【レビュー】きみはぐ|INO×東雲のガチ勝負。甘々と悶えが支配する“原初回帰”系エロゲ

【レビュー】きみはぐ|INO×東雲のガチ勝負。甘々と悶えが支配する“原初回帰”系エロゲ

■ 短評

持て余し、いろいろな意味で悶えるゲーム。
INOと東雲のガチ勝負だと個人的には思っている。


■ シナリオ

いつの間にかラノベ界で大成してしまったヤマグチノボル作品。
複数ライター体制のため担当箇所は不明だが、
共通ルートの一部と南ルートがヤマグチノボル……と思いきや、
南シナリオは鳴海瑛二氏とのこと。初プレイでこの完成度は見事。

シナリオ自体はOHPの説明そのまま。
変化球なし、ひたすら王道。
甘々系は久しぶりだったので悶えた。
ある意味、新鮮。

各キャラのHシーンは3〜5回。
どれもベタでベタベタ。
キャラ設定も奇抜さはなく、王道一直線。

● 南ルートが個人的にド直球

南ルートは完全にツボ。
熱いパトスを呼び起こされた。
やり取り含めて「あー、ぽいなぁ」と感じる良さ。

能書きはどうでもいい。
INOのエロ絵を堪能しつつ、甘々シチュに悶えるゲームである。


■ グラフィック

OPはモザイクのみ〜こによる電波系。
テンポ良く、曲にも合い、矢印も飛ぶ。
今年の良OP候補。

絵師はINO。
特徴的な目と輪郭、そして艶っぽい絵。
持て余すほどの色気。


■ ヴォイス

全体的にナイスキャスト。
男性陣はもう少しアクが強くても良かった。

遠野そよぎ出演作。
メインではないが大花ドンもいる。
その中でも佐本二厘の演技が好印象。できる子。


■ サウンド

OP詞:桑島由一
ED作曲:小池雅也
この布陣だけでちょっと嬉しい。


■ システム

基本システム搭載。

ただし、コンフィグ周りが使いにくい。
スキップ速度指定はあるが上限が低く、つまり遅い。
ウィンドウモードも小さめ。

設定項目が多いのは良いが、直感的ではない。
インターフェイス改善希望。

さらに、メインヒロイン2人のHシーン2回分がコンプ後のシークレット扱いなのは疑問。
なぜ本編に入れなかったのか。


■ 総評

南は漏れの嫁。文句ある奴はかかってこい。щ(゚▽゚щ)

萌えゲーという“記号的ジャンル”に対し、
「これがエロという名の萌えだろ?」と正面から叩きつけた作品だと思う。

シナリオは凝っていないし、特殊でもない。
ヒロインとの過程を楽しむタイプでもない。
だが、
「こんな子とこんな風になったら楽しいだろうなぁ」
という願望を平面世界で実現してくれる。

それこそがエロゲの醍醐味。
原初への帰還ゲーだった。

南はベタすぎて参った。

■ 74点 クラスB

【レビュー】夜明け前より瑠璃色な|“これぞオーガスト”と言いたくなる王道プリンセス物の完成形

【レビュー】夜明け前より瑠璃色な|“これぞオーガスト”と言いたくなる王道プリンセス物の完成形

■ シナリオ

非常に力作。
「過去作の焼き直しでは?」と言う人もいるかもしれないが、
これがオーガストクオリティだと思えば納得しかない。

新作は『はにはに』以来2年ぶり。
まさにプリンセス物の本領発揮で、大満足。
これでダメなら知らん、と言いたくなる完成度。

姫ルートの修羅場で悶えた思い出も、今となっては良い思い出(?)。

● ルート解放型の安心設計

最初はフィーナルート。
クリアすると4人が解放され、
その4人を終えるとリースシナリオが解放。
さらにクリアすると──

「夜明け前より瑠璃色な」=フィーナ・トゥルーエンドがスタート。

この“段階的に深まる構成”こそオーガストの安心感。
良いものは何度味わっても良い。

個人的にはツンデレ成分がもう少し欲しかった。
おまけシナリオは完全に“おまけ”。


■ グラフィック

知り合いが「服装の色違いじゃね?」と言っていたが、
べっかんこうの絵を幼稚園からやり直してこいと言っておいた。

自分の中では323かべっかんこうか、というほど神領域。
文句などあるはずがない。

CGは多く感じた(2列表示のせいかも)。
背景、OP、EDすべて傑作。


■ ヴォイス

ナイスキャスティング。文句なし。
鳥居様はいつオーガストに戻ってくるのだろう。


■ サウンド

WAX&WINEが秀作。
他の楽曲も安定して良い。


■ システム

基本システム搭載。
PCの調子か、一部ムービーで音声が途切れた。
ルビは振らないスタイル。


■ 総評

オーガスト作品は“ある一点のキャラに物語が集約する”のが特徴だが、
今回はプリンセス物なので、前作のように幼馴染が表を持っていくことはない。
キャラの強さと“姫”という設定がしっかり機能している。

