か、
あじ秋刀魚さんは異才の片鱗を見せていた。
ピカリンは楽そうだったので、もっと攻めてほしかった。
■ サウンド
素晴らしい出来。
劇中とのマッチングも良く、イージーリスニングとしても耐えうる完成度。
歌付きエンドを見るのが大変だったのはご愛嬌。
■ システム
基本システム搭載。
「総当たり要素を減らしました」というコピーは正直嘘。
このフラグ管理では総当たりしないと解に辿り着けない。
どれだけ苦労したと思っているのか……。
操作パートと推理パートの構成は理解できるが、
証拠やフラグの不足が分かりづらく、
“何が足りないのか”を照らし合わせて気づくタイプのシステム。
その分、ゲームをしている感は強い。
難易度:難しい
攻略時間:27時間(ほとんどループ)
某スレ94氏には多大なる感謝。
■ 総評
いや〜、もどかしい。
この一言に尽きる。
主人公の能力と立ち位置を考えると、
“事件を未然に防ぐ裏展開”があっても面白かったと思う。
日本一ソフトウェアの某作品のように。
ただ、それをやると物語がひっくり返る。
冬子のレゾンデートルはラストに直結しており、
個人的には納得できない部分もあるが、
それこそが殻ノ少女という物語の特筆すべき印象点なのかもしれない。
アクは強いが、毒のない物語よりはずっと面白い。
■ 66点 クラスB