望むトゥルーが見える構成で、ボリュームも十分。
個人的にはミアルートが一番よく出来ていた。
別れの前振りが秀逸。

ファンディスクでお茶を濁されても、
2年待った価値のある作品だったと思う。

オーガストは今まで期待を裏切らなかったが、今回もやってくれた。
好きなキャラはフィーナ。

■ 82点 クラスA

【レビュー】殻ノ少女|鬱と美と理不尽が同居する、イノグレらしい“もどかしさ”の結晶

【レビュー】殻ノ少女|鬱と美と理不尽が同居する、イノグレらしい“もどかしさ”の結晶

■ 短評

どこかで見たような展開ではあるが、
それをエロゲとして成立させるのがイノセントグレイのニッチな持ち味。
そう思えば悪くない。


■ シナリオ

良く考えても分からなかった。
ジャンル的に人死には覚悟していたが、それでもやるせない結末。
確かに“鬱展開”と呼んで差し支えない。

テンポは良く、事件解決も早い。
真相の推理は容易いかもしれないが、納得できるかは別問題

そして、とあるキャラの死亡フラグが確定的すぎて笑った。
「気のない生徒に指輪買ってやる教師」があの時代にどこにいるんだよ……。
あれは酷い。


■ グラフィック

そこまでグロくはないが、作品の性質上それなりに“ある”。
むしろもっとエログロ寄りでも良かった気がする。
個人的にはドロドロした構図も歓迎。

ただ、絵が綺麗で浮世離れしている点は、
“世間からの乖離”や“異端性”をよく表現していたと思う。


■ ヴォイス

公開オーディションの影響か、
あじ秋刀魚さんは異才の片鱗を見せていた。
ピカリンは楽そうだったので、もっと攻めてほしかった。


■ サウンド

素晴らしい出来。
劇中とのマッチングも良く、イージーリスニングとしても耐えうる完成度。

歌付きエンドを見るのが大変だったのはご愛嬌。


■ システム

基本システム搭載。

「総当たり要素を減らしました」というコピーは正直嘘。
このフラグ管理では総当たりしないと解に辿り着けない。
どれだけ苦労したと思っているのか……。

操作パートと推理パートの構成は理解できるが、
証拠やフラグの不足が分かりづらく、
“何が足りないのか”を照らし合わせて気づくタイプのシステム。

その分、ゲームをしている感は強い。

難易度:難しい
攻略時間:27時間(ほとんどループ)
某スレ94氏には多大なる感謝。


■ 総評

いや〜、もどかしい。
この一言に尽きる。

主人公の能力と立ち位置を考えると、
“事件を未然に防ぐ裏展開”があっても面白かったと思う。
日本一ソフトウェアの某作品のように。

ただ、それをやると物語がひっくり返る。
冬子のレゾンデートルはラストに直結しており、
個人的には納得できない部分もあるが、
それこそが殻ノ少女という物語の特筆すべき印象点なのかもしれない。

アクは強いが、毒のない物語よりはずっと面白い。

■ 66点 クラスB

【レビュー】夏ノ空 -カノソラ-|軽すぎず重すぎず、学園伝奇の“ちょうどいい”良作

【レビュー】夏ノ空 -カノソラ-|軽すぎず重すぎず、学園伝奇の“ちょうどいい”良作

■ シナリオ

メーカー公称「ゆりっぱ系」。そのとおり。
ジャンルは学園伝奇で、重すぎず軽すぎず、この手の作品としては絶妙なバランス。

フルメタ作者が言っていた「主人公が悩む=深いシナリオという誤解」。
自分も激しく同意で、見ていて気持ちいいのは、
どんな状況でも諦めず前へ進もうとする主人公だと思う。

本作の主人公はまさにそのタイプ。
どのルートでも前向きで、笑いあり、感動ありの心地よい物語になっている。

ただし──
シマパンパッチを入れるとノリが崩壊するので注意。
コンプするまで封印推奨。


■ グラフィック

立ち絵は最近の中ではまずまず。
CGも良い出来で、OPムービーも高品質。
特に劇中の七夕CGはとても綺麗。

EDもそれなりに良い。


■ ヴォイス

EDでRita様が少し歌っている。
全体的にキャスティングは良く、むしろナイスキャスティングと言いたい。
杏とか特に。


■ サウンド

OPがなかなか良い。
専用サウンドチームは使っていないようだが、BGMも丁寧に作られている。
EDもまずまず。


■ システム

基本システム搭載。
右クリックで一気にセーブへ飛べるのは個人的に◎。

バグは特になし。
たまにシマパンパッチが顔を出す程度。
ショートカットはあまり使わないかも。


■ 総評

全体的にレベルの高い良作。
ストーリーが良く、シマパンパッチという無駄機能も個人的には面白い。

ただし問題はエンディング。
ネタバレになるが、1回目ではトゥルーに行けない
2回目がトゥルーかどうかも人によって意見が分かれると思う。

1度クリアして最後の選択肢をロードすると、途中で選択肢が増えている。
そこで別の選択をすればトゥルーへ。

個人的には、1回目のエンディングの方が綺麗なキャラもいた。
多少の消化不良はあるが、それも“アリ”と思える人には問題ないだろう。

絵も物語も全体的に良いのに、名作とまでは言い切れないのは、
このエンディング構造のせいかもしれない。

好きなキャラは桜子。
桜子かわいいよ桜子。

■ 75点 みるくそふと、良いメーカーだと思います。

【レビュー】家族計画|“家族とは何か”という問いへの、ひとつの確かな答え

【レビュー】家族計画|“家族とは何か”という問いへの、ひとつの確かな答え

■ 短評

家族とは何か──そのひとつの答えがここにある。


■ シナリオ

シナリオ担当は、D.O.の名作「加奈~いもうと~」「星空ぷらねっと」に続き山田一
過去作と同様、現実的なテーマを軸に据えた物語構成が光る。

問題を抱えた他人同士が、互いの生活のために始めた“擬似家族”から、
やがて本当の家族へと変わっていく──そんなストーリーを描くオーソドックスなADV。

しかし、よくある恋愛モノとは決定的に違う。
先輩後輩でも幼馴染でもなく、
父・母・姉・兄・妹という“家庭”を舞台にした家族ドラマである点が唯一無二。

中盤まではコメディ主体で、これが本作の大きな魅力。
終盤では各キャラが抱える問題を乗り越え、欠けていた絆を取り戻す。
まさにハートフルコメディの教科書のような構成。

ルート間の分量差は少なく、どのルートも“アタリ”。
ただし、ますみん(30)ルートはやや印象が薄く、
青葉様ルートより先にプレイすると軽いネタバレがある点に注意。

● 印象に残るED:準EDと青葉様ED

準EDでは、高屋敷でも一歩引いていた準が、
“他者を受け入れる瞬間”が食という具体的描写で鮮烈に伝わってくる。

青葉様EDは言うまでもない。
大切な人の存在を得て、幸せになる覚悟を決めたときの変化──
これはもう孵化と呼ぶべき劇的な成長。

笑いと涙と温もりの絶妙な配合。
「こんなシナリオにはなかなか出会えない」と思わせる完成度。


■ グラフィック

キャラデザ&原画は福永ユミ
女性的で柔らかいタッチが作品の方向性と見事にマッチしている。

シリアスシーンでは緊迫感がやや削がれる面もあるが、
総合的には非常に良い起用。
巷で言われる“アゴの鋭さ”も個人的には大好物。

CG枚数は少なめ。
OPムービーは特別な仕掛けこそないが、曲との親和性が高く、
キャラの印象を強く残す構成になっている。

絆箱ではサブキャラの立ち絵が追加されたが、
絵柄の安定しなさが露呈し、メインキャラとの統一感が崩れてしまったのは残念。


■ ヴォイス

無印はボイスなし。
絆箱で新規にフルボイス化され、キャストの違和感はゼロ。
演技も十分満足できるレベル。

特に注目は寛役の比留間狂ノ介
感動シーンの演技はもちろん、既知の外にいるときの演技も圧巻。

そして、大人ぺー姉さん声での青葉様の罵倒は、
M属性の人にはたまらない逸品。


■ サウンド

特筆なし。


■ システム

基本的なシステム構成。
大きな不満はないが、右クリックでメニューを出してしまった際、
左クリックで閉じるとテキストが送られてしまう点は気になる。

難易度は易。
攻略時間は約30時間。


■ 総評

自分の中で、これを超える作品はいまだにない。
絵に多少問題がある? CGが少ない?
確かに評価基準としては他作に譲る部分もある。

しかし、それらを超越する魅力がある。
物語を締めくくるED曲「phylosophy」は、
タイトルの「家族観」を象徴する名曲であり、
特に準EDからの流れは何度プレイしても涙腺崩壊。

現代では、老人の単身世帯、乳幼児虐待、家族との断絶など、
“家族”に関する問題が多く語られる。
そんな中で本作は、
忘れかけていた「家族/大切な人を思う気持ち」を思い出させてくれる処方箋のような作品だ。

■ 88点 クラスS

【レビュー】家族計画~そしてまた家族計画を~|“受け入れるかどうか”を問われる、愛ゆえのファンディスク

【レビュー】家族計画~そしてまた家族計画を~|“受け入れるかどうか”を問われる、愛ゆえのファンディスク

■ シナリオ

感動の前作から、早くも数年。
ネタバレなしで語るのは不可能に近い。
というか、語る必要がない。
自分の目で確かめるしかない。


■ グラフィック

文句なし。
ファンディスクとしては十分なクオリティ。


■ ヴォイス

お返しディスクでフルボイス化。
だったら最初から付けてほしい……が、
フルボイスでやらないと面白さが半減するのは事実。


■ サウンド

特に語る必要なし。
前作同様、雰囲気を壊さない安定の出来。


■ システム

セーブ・ロード・バックログなど標準装備。
右クリックでシステム呼び出し。


■ 総評

このゲームについては、いろいろ思うところがある。
自分の中で『家族計画』はベスト3に入るほど思い入れのある作品だ。

OHPにも書かれていたが、
数年経ってこのファンディスクが受け入れられるかどうか──
製作者が迷った理由が、プレイしてみてよく分かった。

● 前作未プレイの人には“地雷”

前作を知らない人がやったら、間違いなく地雷。
超空間なんて目じゃないレベルで意味不明だと思う。

ファンディスクなのでシビアに見るのも違うが、
前作をやっていても納得しない人は確実にいる。
評価は二分されるだろう。

● 内容は短い。だが、それでも…

全体で1時間もかからない。
立ち絵も少なく、CGも少ない。
これでどう評価しろと?
──そう言って投げるのは簡単だ。

だが、熱狂的家計ファンとして言わせてもらうと、
「よく作ってくれたなぁ」
その一言に尽きる。
それだけで幸せだと感じる。

● ただし、扱いが雑なキャラも多い

みんなが揃う時代をやってほしかった。
尺も予算もなかったのだろうが、
各キャラの扱いがひどい。
あんまりだ。

山田シナリオは健在だが、
「これで良かったのか?」と問いたい。
小一時間問いただしたい。

末莉ファンは満足だろう。
自分も好きだから許せるが、そうでない人は厳しいはず。

● 点数の付け方が難しい

  • フルヴォイスでプレイし、末莉ファンで、潔さを認める人 → 72点
  • ただのファン → 55点
  • 前作未プレイ → 評価不能

ネット接続版は何が違うのだろうか。
それはさておき──
やっぱり好きだ、家族計画は。

どうあろうと、そう思わせてくれる。
最終的には、自分の目で判断するのが一番いい。

【レビュー】状況開始っ!|軍事学園恋愛AVG(詐称)という名の迷走作

【レビュー】状況開始っ!|軍事学園恋愛AVG(詐称)という名の迷走作

■ シナリオ

救えね。

語るべきことは非常に少ない。
要点だけを簡潔にまとめると──

(・д・)イクナイ!

  • 共通ルートが無駄。
  • 「軍事学園恋愛AVG」というジャンル詐称。やるなら『群青』くらいしっかりやってほしい。
  • 恋愛……してる?
  • 結末が「丸く収めればいいんじゃね?」的エンド。
  • キャラの個性は出ているが、ストーリーと噛み合っていない部分がある。
  • 主人公が全然活躍しない。
  • ストーリーに重みがまったくない。
  • ツンデレ比率で言うとツン8:デレ2。
  • 短い。

(・∀・)イイ!!

  • 仲原麻衣

■ グラフィック

OPムービー「は」非常に良い出来。
キャラデザ「も」まずまず。
ただし立ち絵は「かなり」崩壊気味。

背景はそれなり。
CG枚数は少なすぎ。


■ ヴォイス

一般向けなのでキャスティングはそれなりだが、
どうにも使いこなせていない印象。


■ サウンド

OPがCooRie
ここは本作における最大の価値と言っていい。

BGMは普通。特筆なし。


■ システム

基本システム搭載。

ただし、選択肢の場面でウィンドウが消える仕様は本当にどうかと思う。
セーブできないじゃん。
右クリック設定で回避できるとはいえ、デフォルトで改善すべき。

難易度:普通。


■ 総評

これで定価8800円……?
半端ねーな。

やばいよ、きつねさん。
久々に踏みました、はい。

■ 55点 クラスC

【レビュー】ジオグラマトン|“あと一歩”が惜しい、良作止まりの王道バトルADV

【レビュー】ジオグラマトン|“あと一歩”が惜しい、良作止まりの王道バトルADV

■ シナリオ

初めてのクロックアップ作品。
今まで食指が動かなかったが、OHPを見て「これは気合入ってるな」と感じてプレイ。

細かいストーリーはOHPを見れば分かるが、
雰囲気としてはサクラ大戦 × デモンベイン × マヴラヴのような“あーんな感じ”。
あくまで“感じ”だけだが。

ただ、この作品……解説も批評も難しい。
何が売りなのか分からない。

途中に中途半端な戦闘フェイズがあるが、
「これ何のために入れたの?」という印象。
出来は悪くないのに、何かが足りない。
終わった後に妙な物足りなさが残る。

● ルート構成

主人公は2ルート方式。
片方は2番目の選択肢で即・鬼畜ルートへ一直線。
アセリアを思い出す構造。

裏ルートを終えた後、表ルート5人を攻略し、
最後の選択肢で誰も選ばず“ひとり”を選ぶと真エンドへ。
真エンドでも各キャラエンドがあり、やや面倒。

全キャラを後回しにする必要はないが、
時間効率とコンプリートの観点からはその方が良い。

● シナリオの評価

ネタ自体は悪くない。
謎や思惑も順に解明されていくが、いまひとつ面白くない。

盛り上がる場面はあるものの、
キャラの見せ方や感情の伝わり方が弱く、
“燃え”をもっと強く意識していれば化けたはず。

正統派と言えば正統派だが、
王道を貫ききれず、どこかで見た設定の寄せ集め感が否めない。


■ グラフィック

塗りがエロい。
OP・ED・ED2すべて良い出来。
細かいディティールも丁寧で、特にOPムービーは一見の価値あり。


■ ヴォイス

全体的にレベルが高い。
鬼畜ルートの淫語量を見ると、声優さん大変だな……と客観的に思うほど。
演技としては良好。


■ サウンド

ave;newがついにエロゲ進出(たぶん)。
普通に聞いていると「I’veかな?」と思う瞬間もあるが、それは言わない約束。

総じて悪くない。


■ システム

基本システム搭載。
バグもなく、スキップも軽快でシステムが重くないのは好印象。

この手の作品はバグが多いことが多いが、本作は安定している。


■ 総評

すごく良く出来ている。
シナリオ以外はすべて上。
シナリオも悪くはないが、“並”という印象。

これだけの完成度があるなら、もっと面白くできたはず。
どこかで見た設定、王道を貫きすぎた構成、
独創性の欠如──名作になれなかった理由はこのあたり。

戦闘フェイズも“とってつけた感”が強く、
やるなら本格シミュレーションにするか、いっそ無しにするべきだった。

悪くはない。
だが、あと一歩が惜しい。

好きなキャラ:ルー(鬼軍曹マンセー)

■ 73点 まずまず。

【レビュー】塵骸魔京|“またやっちまった”感が拭えない、ニトロの迷走期を象徴する一作

【レビュー】塵骸魔京|“またやっちまった”感が拭えない、ニトロの迷走期を象徴する一作

■ シナリオ

冒頭の一文──
「過度に単純化した二択は、複雑な現象を捨象し、単純な世界観を刷り込む洗脳の常套手段だ」
この言葉、劇中の台詞であるはずなのに、どうしても本作そのものを指しているように思えてしまう。

世界を否定しながら、その世界を構築する理がこれではお粗末。
とはいえ、同年発売の某“天使の~”よりはマシ。
荒唐無稽は歓迎だが、設定の破綻や辻褄の甘さは別問題で、違和感は随所にある。

● ルート構成とエンディング数

シナリオは3ルート。
おすすめ順は特になし。
最後、もしくは最後一つ前の選択肢でエンディングが変化する方式。

エンディング総数はバッド含め34
物語が終わるものには「Fin」が付く。
ラストでCGが出るものがトゥルールートと思われる。

● 人と“人外”の物語

物語の根幹は、人と人外の対立と共存。
ニトロらしさはあるが、「らしさとは何か」という問いに踏み込むと泥沼なので割愛。

相変わらず死にまくる。意味もなく。
特定ルートでしか生き残れないキャラもいる。

● テーマは良いが、難解さが邪魔をする

テーマは共存、栄光と繁栄の光と影。
正義を掲げすぎて、言いたいことはシンプルなはずなのに、
妙に難解なシナリオになってしまっている。

ライナーノーツで「光の浴びないキャラを救いたい」と語られていたが、
正直いらない。
もっと新作に力を入れてほしい。

そして思う。
最近のニトロはこのテーマしかやらないのか?
馬鹿の一つ覚えのように連発されると、さすがに落胆する。


■ グラフィック

演出・グラフィックは相変わらず良い。
武器やアーティファクトの書き込みはさすが。

イグニスルートのラスト、田中への演出は本当に熱い。
演出は良い。問題はそこじゃない。


■ ヴォイス

有名声優はいないが、全体的な演技レベルは高い。
不満なし。


■ サウンド

いわゆる“ニトロサウンド”。
今回は中華アレンジが妙に多いのが気になる。
EDはいつもより大人しめ。悪くはない。


■ システム

基本システム搭載。
選択肢に戻れるのは良い。

しかし、なぜか異様に重い
システム面でストレスを感じた。

全ルートクリアでコンバートモード解放。
アホ絵に変わる。


■ 総評

“またやっちまった”感の強い作品。
この路線を続けるなら、正直考えもの。

エンディング数が多いのは良いが、
ただのフラグとして置かれているだけでは意味がない。
シナリオに意味を持たせてこそ価値がある。

作品自体はつまらなくはない。
だが、ニトロ全体の流れを見たとき、
一体何がしたいのか分からない。

ニトロで良かった作品──
『ファントム』『ハロワ』『デモンベイン』。
よく考えると3作しかない。
この共通項を、よく考えてほしい。

厳しい言葉になったが、好きなソフトハウスだからこそ言いたい。

好きなキャラ:風のうしろを歩むもの。

■ 68点 クラスB

【レビュー】ジュエルスオーシャン|長い、重い、だらだら…でも最後までやれば見えるものもある

【レビュー】ジュエルスオーシャン|長い、重い、だらだら…でも最後までやれば見えるものもある

■ シナリオ

エスクード作品は『プリマヴェールV』以来。
タクティクス系なのでHは少ないと思いきや、しっかりありました。
別にいいんですが──とにかく長い。
初回一周15時間。
戦闘が後半になるほど長くなるのはタクティクス系の宿命とはいえ、かなりの重さ。

そして最大の壁が長すぎるイントロ
初戦闘まで4時間、OPが流れるまで5時間。
意味が分からない。
長ければ良いというものではないはず。

シナリオは2本道(実質ほぼ1本道)。
宝石に封じられたモンスターを使役し戦う「我がカルテル」(ネーミングセンス…)の野望、
そして主人公の敵の真の目的──
そんな感じでだらだら進んでいく。


■ グラフィック

特に問題なし。
OPも綺麗で、アニメーションにも力が入っている。
視覚面は安定して良い。


■ ヴォイス

ここが最大の問題点。
キャラの声がこもっている。
録音ミスなのか、キャストの声質なのか不明だが、明らかに違和感。
序盤に多く、かなり気になる。

× 駄目。


■ サウンド

OPは良曲。
最後のヒロイン救出シーンでも流れ、盛り上がる。
その他は特に印象なし。


■ システム

セーブ・ロード・バックログなど基本機能は搭載。
既読スキップの最速がなければ本当に辛い構成。

そして致命的なのが、2周目以降も戦闘スキップ不可
これは本当にキツい。


■ 総評

長く、辛く、だらだらした物語の先にあるものは──
自分の目で確かめてほしい。

攻略ポイントとしては全員を平等に愛すること
これを理解せず初回15時間プレイしてBADに入った時の絶望感は凄まじい。
注意してプレイすべし。

テンポが悪く、戦闘に面白みがあればもっと楽しめたはず。
アニメーションに力を入れすぎたのかもしれない。

戦闘はモールスモール系、あるいは『僕と魔王』系に近い印象。
好きなキャラは琴代。

■ 58点 プレイする人、がんばれ。